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【 1 】特集 「DNS運用健全化タスクフォース 2002年度活動報告」
JPNIC 技術部 小島育夫
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運用健全化タスクフォース(DNSQC-TF)は、DNSの設定状況を把握し、運用
の健全化を図ろうという目的で、WIDEプロジェクト、JPRS、JPNICの共同プロ
ジェクトとして2002年4月に設立し活動を開始しました。
本特集では、2002年度の活動報告書を取りまとめ公開しましたことをお知らせ
するとともに、DNSQC-TFの活動概要を紹介します。詳細につきましては、以下
のURLをご参照ください。
□DNSQC-TFについて
http://www.nic.ad.jp/ja/dnsqc/index.html
□活動報告書
http://www.nic.ad.jp/ja/dnsqc/dnsqc-tf-report-2002.pdf
◆活動概要
2002年度は、以下のような活動を実施してきました。
2002年 4月 DNSQC-TF設立
2002年 6月 DNS設定状況の予備調査の実施
2002年 7月 IEPGでの報告「JPNIC Study on DNS misconfiguration」
2002年 7月 JANOG10での報告「DNS運用の健全化に向けて」
2002年11月 DNS設定状況の試行調査の実施
2002年12月 IW2002 DNS-Dayでの報告「DNS運用健全化タスクフォース」
2002年12月 IW2002 IP meetingでの報告
「国際化ドメイン名(IDN)とDNSの適切な設定に向けて」
2003年 1月 DNS設定状況の本調査の実施
2003年 1月 JANOG11での報告「DNS正引きの実態」
2003年 3月 IEPGでの報告「DNSQC-TF (DNS Quality Check Task Force) Update」
2003年 3月 2002年度活動報告
DNSQC-TFは、DNSの運用健全化を図るために現状の調査分析が必要であると考
え、DNS設定状況の調査項目を整理し、調査プログラムの開発を行い、予備調
査・試行調査・本調査を実施してきました。ここでは、本調査の結果について
簡単に説明します。
2003年1月に実施した本調査は、JPドメイン名(約42万)を調査対象としてい
ます。この調査結果を見ると、全体の37.9%のドメインに、不適切な設定があ
ることがわかりました。
具体的には、上位ゾーンであるレジストリに登録されたネームサーバと、当該
ゾーンで定義されているネームサーバが一致していないドメインが24.6%あり
ました。また、レジストリに登録されたネームサーバが、当該ゾーンの情報を
持っていない不完全委任(Lame Delegation)の状態のネームサーバを有する
ドメインが17.8%ありました。さらに、当該ゾーンの情報が全く得られなかっ
たドメインが11.1%もありました。
DNSの設定は、上位ゾーン(レジストリ)との関係や、プライマリ・セカンダ
リネームサーバ間の設定の整合性など、一ヶ所でも設定に誤りや変更漏れがあ
るとDNSの運用に支障をきたします(適切な名前解決「ドメイン名とIPアドレ
スの対応づけ」ができなくなり、インターネットの利用ができなくなります)。
このような状況を把握・改善し、DNSの運用を健全化することが求められてい
ます。
◆今後の活動
2002年度は、初年度にもかかわらず、「調査項目の整理」「調査プログラムの
開発」「本調査の実施と分析」を行うことができ、大きな成果を得られたと感
じています。しかしながら、本調査は一度だけの実施で終わってしまいました。
今後は、定期的に調査を実施し、問題の分析や対策対処法の提供など、DNSの
運用健全化に向けた活動をさらに進めていきたいと考えています。
インターネットは、DNS管理者一人一人に支えられていると言っても過言では
ありません。DNSQC-TFの活動趣旨をご理解いただき、より安定したインターネ
ットの運用のためにご協力いただければ幸いです。