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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2050【定期号】2024.1.15 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.2050 です
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このたびの能登半島地震により被害を受けられました皆さまに、心よりお見
舞い申し上げます。
毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、用語解説、統計などもお届けしています。
2024年最初の定期号となる本号では、新春恒例企画であるJPNIC役員による
「2024年のインターネットキーワード」をお届けします。今後の展望に思い
を巡らせる時期かと思いますので、参考になりますと幸いです。
また、インターネット用語1分解説では、WWWでデータをやり取りする方法の
取り決め(プロトコル)であるHTTPの最新版となる「HTTP/3」について解説し
ています。
2024年も皆さまにとって役立つ情報発信を心がけてまいりますので、引き続
きご愛読のほどお願い申し上げます。
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◆ 目次
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【 1 】特集 「2024年のインターネットキーワード」
【 2 】インターネット用語1分解説
「HTTP/3とは」
【 3 】統計資料
1. JPドメイン名
2. IPアドレス
3. 会員数
4. 指定事業者数
【 4 】イベントカレンダー
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【 1 】特集 「2024年のインターネットキーワード」
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新しい年を迎え、今年もまた読者の皆さまにNews & Viewsをお届けできるこ
とを大変嬉しく思います。
さて、本年最初の定期号の特集では、恒例のJPNIC役員による「2024年のイン
ターネットキーワード」をお届けします。インフラ化したインターネットに
まつわる諸課題は、社会的課題と同様に、技術のみでは解決できない複雑さ
を増しています。皆さまが2024年、そしてその先を見通す上で、糸口をつか
むきっかけとしていただけますと幸いです。
◇ ◇ ◇
┌─────────────────────────────────┐
◆ 江崎 浩 (JPNIC理事長/東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授)
◆ 2024年のInternet Keyword:「新しいデジタルを前提とした三方良し」
[理由]
コンピュータネットワークとエネルギーシステムは、デジタルの利用を
前提にした一体での設計・実装・構築・運用・維持が実現される「論語
と算盤」を同時に一つのインフラストラクチャで実現するアーキテクチャ
に進化しなければならない。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 曽根 秀昭 (JPNIC副理事長/東北大学 データシナジー創生機構
特任教授)
◆ 2024年のInternet Keyword:「何気なく頼れる通信インフラとなる
インターネット」
[理由]
広域の甚大な災害が起きたときに頼れる通信インフラは、地域や被災状
況にもよりますが、だいたい10年を経ると物理もサービスも様変わりし
てきたように思います。とくにいま、多くの方がインターネット上のサー
ビスを、仕組みなど難しいことを意識せずに何気なく頼り切っていただ
ろうなと思うと、それへの応え方も数年で更新していくべきかと思えて
きます。
もう一つ、情報セキュリティ対策で課せられている注意喚起や管理事項
の中には、システムや技術を意識していなければ無理だろうと思えるも
のも少なくありません。そういう面も含めて、誰でも何気なく頼れるよ
うにする方向を考えていく時期かと思います。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 野村 純一 (JPNIC副理事長/株式会社ゲンザイ)
◆ 2024年のInternet Keyword:「基盤 + アプリ + コンテンツ」
[理由]
インターネットを構成する主要な要素として、三つのものがある。
第1は「ネットワークを動作させる<基盤>」
第2は「基盤上での処理を動作させる<アプリ>」
第3は「アプリの処理機能の動作対象の<コンテンツ>」
各々の要素は単独では何ら有益な価値は創造しないが、三つのすべてが
同時に機能すると人間社会にとって意味ある価値となる。本年は、この
視点からインターネットの全体像を捉えることによって、さまざまな課
題の克服にチャレンジしていきたい。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 宇井 隆晴 (JPNIC理事/株式会社日本レジストリサービス 取締役
システム本部長)
