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ニュースレターNo.42/2009年7月発行

IDN ccTLDの導入と日本における検討状況

はじめに

現在、ドメイン名やIPアドレスなどの、インターネットの論理資源を世界的に管理しているICANN※1において、IDN ccTLDと呼ばれる新しいccTLDの導入が検討されており、今後のスケジュールが順調に進めば、早ければ2009年末にも申請受け付けが開始される見込みです。

このIDN ccTLD導入が実現した場合、日本においても、ccTLDとして以前から日本に割り当てられている「.jp」に加え、もう一つ新しいccTLDが利用可能になります。

本稿では、このIDN ccTLD導入のこれまでの経緯と、日本における検討状況について紹介します。

IDN ccTLDとは

まず、ドメイン名には大きく分けて、「gTLD(Generic TopLevel Domain:分野別トップレベルドメイン)」と呼ばれるものと、「ccTLD(Country Code Top Level Domain:国コードトップレベルドメイン)」と呼ばれるものの2種類があります。※2

「gTLD」は、特定の領域や分野ごとに割り当てられたドメイン名で、多くのものは世界中から登録が可能です。主なgTLDとして、.comや.net、.orgなどがあります。また、「ccTLD」は、ISO(国際標準化機構)が策定している、ISO 3166-1※3と呼ばれる各国および地域に割り当てられた2文字からなる地域コードに基づいて、それぞれの国や地域に割り当てられているドメイン名です。

普段みなさまが利用されている.jpはこのccTLDの一つで、日本に割り当てられているドメイン名です。他には.cn(中国)や.de(ドイツ)、.uk(イギリス)などがあります。ccTLDには、.jpのように登録がその国からに限られるドメイン名もあれば、.tv(ツバル)や.to(トンガ)などのように、世界中から登録を受け付けているものもあります。

一方、「IDN(Internationalized Domain Name:国際化ドメイン名)」※4とは、以前から利用可能なアルファベットや数字、ハイフンなどのASCIIで規定されている文字に加え、漢字やひらがな、アラビア文字、ハングルといった文字を利用可能にする技術、もしくはそれらの文字を利用したドメイン名のことを指します。既に広く利用されている、「日本語.jp」や「日本語.com」などは、このIDNの一例です。

IDN ccTLDとは、いわばccTLDとIDNを組み合わせたもので、IDNの技術をトップレベルドメインに導入することにより、現在ccTLDで使われている「.jp」のような2文字のアルファベットからなる地域コードに替わって、「.日本」などのように、トップレベルドメインを表す文字列に、ASCIIで規定されているもの以外の文字を使うccTLDです。

IDN ccTLDの恒久的ポリシー

IDN ccTLDの導入に関しては、ICANNの支持組織※5の一つであり、ccTLDに関するグローバルポリシーを策定しているccNSO(The Country Code Names Supporting Organization:国コードドメイン名支持組織)※6で検討が行われています。

ccNSOでは、ccNSOにおけるポリシーを策定するプロセス(Policy Development Process、以下PDP)※7に従って検討が行われており、IDN ccTLDの導入にあたって考慮すべき主な課題として、例えば次のようなものが挙げられています。

TLD文字列について

  • TLDに利用できる文字列の一覧を作るべきかどうか
  • TLDを表す文字列は何らかの意味がある文字列であるべきか
  • 各国(地域)に認められるTLDは一つなのか複数なのか

手続きについて

  • 必須条件としてどのようなものが必要か
  • TLDに利用できる文字列の一覧を用意しない場合、誰がTLDの文字列を決めるのか
  • さまざまな関係者がどうやって協力しあうべきか

恒久的に利用できるIDN ccTLDを規定するポリシーを策定するにあたっては、これらの内容について周到に検討する必要があります。そのため、これら全てについて検討を終えるまでには、数年単位の時間が必要だと考えられています。

