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ニュースレターNo.37/2007年11月発行

ASO ACについて

私(穂坂)は、2007年1月1日から2007年12月31日までの任期でASO ACの任に就いています。この機会に普段表に出ることは少ないASO ACとは何か、またその役割や歴史的背景、今年度のこれまでの活動などについてご紹介したいと思います。

写真:穂坂俊之
2007年1月よりASO ACを務めるIP事業部 穂坂俊之

ASOとASO AC

ASOは、ICANNの一組織です。ICANNの組織構造は、理事会と各種委員会、そして三つの支持組織(SO:Supporting Organization)がその基本となっています。支持組織はそれぞれ関連する分野の方針策定について理事会に助言、勧告を行う役割を負いますが、このうちIPアドレス、AS番号などのインターネットの番号資源に関する分野を受け持つのが、アドレス支持組織(ASO:Address Supporting Organization)です。

ASOの意思決定は、世界各地から選出された15人の評議員による合議制でなされます。この評議会をASO AC(ASO Address Council)と呼んでいます。

ASO ACの構成と役割

ASO ACの構成と役割は、ICANNとNRO(Number Resource Organization)※1が2004年10月に締結した、ASO MoU※2と呼ばれる文書で規定されています。この文書によると、「ASO ACは、NROの番号評議会(Number Council - NC)メンバーで構成される」と定義されており、ASO ACがNRO NCと同一の構成員からなることがわかります。つまり、定義付けの順番から見ますと、NRO NCが主たる肩書で、ASO ACは従たる肩書であるとも言えます。GNSOでは、「部会のメンバーから選挙によって、もしくは選考委員会の選出によって評議員の席を得る」と定義されていることと比較すると一種独特です。

NRO NCには、五つのRIRから3人ずつが選出されます。3人のうち2人はコミュニティから立候補を募り、RIRミーティングの場で出席者による投票が行われて選出されます。残り1人はRIRの理事会が指名を行います。任期はRIR毎によって若干違いますが、APNIC地域の場合、選挙によって選出されたメンバーは2年、理事会選出のメンバーは1年と定められています。私は2006年12月のAPNIC理事会で指名を受けましたので、2007年1月から1年の任期となっています。

ASO ACの主な役割は、以下の通りです。

  1. IANAからRIRへの番号資源割り振りポリシー(グローバルポリシー)提案が全てのRIRで合意に達した場合、ICANN理事会へ回付して承認を求めるか、RIRのポリシーフォーラムへ差し戻すかの判断を行い、実行する。
  2. 新RIRの承認に関し、ICANN理事会に対して勧告を行う。
  3. ICANN理事会メンバー15名のうち、2名の指名を行う。
  4. ICANN理事会に対し、番号資源割り振りポリシーに関する助言をRIRとともに行う。

上記の通り、定義されている役割はICANN理事会との関係に重点が置かれています。ISPの日常業務に直接的に大きな影響を与える、RIRの番号資源割り振りポリシーはRIRのフォーラムで議論され、RIRの判断として実装が決定されますので、RIRのポリシー策定プロセスにおいてASO ACが組織として何らかの関与をするということはありません。もちろん個々のメンバーはコミュニティの一員として議論に参加しています。

ASO ACとNRO NC、その歴史的背景

冒頭で、ASO ACは従たる肩書で、主たる肩書はNRO NCであると述べました。これには歴史的な背景があります。現在のASO MoUは、元々1999年にICANNとRIRが締結した文書※3(これもASO MoUという表題です)を上書きしたものですが、1999年時点ではNROという組織自体誕生していないため、ASO ACの選出は各RIRで行うという単純な規定でした。

その後、2002年初頭に当時のICANN事務総長が発表した、ICANN改革案※4を発端とした議論の中で、ICANNとRIRの関係を再定義する提案※5がRIR側から提出されました。提案にはIANA機能のRIRへの委譲も含まれていましたが、RIR側の提案動機は、ICANNの万一の破綻に対する懸念、そして安定した資源分配の継続への責任感だったと言えます。それは、当時RIR側がICANNに提出した公開書簡※6の記述からもうかがうことができます。少し長いですが、以下に一部を引用します。