◆ 2024年のInternet Keyword:「上を向いて歩こう」
[理由]
現代の宇宙探査はただ遠くを目指すだけでなく、より高度な活動をする
ための通信環境の整備が求められています。宇宙空間や惑星間でもイン
ターネットを利用するためには、刻々と変わる位置関係や通信の遅延・
途絶など、地球上とはまったく異なる条件の中での通信を考える必要が
あります。DTN (Delay and Disruption Tolerant Networking:遅延耐性/
途絶耐性ネットワーク)はこのような惑星間インターネットを支える技術
として研究が進んでいます。
今年は宇宙探査ミッションが目白押しの年です。実際に地球外活動が増
える中で、DTNなどの研究も大きく弾みがつくものと思います。多くの困
難な状況の中にある2024年ですが、明るい未来への材料が少しでも増え
ることを願っています。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 荻野 司 (JPNIC理事/一般社団法人
重要生活機器連携セキュリティ協議会)
◆ 2024年のInternet Keyword:「サイバーセキュリティ」
[理由]
大規模言語モデルによる技術革新でAIがより活用されていますが、サイ
バー空間への攻撃と防御への利用も急速に拡がるでしょう。米国では、
昨年、The Artificial Intelligence Cyber Challengeを発表。AIを活用
して米国のソフトウェア保護を強化する大規模なコンペティションを開
始しています。トップAI企業との協力と専門知識を活用して、コンピュー
ターコードのセキュリティ向上を目指しています。インターネット基盤
への維持・発展には、サイバーセキュリティへの耐性を整える対策がま
すます必要になります。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 金井 俊夫 (JPNIC理事/エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ
株式会社 執行役員 プラットフォームサービス
本部 クラウド&ネットワークサービス部長)
◆ 2024年のInternet Keyword:「情報感度」
[理由]
今年は、生成AIが機能強化され、より便利になることで、個人の生活や
企業活動に多く使われる年となるでしょう。
一方で、今年は世界で重要な選挙が目白押しであることも相まって、生
成AIを悪用したフェイクニュースがインターネット上に更に溢れること
になると思われます。一人一人が信頼できる情報ソースを複数持ち、何
が正しく、何が違っているのかを自らで判断できるようにすること、す
なわち個々人の「情報感度」を高めることがこれまで以上に重要になっ
てくるものと考えます。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 後藤 滋樹 (JPNIC理事/早稲田大学 名誉教授)
◆ 2024年のInternet Keyword:「ビッグ・サイエンスとしての
人工知能(AI)」
[理由]
大規模言語モデル(LLM)の応用が広範囲に拡大しています。LLMでは「教
師なし学習」(unsupervised)に多大な計算資源を要します。さらに「教
師あり学習」(supervised)によるファインチューニングとヒューマン
フィードバックに膨大な人的資源を投入しています。
このようなビッグサイエンスとしてのAIの時代を迎えたことは、技術開
発の成果に違いありません。ただし、従来のように個人あるいは小規模
の研究グループが研究を推進することが難しくなったことも事実です。
人工知能の実用化が進むと同時に、人類の英知を結集する方法が問われ
ています。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 関谷 勇司 (JPNIC理事/東京大学 大学院 情報理工学系研究科 教授)
◆ 2024年のInternet Keyword:「トラストモデル」
[理由]
ゼロトラストという言葉に表れるように、「トラスト」という言葉の意
味するもの、すなわちセキュリティモデルが問われる時代となっています。
通信インフラをはじめとしたITシステムにとって、セキュリティは当た
り前の要件となりました。高度なITシステムが普及し、社会において広
く使われるようになればなるほど、そのシステムに対する「安心・安全」
の要求は高まっていきます。
一方、データの流通にも「安心・安全」が求められ、ITシステムからの
データ漏えい防止や、厳格な個人情報の保護が求められています。情報
を渡すにあたっては、渡す相手がどの程度信頼できるシステムや組織で
あるのか、その信頼性(トラスト)が問われます。ネットワークによって
接続され、情報を流通させるITシステムにおいて、そのトラストモデル
をどう構築し、情報流通のセキュリティモデルをどう構築すべきなのか、
それが問われる1年になるのではないでしょうか。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 鶴 昭博 (JPNIC理事/株式会社JPIX)
◆ 2024年のInternet Keyword:「社会インフラとしての期待に応える」
[理由]
インターネットはすべての産業分野や私たちの日常生活において、より
一層溶け込んでいくことでしょう。デジタルによる社会課題の解決をも
