メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ニュースレターNo.38/2008年3月発行

インターネットのステークホルダー

日本インターネットエクスチェンジ株式会社 代表取締役社長/石田慶樹

組織においてはステークホルダー(利害関係者)について常に考える必要があります。企業のステークホルダーは、当初は投資家である株主と顧客がそれにあたると考えられていましたが、近年の傾向として企業の社会的責任の文脈においては、企業の活動に関わる全ての関係者、すなわち投資家や顧客以外にも従業員と取引先、さらには地域社会までも含めるようになっています。

インターネットにおけるステークホルダーについては、いみじくもJPNIC News & Views vol.421()にて前村氏がマルチステークホルダリズムについて説明されているように、インターネットという仮想世界に直接関わる利害関係者が複数の領域に存在し、さらには現実社会における国際機関や国家、さらには企業やNPO等の組織が密接に関わっているように見ることができます。そして、そのステークホルダーの中にはこれまでのインターネットにおいて共有されていたある種の価値観に対して無関心である、あるいは反発しているような新たなメンバーが加わってきているのが実際のところでしょう。この結果として、インターネットのガバナンス、標準化、さらには運用などさまざまな局面における意思決定のスピードが、以前のような技術者を中心とする直接的利害関係者によるものと比べるべくもなくなり、さらには情報化によってもたらされた社会そのものの動きと比較してもずいぶん遅くなっているように感じます。

一方で、インターネットの中ではデジタル化された情報を全て集積することによりその中心核を構成しようとする動きや、あるいは現実とは別のグローバルなコミュニティ世界を構築しようとする試みなどいくつもの試みが行われています。これらの動きは、想像を絶するようなスピードで進んでいっているのがもう一つの現実となっています。

つまり、ステークホルダーが増えたことによるスピードの鈍化ということがある一方で、そのステークホルダーの一部は想像を超えた資源とスピードにより前に進み続けているというのが、今のインターネット環境の現状であるかのように見えます。そのような状況の中では、社会基盤の一部としての使命を果たし続けられるように舵を取り続けることに、ますます困難が増えてくることは明らかです。その中でも適切なスピードで物事を進めるためには、それぞれの局面においていたずらにリスクを恐れることなく速やかに選択を行っていくこと、およびその選択についてステークホルダーに対して説明責任を果たすこと、これら二つが重要であるのではないかと考えるようになりました。ステークホルダーとカウントされる人たちが増えるに伴い、説明責任を果たすためには一定の合理性をもった選択であることが必要となります。また、ステークホルダー側は説明を受け、結果がどうであれその選択が合理的であれば受け入れるということも必要になろうかと思います。

もうずいぶん昔の話となってしまいますが、ちょうど常時接続ブロードバンドが日本にも到来しようかという時期に、その流れに逆行するような業務をJPNICが行っているように見えました。その業務のあり方自体はもともとあったルールに則ったものであり間違いであったとは言えないですが、一方で本来考えられていた理念やあるいは海外を含む周辺の状況に鑑みると混乱を招いていることは明らかでした。そのような事態に対して、影響を受ける側の当事者でもあったために正式な窓口から直接的にクレームを言ったこともありましたが、やがてその状況はいろいろな経過を辿った後に大きく改善されました。

ただ、その原因や改善に至る経緯について、JPNIC会員やIPアドレス管理指定事業者といった直接的なステークホルダーに対しての明確な説明があったという記憶はありません。また、当時そのような状況になっていたことについてステークホルダーの代弁者であるべき人たちが認識し、何らかの行動を起こしていたのかも不明です。さらには、そのようなある種の混乱の時期があったことが現在のメンバーに引き継がれているのかは外からではわかりません。

IPv4アドレスの枯渇が現実味を帯びてきた昨今、JPNICをはじめとするレジストリは非常に舵取りが難しい局面がやってくることは想像に難くありません。その際には、JPNICが以前の事態から得られた教訓を活かして、ステークホルダーに向き合いつつ、批判を恐れずに速やかな行動をとり、さらにきちんとした説明責任を果たされることを切に望みます。

※ JPNIC News & Views vol.421【臨時号】「IGFを振り返る」
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol421.html

執筆者近影 プロフィール●石田慶樹 (いしだ よしき)
1988年 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程修了
1988年 東京大学助手に採用
1994年 九州大学講師に昇任
1998年 メディアエクスチェンジ(株)入社
2005年 (株)パワードコム入社
2006年 合併によりKDDI(株)に所属
2006年 日本インターネットエクスチェンジ(株)に出向
2007年より現職

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

このフォームをご利用した場合、ご連絡先の記入がないと、 回答を差し上げられません。 回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2020 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.