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ニュースレターNo.36/2007年7月発行

インターネット歴史の一幕:
End Userからの発想

札幌医科大学大学院医学研究科生体情報形態学(解剖学)教授兼任学長補佐 / 辰巳治之

インターネットには、言いだしっぺの法則があるようで、「ああだ」、「こうだ」と言っていると、仕事がつぎつぎ降ってきた。

昭和の時代に、インターネットに触れ、これからはインターネットだと、身震いした。平成元年に、札幌に赴任して、インターネットの口を探したが、JUNETしかなくがっかりした。二日目にようやく、北大の青木由直先生のところに行き、北大の三谷先生を紹介いただき、そこからダイアルアップでワークステーションに接続してもらった。早速当大学の学長、副学長に相談し、勝手にsapmed.junetのドメイン名を取得した。

なかなか快適な環境にならないので、JUSの代表であった村井純さんや、日本の学術情報ネットワークのボスであった猪瀬博先生、UNIX、C言語の日本の元祖といわれる石田晴久先生や、日本で初めて医療系ネットワークを計画した開原成允先生、JCRN(研究ネットワーク連合委員会:学会の学会のような会で、JNIC→JPNICの生みの親であるhttp://www.sapmed.ac.jp/jcrn/)の元祖である野口正一先生、解剖学会のデータベース委員長であった養老孟司先生に相談した。そうすると、それぞれの先生からいろいろな仕事が逆に、舞い込んできた。

解剖学会代表としてのJCRNへの出席、科研費総合Aへの参加、JCRNの幹事、JPNICの運営委員、解剖学会でのインターネット利用、情報G7プロジェクト担当、科学技術振興調整費によるプロジェクト、省際ネットワーク接続、創造的ソフトウェアー育成事業、先進アプリケーション基盤整備事業などの仕事、プロジェクトをさせていただいた。

この中でインターネット研究の質をあげるために東大の釜江常好先生にお願いしたら、みんなで走り回って協力会社を集め、ITRC(日本学術振興会産学連携研究第163インターネット技術研究委員会:代表 宮原秀夫先生http://www.itrc.net)を作ることになった。こちらも運営委員、分科会を主宰することになってしまった。また、いくらトライしても手の届かないようになっていた未来開拓研究も、このITRCには一本釣りでお上から降ってきた。

こんな活動をしていたら、いろいろなところから相談を受ける。よく聞くと、それは自分も困ることなので一緒になって考えていると、まとまりを持った活動が必要になってくる。そこで、任意団体ができ活動をしていると、JPNICもそうであったが、任意団体だと周りから認めてもらえないことがある。時代も我々の動きについてきたのか、もともとNon Profit Organizationであったのだが、これらの活動がNPOとして法人格を持つことができるようになってきた。ふと気がつくと、まだ、NPOになっていないものもあるが、10個ほどの活動ができてしまった。

●NORTH(北海道地域ネットワーク協議会)http://www.north.ad.jp 代表
JPNICにいち早く参加し、インターネットを北海道に初めて持ってきた団体
●IHJ(日本インターネットホスピタルジャパン)http://www.ihj.net 顧問
電子メールでも医療相談をするボランティア団体
●JIMA(日本インターネット医療協議会)http://www.jima.or.jp 理事長
インターネット上の医療情報質向上のための社会的システムの確立
●JAMINA(日本医療情報ネットワーク協会)http://www.jamina.jp 副理事長
医療情報ネットワークのあり方、必要な技術、アプリケーションなどに関する活動
●SSN(札幌シニアネット)http://www.north.ad.jp 顧問
●OSSN(小樽しりべしシニアネット)http://www.north.ad.jp 顧問
インターネットを基盤にしたシニアの活動
●MERI Japan(Medical Education and Research Institute Japan)理事
●楽市楽画 理事
●PML研究会 http://www.pml-research.org 会長
●北海道感性開発ネットワーク

などである。

このような活動の中から、そろそろインターネットを医療系でも使えるようになってきたと考え、戦略的防衛医療構想※1なるものを提唱して、プロジェクト推進している。こうなるとますますインターネットはライフラインとして必要になってくる。そこで、格安の安定したネットワーク構築は重要で、IPv6に移行するにあたって、これらのことが実現できるように、IPv6 Topological Addressing Policyを提案し、2002年のJPNIC Open Policy meetingにて発表した。また、新しいシステムとして、VGN(Virtual Global Network)により仮想医療系ネットワークの実現をめざしている。

あれから、もう19年も経ち、世の中かなり変わってきたが、まだまだ、21世紀初頭である。これからが本当の21世紀らしいサービスが出現する。そのためにも今後のインターネット構築、JPNICのしっかりした活動に期待するものである。

※1 「戦略的防衛医療構想(Strategic Defensive Medical-Care Initiative)」とは、戦略防衛構想がITをフル利活用して、ミサイルが飛んで来るのをいち早く察知して、その軌道をすばやく計算し、タイミングよく空中で破壊することにより、積極的な攻撃は行わず、究極の防衛を実現していることにヒントをえて、医療系で実現しようと、我々が提案しているものである。この実現のためには、「ゼロクリック」と「どこでも逆ナースコール」による「情報薬(Info-Medicine)」の開発、その処方の仕方、そしてアクションを起こすタイミングが非常に重要になってくる。これら一連の発想のバックグラウンドには、何十億年もの間、進化し続けてきた生物に埋め込まれている、いわゆるtime-honored systemがあり、それを解剖学的手法により解析し、社会へ応用したのが、ITをフル活用した戦略的防衛医療構想である。

参考)
  • End User、地域ネットワーク、医療系からのニーズによる
    IPv6 Topological Addressing Policyの提案 (IPv6 位相空間アドレスポリシー)
    Internet Week 2002 JPNIC IPv6 Open Policy Meeting in 横浜パシフィコ
    http://www.nic.ad.jp/ja/materials/ip-users/200212/JPNICopenPolicyMeeting2002-1.pdf
  • ユビキタス時代の健康管理「戦略的防衛医療構想」の実現をめざして
    辰巳治之、中村正弘、高橋正昇、明石浩史、戸倉 一、大西浩文、西陰研治、和辻徹、
    唐川伸幸、森部泰昭、 秋山昌範、開原成允、村井純、田中博
    COMPUTER & NETWORKLAN P7-14:No250, Aug 2004

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