う一段レベルアップするためには、インターネットを誰もがいつでも安
心して快適に使えるように維持、発展させていく必要があります。
デジタルデバイド解決に向けた新技術や新たなビジネスモデルの開発、
大規模災害時におけるダウンタイム極小化、サイバーセキュリティやオ
ンラインの安全性確保などの取り組みにおいては、事業者間連携や情報
共有が重要になってくると考えます。
2025年問題と言われるような社会課題は目前に迫っていますが、竜頭蛇
尾とせず、関係者が協力し力強く解決に取り組んで行けるように尽力し
て参りたいと思います。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 中村 素典 (JPNIC理事/京都大学 情報環境機構 教授)
◆ 2024年のInternet Keyword:「パスワードレス認証の普及と個人認証」
[理由]
フィッシング対策である多要素認証の一つであるワンタイムパスワード
も、フィッシングサイトに入力させられてしまうなど、その限界が広く
認識されるようになってきたことで、FIDO (ファイド)認証やパスキー
(Passkeys)の採用が本格化してきている。このようなパスワードレス認
証技術は、各ユーザが所有するモバイル端末の信頼性に強く依存するも
のであり、各個人のモバイル端末の安全管理責任がさらに求められる時
代となってきている。その一方で、パスキーによって提供される端末間
同期機能は、Apple、Google、MicrosoftといったGAFAMのサービスに強く
依存するものであることから、インターネットにおける個人認証のあり
かたについて改めて考え直す一年となるだろう。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 橋川 和利 (JPNIC理事/ケーブルテレビ徳島株式会社)
◆ 2024年のInternet Keyword:「実証から社会実装へ」
[理由]
携帯等のワイヤレスは無くてはならない社会インフラ基盤となり、キャ
リア5Gにおいてはカバーエリアの更なる拡大を推進し、ローカル5Gにお
いては地域の企業や団体によりデジタル基盤として整備され、社会実装
が本格化するであろう。更に、自動運転やドローン等への活用が検討さ
れ、安全・安心を確保しつつ、実装に向けての実証を推進していくもの
と想定される。社会情勢の変化を踏まえて、地域の活性化や利便性の向
上が図れる社会環境ができることを期待したい。特に、地域の活性化に
はインフラ整備に重要となる人材育成の取組みも必要と考える。
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┌─────────────────────────────────┐
◆ 長谷部 克幸 (JPNIC理事/日本電信電話株式会社 技術企画部門
担当部長)
◆ 2024年のInternet Keyword:「カーボンニュートラルとインターネット
ガバナンス」
[理由]
生成AIが一気に浸透した2023年から一年が経過し、大規模に生成AIを運
用するための膨大なコストへの対応とAI利用のルールの在り方が問われ
ています。生成AIの開発・利用のための大量電力消費を、超低消費電力
技術や分散コンピューティング技術、再生可能エネルギーの地産地消効
率化等により、削減する研究開発が行われています。またG7が取り組む
生成AIの国際ルール作りである「広島AIプロセス」の最終合意により、
国内外でもこのルールをもとにAIをめぐる制度作りが本格化していきま
す。
カーボンニュートラルや生成AIの取り組みを推進するためにも、インター
ネットガバナンスにおいて、政府、民間、技術・学術コミュニティ、市
民団体等のマルチステークホルダーが対等な立場で対話を行い、これら
の分野に関するルールや制度を整備する必要があります。
カーボンニュートラル、生成AI、インターネットガバナンスの取り組み
が成功することで、インターネットは持続可能なものに進化していくで
しょう。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 馬場 聡 (JPNIC理事/北海道総合通信網株式会社)
◆ 2024年のInternet Keyword:「北海道バレー構想の実現に向けて」
[理由]
次世代ネットワーク・インフラ基盤の構築が進んでいくなか、私の住む
北海道では、再エネ・データセンタの建設、次世代半導体メーカーの進
出、地域IXの誘致、海底ケーブルの陸揚げなど、またそれらを有機的に
接続するDCI (Data Center Interconnect)により巨大な「北海道バレー
構想」が実現されようとしている。まさにここ北海道にとっては千載一
遇の機会であり、これを逃がす手はない。2024年は、その構築を着々と
進める1年になるのではないか。これにより北海道内の情報流通基盤が進
化・発展し、日本国内全体のインターネット基盤の強靭化・発展に寄与
することを、こよなく願っている。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 藤崎 智宏 (JPNIC理事/NTTコミュニケーションズ株式会社)
◆ 2024年のInternet Keyword:「IPv6の更なる高度利用にむけて」
[理由]
2023年、IETF、APNIC、IGFの国際的なインターネット関連ミーティング
が日本で開催され、インターネットの維持・発展・安定的な運用に今ま