RIRはICANNが民間法人であり、その将来が絶対的に保証されているわけではないことを認識している。いかなる民間法人にも破綻するリスクがある。ICANNの破綻は、未割り振り番号プールの凍結というリスクをはらんでおり、それは次にレジストリの運営継続、およびそのポリシーの施行にも重大なリスクをもたらすことになる。ここでの究極のリスクは、番号管理における状態の変化、すなわち、番号資源の割り当て内における一意性の保護から、無秩序な番号の体制への転換を意味し、インターネットアドレスの領域における一貫性の崩壊を必然的に含むと思われる結果を伴う。明らかに、これはどんな状況下でも受け入れられる結果ではない。

こうした議論を経て、外部組織(ICANNを想定しています)に対して、RIRが集合的に一つの調整組織、連合体として機能する受け皿として、NROが2003年10月に設立され、併せてASO MoUも改訂されることになりました。RIR側としては、万一ICANNが機能不全に陥ったとしても、NROがIANA機能を受け継ぎ得るというセーフティネットを作る思惑もあったと思われます。この議論においては、万一とはいえICANNが機能不全に陥るケースをRIR側が想定したこともあってか、ICANNとRIRとの間に微妙な緊張関係を作ることとなりました。

この緊張関係は、2003年12月の国連世界情報社会サミット(WSIS)ジュネーブ会合を発端とした、インターネットガバナンスに関する議論の高まりを受けて解消へ向かいます。現行のICANNを中心とするインターネット資源分配等の管理を、ITUなどの政府間組織に移管すべきだという主張が一部の国からなされたのを受け、NROはあらためてICANNを全面的に支持する立場を表明※7し、ICANNといわば共同戦線で論陣を張りました。

WSISでは、結局既存のインターネット資源分配に関する決定はありませんでしたが、それを一つの契機として、相互の役割についての再定義といった対話が、ICANNとRIRの間で継続されています。

話が少し脱線しましたが、上記のような経緯から、現在のASO MoUではRIRの連合体であるNROがASOの機能を果たすと規定されており、これがNRO NCが主たる肩書であることの理由です。この体制からは、IPアドレスの管理とその方針策定へのRIRの強い意志、責任感をうかがい知ることができるのではないでしょうか。

2007年のこれまでの活動

ASO ACの活動に話を戻します。

ASO ACでは、月1回の電話会議を中心にその意思決定が行われます。ICANNやRIRのオブザーバを含めると総勢20名強の電話会議となり、開始時間は日本時間で午前7時が通例です。人数が多い電話会議ということもあり、最初は誰が話しているのかさっぱりわからず、発言のきっかけをどう掴むかも苦労しましたが、回数を重ねるにつれこの形式に段々と慣れてきました。

以下、今年これまでに行った主な活動について記します。

(1)2007年5月のICANN理事改選において、Raimundo Beca氏を指名(再任)
今回のASO指名理事改選枠1に対し、8名の立候補がありました。選出プロセスは2007年の頭から開始されましたが、まず、ASO ACは各人から提出された履歴書、質問状への回答をもとに候補者の絞り込みを行いました。その後、2007年3月のICANNリスボンミーティングでの面接、2007年4月のARINミーティングでの議論を経て、最終的に2007年5月のASO ACによる投票でRaimundo Beca氏が過半数の票を得て、ASO ACの指名を受けることとなりました。
(2)2007年5月のLACNICミーティングで提出された2件の提案を、グローバルポリシー※8提案として認定
上記の電話会議では、IANAからRIRへのAS番号割り振りポリシー提案※9およびIANAのIPv4残存アドレス割り振りポリシー提案※10について、グローバルポリシー提案としての要件を満たしていることを認定しました。LACNICでは上記2提案とも承認されたので、今後残り四つのRIRで承認された後、ASO ACがICANN理事会へ承認を求めるか、あるいは差し戻すかの判断を行うことになります。
(3)ICANNミーティングにおけるASOワークショップの開催
IPアドレス関連のポリシー議論は、そのほとんどが各RIRのフォーラムで行われていることもあり、近年ではICANNの場において、ASOが一般の参加者向けにワークショップを行うことはほとんどありませんでした。しかし、今年に入ってIPv4アドレス在庫枯渇の議論が世界中で始まったこともあり、ASO ACでは今年はこのテーマを中心に、ICANNミーティングの場でワークショップを行うことを決めました。既に、2007年3月のリスボンミーティング、6月のサンファンミーティングでワークショップを開催していますが、次回10月のロサンゼルスミーティングでもセッションの時間を確保し、目下アジェンダや話者、形式について議論しているところです。