Fast Trackアプローチ

しかし、このように長い時間がかかるならば、近年高まっている、IDN ccTLDに対する高い需要に迅速に応えることができません。そこで、2007年前半頃から、恒久的なポリシーの検討と並行する形で、「Fast Track」と呼ばれる、暫定的なアプローチによるIDNccTLDの導入が検討されるようになりました。※8このFast Trackでは、技術、運用、ポリシーなどの面で問題が生じない範囲で、限定した数のIDNccTLDを、比較的早期に導入することを目指しています。

Fast Trackの検討過程においては、TLD文字列の選定メカニズムと管理者委任(レジストリ選定)のメカニズムが主な課題として検討されました。その検討内容を踏まえた上で、2008年10月にICANNからIDN ccTLDの実装計画ドラフト案の公開とパブリックコメントの募集が実施され、2009年2月にはさらなる改訂版が発行されています。

あくまで限定的な導入のため、例えば申請できるTLD文字列として

  • 申請されたTLD文字列がその国の公用語であること
  • ラテン文字ベースのスクリプト(文字種)以外であること
  • 国または地域ごと、1言語または1スクリプトごとに申請できるTLD文字列は一つまで
  • TLD文字列がその国の公式名を意味するものであること

などの要件が設定されています。

IDN ccTLDの申請とその審査方法

最新の実装計画案では、Fast TrackアプローチによるIDNccTLDの申請について、次のような手順を踏んで審査が行われるとされています。

1. 申請の前提条件

申請者がIDN ccTLDの申請を行うにあたっては、国または地域および関連コミュニティが、以下の全てに関して支持を表明している必要があります。

  • 申請されたTLD文字列について
  • 申請者がレジストリとなることについて
  • 申請者が作成した「IDNテーブル(使用する言語と文字種)」について

2. 申請書の審査

申請書の内容については、

  • 内容がICANNが用意している定型フォームの形式にあっているかどうか
  • 申請した文字列を選ぶまでのプロセスが適切かどうか
  • 申請したその文字列が、DNSをはじめとする既存のインターネットに影響を与えないかどうか

などが審査されます。

3. ICANN理事会による審査

1.および2.に問題が無かった場合、その申請はICANN理事会による審査を受けることになります。ICANN理事会では、

  • 運用および技術に関する能力、IP接続性があること
  • オペレーター、運用責任者の連絡先がその国または地域内に存在すること
  • 全ての申請者を公平に扱うことができること
  • 関連コミュニティ/該当国または地域の政府の支持を得ていること

について審査されます。

また、申請者は申請書において、

  • RFC 1591(DNSの構造と権限委任に関する技術要件)※9
  • ICP-1(ccTLDの管理と委任についての要件)※10
  • GAC※11原則(ccTLDの管理と委任についての「GAC原則」)※12

の準拠状況について、明示する必要があるとされています。

申請がこれらの条件を全てクリアした場合、Fast Trackアプローチに基づいた新しいIDN ccTLDの導入が認められることになります。

日本国内における検討

IDN ccTLDの導入にあたっては、前述の実装計画に沿った審査が行われることとなりますが、基本的には従来のccTLDと同様に、グローバルな空間の一部を担うという原則の下で、各国および地域の意向が尊重されます。

そこで、日本国内においても、このようなFast TrackアプローチによるIDNccTLD導入に関する国際的な検討を受け、2008年11月に総務省の情報通信審議会情報通信政策部会 インターネット基盤委員会において検討が開始されました。※13委員会での検討の結果を受けた報告書案が2009年5月に発表され、1ヶ月間のパブリックコメントの募集が実施されました。※14

この報告書案では、IDN ccTLD以外の新gTLD導入や地理的名称に関連するTLDにも言及されていますが、ここではIDNccTLDに関連する部分について取り上げます。報告書案では、主に四つの大きな項目について検討が行われており、それぞれ次のようにまとめられています。

1. 新たなトップレベルドメインの文字列について

「国か領土の名前」または「その一部もしくは短縮形」の条件を満たす文字列の中で、

  • ひらがなやカタカナ表記では、「にほん」「にっぽん」など二通りの表記があることから混同の恐れがある
  • 覚えやすく短い方がドメイン名として適している
  • 「日本国」よりも「日本」の方が馴染みやすい