で以上に注目が集まったと感じています。そのための必須要素であるIPv6
も、各ミーティングの会場ネットワークでの提供はもちろんのこと、国
内では固定・無線問わず、クライアント端末(スマートフォン、PC、家庭
内各種アプライアンス等)から意識せず、利用できるようになってきまし
た。
しかしながら、サービス側のIPv6対応はまだ推進が必要な部分が残って
います。2024年、リモートワークでの企業ネットワークへのアクセスな
ど、企業ネットワークでのIPv6利用推進、IPv4では実現が難しいP2P環境
でのIPv6利用推進、セキュリティ対応を含めた運用高度化検討等に取り
組んでいきたいと考えています。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 穂坂 俊之 (JPNIC理事/株式会社QTnet 執行役員 経営企画部長 兼
DX推進室長)
◆ 2024年のInternet Keyword:「AIの発展加速とガバナンス」
[理由]
2022年末に公開されたChatGPTは急速に社会に浸透し、アクティブユーザ
数が1億人に到達するのに、たった2か月しか要さなかったと言われてい
ます。2023年にはChatGPTに関連する商用サービスが多々リリースされる
など、AIの活用は不可逆的な潮流となっています。一方、AI技術の発展
と一般化に伴い、これを悪用されたらという懸念は増しています。また、
計算資源の需要急増がネットワークのあり方にとどまらず、産業界のサ
プライチェーンの各所に影響を与えているように、今後ますます社会的
な存在感は大きくなっていくはずですが、現状ではガバナンスの議論は
技術の発展に追いついていないように見えます。
かつてインターネットがグローバルに必要不可欠な技術・サービスに発
展を遂げ、ガバナンスの在り方が議論となったように、AIのガバナンス
も今後真剣に議論されることになるでしょう。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 松崎 吉伸 (JPNIC理事/株式会社インターネットイニシアティブ)
◆ 2024年のInternet Keyword:「共存と協調」
[理由]
2023年は多くのコミュニティイベントが本格的に活動を再開し、現地に
参加しての活発な議論が多く見られました。さまざまなネットワークが
共存し、相互接続して成り立っているインターネットでは、協調が欠か
せません。コミュニティはそのような協調の場であるとも言えます。イ
ンターネットの利用が広がるにつれ、さまざまな利害が生まれ、これま
でとは異なる領域での協調も必要となってきています。異なる立場を協
調的に乗り越え、今後もインターネットが社会の中で有効に活用されて
いくことを願っています。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 青木 邦哲 (JPNIC監事/株式会社ASJ 代表取締役社長)
◆ 2024年のInternet Keyword:「『AIの進化』と『法的な枠組み』」
[理由]
「AIの進化」は、各社の革新的なサービスによって具体化されてきまし
た。Googleの「DeepMind」は、医療や科学研究での複雑な問題解決に貢
献しており、IBMの「Watson」は、ビジネス分析や医療診断の精度を高め
ています。また、OpenAIの「ChatGPT」や「DALL-E」は、自然言語処理と
画像生成における驚異的な能力を示しており、クリエイティブな領域で
の活用が拡大しています。さらに、Microsoftの「Azure AI」は、企業向
けにさまざまなAIソリューションを提供し、業務プロセスの効率化に貢
献しています。AIの進化に伴い、倫理的、法的な枠組みが強化されつつ
あります。プライバシー保護、バイアスの軽減、透明性の確保など、AI
を安全かつ責任を持って利用するための基準が設定され、実施される年
になると思われます。AIを使うリスクよりも使わないリスクのほうが大
きくなる年になるのではないでしょうか。
└─────────────────────────────────┘
┌─────────────────────────────────┐
◆ 高宮 展樹 (JPNIC監事/ビッグローブ株式会社 執行役員常務
CNO プロダクト技術本部 副本部長)
◆ 2024年のInternet Keyword:「エリア分散」
[理由]
このたびの令和6年能登半島地震により被災・避難された皆さまに心より
お見舞い申し上げます。
国内のインターネットトラフィック交換拠点はこれまで東京・大阪の二
つのエリアが中心となっていましたが、いよいよ福岡エリアが立ち上がっ
てきました。エリア分散により、お客さまがよく利用するコンテンツが
エリア内に配置されることでより快適な通信が可能になり、またエリア
内での通信事業者間のトラフィック交換により、震災にも強いインター
ネットとなることが期待されます。この実現には、インターネット接続
事業者/コンテンツ事業者/IX事業者/CDN事業者等がエリアに進出する
ことが必要となります。福岡エリアへの各事業者の進出を促しつつ、次
なる地域「北海道・東北エリア」の立ち上がりにも期待したいです。
└─────────────────────────────────┘
◇ ◇ ◇
インターネットの最先端で活躍しているJPNIC理事/監事による、2024年の見