また、これら以外にも、各地で提出されているポリシー提案の情報交換や、ASO Webサイトでの情報提供のあり方、グローバルポリシー提案の進め方についての確認などを、適宜メーリングリスト上などで行っています。

今後の動き

ASO ACでは、電話会議やメーリングリスト上のやり取りだけではなく、1年に2回、Face to Faceのミーティングが設定されています。今年1回目は既にARINミーティングで実施され、2回目は10月のICANNロサンゼルスミーティングでの会合が設定されています。

この会議に先立ち、9月にはAPNICミーティング、直前にはARINミーティング、RIPEミーティングが相次いで開催され、2件のグローバルポリシー提案が議論されます。また、直後には2年目を迎えるインターネットガバナンスフォーラム(IGF)がリオデジャネイロで開催される予定になっており、ここではIPv4アドレス在庫枯渇についても議論されると思われます。

既にICANN理事会やRIR、NIRが続々とIPv4アドレス在庫枯渇に関する声明を出していることもあり、この秋にはこれらのミーティングにおいて、IPv4アドレス在庫枯渇対策の議論の機運がさらに大きく高まり、ASO ACが持っている「番号資源割り振りに関する助言をICANN理事会に行う」という機能も、今後さらに重要性を増していくのではないでしょうか。

今後もASO ACの一員としてこれらの議論に参加しつつ、適宜皆様へのフィードバックを行いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

(JPNIC IP事業部 穂坂俊之)


※1 Number Resource Organization(NRO)
APNIC、ARIN、LACNIC、RIPE/NCCの四つのRIRにより、2003年10月24日に設立された非営利組織で、RIR全体として外部組織との調整が必要な場合に全RIRを代表する組織となります。
インターネット用語1分解説 ~NROとは~
http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/nro.html
※2 ICANN Address Supporting Organization(ASO)MoU
原文 http://aso.icann.org/docs/aso-mou2004.html
日本語参考訳 http://www.nic.ad.jp/ja/translation/nro/20041021.html
※3 Memorandum of Understanding ICANN Address Supporting Organization
http://aso.icann.org/docs/aso-mou.html
※4 President's Report: ICANN - The Case for Reform
原文 http://www.icann.org/general/lynn-reform-proposal-24feb02.htm
日本語参考訳 http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/2002/20020224-reform-proposal.html
※5 Regional Internet Registries' Submission to the Committee on ICANN Evolution and Reform
http://www.apnic.net/community/icann/docs/rir-statement-20020621.html
※6 Open Letter to ICANN from the Regional Internet Registries
原文 http://www.apnic.net/docs/drafts/draft-nro-proposal-20030923.html
日本語参考訳 http://www.nic.ad.jp/ja/translation/apnic/nro-02.html
※7 NRO Comments Concerning ICANN and the World Summit of the Information Society
http://www.nro.net/archive/news/nro-wsis-240304.html
※8 グローバルポリシー
アドレスポリシーのうち、IPアドレスやAS番号における管理構造の最上位であるIANAにおいて、RIRへの割り振りなど具体的な行為を求めるポリシーを指します。IANAの業務に関するポリシーとなるので、各RIRでの地域ポリシーの策定プロセスに加え、ICANN理事会での承認が必要となります。
※9 LAC-2007-08 IANA Policy for Allocation of ASN Blocks to Regional Internet Registries
http://lacnic.net/documentos/lacnicx/LAC-2007-08-en.pdf
※10 LAC-2007-07 Global Policy for the allocation of the remaining IPv4 address space in the Regional Internet Registry system
http://lacnic.net/documentos/lacnicx/LAC-2007-07-en.pdf
IANAの/8在庫が25になった段階で、五つのRIRに五つずつの/8を分配し、IANAの在庫を0にするという提案です。

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