通しはいかがでしたでしょうか。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ◆◇◆◇◆ 本特集のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃
┃良かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/2050/f2c02fc0aa8a570730829cc1b2f06d25 ┃
┃ ┃
┃悪かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/2050/bb3eda935b959ae511e63945e5ae6f7b ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 2 】インターネット用語1分解説
「HTTP/3とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
HTTP/3とは、Hyper Text Transfer Protocol 3の略で、WWWでデータをやり
取りする方法の取り決め(プロトコル)です。2022年6月に正式なドキュメン
トがRFC 9114として公開されました。
HTTP/3はHTTP/2と似ているのですが、大きく違うのは通信の下位プロトコル
としてTCP (Transmission Control Protocol)の代わりにQUICを使うことで
す。そのため通信エラーが起きても通信が止まりにくくなっています。
TCPは送信されたデータが間違いなく、送信された順番で到達することを保
証してくれます。その代わり、データが一部欠けたり、間違っていたりした
場合、TCPのレベルでデータの再送信を要求します。これが問題になるのが、
HTTP/2で採用されたストリームを阻害することです。
HTTP/2では一つのTCPコネクションで複数のデータを同時にやり取りするた
め、ストリームという複数の仮想的な通信路を使います。通信が順調な時は
良いのですが、どこか一つでもエラーが起きると下位プロトコルのTCPレベ
ルでデータの再送が行われるので、HTTP/2の全ストリームが止まってしまう
のです。
これを改善するために、QUICという通信プロトコルが開発されました。QUIC
はTCPではなくUDP (User Datagram Protocol)を使っており、QUICのレベル
で多重ストリーム通信を実現しています。UDPはTCPほど厳密なエラー訂正を
行わないため、データエラーが起きても影響を受けるのは該当するストリー
ムだけで、他のストリームはそのまま通信を続行することをQUICが制御でき
るのです。
またQUICは必ず通信を暗号化することが定められています。現状では広く普
及したTLS (Transport Layer Security) 1.3を利用することで、開発の手間
を減らし、信頼性を確保するようになっています。
■参考
1分用語解説 HTTP/2とは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/http2.html
1分用語解説 QUICとは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/quic.html
RFC 9000: QUIC: A UDP-Based Multiplexed and Secure Transport
https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc9000
RFC 9114: HTTP/3
https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc9114
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. JPドメイン名
o 登録ドメイン数(2023年8月~2024年1月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ PA PJ TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
8/1|251 3827 473259 795 40190 12801 5456 6408 1901 2070 1103866 84090 9251 1333 1745498
9/1|251 3827 473975 794 40231 12814 5452 6417 1901 2068 1106482 84028 9251 1333 1748824
10/1|251 3824 474756 794 40286 12719 5346 6430 1902 2064 1108106 83854 9222 1333 1750887
11/1|251 3833 475645 800 40350 12746 5341 6438 1903 2063 1110012 83704 9200 1332 1753618
12/1 |252 3835 476401 808 40373 12740 5331 6451 1903 2062 1110262 83467 9107 1328 1754320
1/1 |251 3837 477259 805 40423 12731 5327 6457 1908 2060 1111298 83335 9089 1327 1756107
--------------------------------------------------------------------------------------------
GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
GJ:汎用ドメイン名 日本語
PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
PJ:都道府県型ドメイン名 日本語
2. IPアドレス
o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
(2023年6月~2023年11月)
------------------------------------------
月 | 割振 | 返却 | 現在の総量
------------------------------------------
6 | 1024 | 13312 | 91579784
7 | 330752 | 1024 | 91909512
8 | 2048 | 2048 | 91909512
9 | 1024 | 0 | 91910536
10 | 2048 | 512 | 91912072
11 | 512 | 0 | 91912584
------------------------------------------
□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/
3. 会員数 ※2024年1月12日 現在
---------------------
会員分類 | 会員数 |
---------------------
S会員 | 3 |
A会員 | 0 |
B会員 | 1 |
C会員 | 3 |
D会員 | 92 |
非営利会員| 9 |
個人推薦 | 28 |
賛助会員 | 40 |
---------------------
合計 | 176 |
---------------------
□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/
4. 指定事業者数 ※2023年12月6日 現在
IPアドレス管理指定事業者数 509
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2024.1.17(水)~19(金) JANOG53 (福岡県、博多国際展示場&カン
ファレンスセンター)
2024.1.29(月)~2.2(金) APAN57 (Bangkok, Thailand)
---------------------------------------------------------------------
2024.2.1(木) JPNICトークラウンジ第13回「鈴木 茂哉
さんに聞く、トラストとアイデンティティ
の未来」 (オンライン)
2024.2.6(火)~9(金) JPNIC技術セミナー (東京、JPNIC会議室 +
オンライン)
2024.2.12(月)~14(水) NANOG 90 (Charlotte, U.S.A.)
2024.2.19(月)~22(木) APTLD85 (Goa, Republic of India)
2024.2.21(水)~3.1(金) APRICOT 2024/APNIC 57 (Bangkok,
Thailand)
2024.2.26(月) AP* Retreat (Bangkok, Thailand)
---------------------------------------------------------------------
2024.3.2(土)~7(木) ICANN79 (San Juan, Puerto Rico)
2024.3.15(金) 第74回臨時総会(東京、アーバンネット
神田カンファレンス + オンライン)
2024.3.16(土)~22(金) IETF 119 (Brisbane, Australia)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
◇ ◇ ◇
メールマガジン以外でも、情報を発信しています!
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YouTubeでは各種解説動画を公開しています
YouTube https://www.youtube.com/@JPNIC_info
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JPNIC News & Views vol.2050 【定期号】
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101-0047 東京都千代田区内神田2-12-6 内神田OSビル4階
@ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp
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本メールを転載・複製・再配布・引用される際には
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