などの理由から、トップレベルドメインの文字列として、「日本」が適当である。

2. トップレベルドメイン運用の基本ルール

ドメイン名の有効活用のため、「.jp」の登録者や商標権者などに配慮した優先登録などの措置を講じた上で、「.日本」と「.jp」の登録者を同一に限らない方が良い。

また、導入当初は登録者を日本の個人または法人に限定した方が望ましい。

3. レジストリの選定方法

新レジストリは民間主導で選定し、国はその結果を原則尊重してICANNに推薦状を送付することが適当である。具 体的には、事業者団体や公益法人等からなる民間の協議会が選定委員会を設け、その委員会により公正・中立・透明な比較審査を実施するのが望ましい。

また、既存の「.jp」のレジストリが「.日本」のレジストリに応募することも可能とすべきであるが、一方で、新規の事業者が不利にならないように配慮が行われるべきである。

4. レジストリ業務の監督体制

3.で述べた民間協議会が監督委員会などを組織し、国の協力のもと公正・中立・透明な監督体制を整備する必要がある。

この報告書案に対するパブリックコメントが2009年6月3日まで受け付けられ、その結果を反映した最終的な報告書が、総務省の情報通信審議会に提出されます。

その後、2009年7月にも情報通信審議会による答申の取りまとめが行われ、日本国内におけるIDNccTLD導入に対 する方針が決定される予定です。

今後の展開

実際に「.日本」の登録受け付けが開始されるためには、

  • ICANNによるIDN ccTLD実装計画案の最終承認
  • 日本国内における新たなレジストリの募集と選定
  • 新レジストリに対する政府当局のエンドース( 承認)とICANNへのIDN ccTLDの申請
  • ICANNによる新レジストリの審査・承認

というステップを踏む必要があります。

まず、ICANN側のスケジュールですが、ICANN理事会によるIDNccTLD実装計画案の最終承認は、早ければ2009年末までに行われる予定です。

一方、日本国内においては、総務省の情報通信審議会によるIDN ccTLD導入に関する方針決定とあわせて、新レジストリの募集と選定が民間主導により進められることになりますが、こちらのスケジュールについても、ICANNによるIDN ccTLD実装計画の最終承認が最も早くなった場合でも間に合うように、作業が進められる見通しです。

IDN ccTLDの導入は、同時期の導入をめざして作業が進められてきた新gTLD導入に引きずられる形で、これまで何度もスケジュールの変更が繰り返されてきています。しかしながら、ICANNにおける最近の議論では、ここに来てさらなる遅れの可能性が出てきている新gTLD導入に引きずられて、これ以上IDNccTLD導入が遅れるのは避けたいという様子もうかがえます。そのため、スケジュールが多少後ろにずれる可能性はあるものの、そこまで大きく遅れることは無いだろうと考えられています。

従って、早ければ2009年末から2010年初頭にかけて、遅くとも2010年中には、「.日本」をはじめとするIDN ccTLDの登録受け付けが、実際に開始される可能性が比較的高いと言えます。

JPNICでは、今後も本件に関する情報収集を行うとともに、各種報告会やメールマガジン、ニュースレターなどを通じて、読者のみなさまにお伝えしていく予定です。

(JPNIC インターネット推進部 是枝祐)


※1 ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)
インターネットの各種資源を全世界的に調整することを目的として、1998年10月に設立された民間の非営利法人です。
インターネット用語1分解説「ICANNとは」
http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/icann.html
※2 JPNIC Web 「ドメイン名の種類」
http://www.nic.ad.jp/ja/dom/types.html
※3 ISO3166-1
ISO(国際標準化機構)が策定している国際規格の一つで、都道府県や州などの地域コードを策定しているISO 3166-2に対して、国やそれに準ずる地域などに対応する地域コードを策定した規格です。ISO3166-1では、2文字と3文字、そして3桁の数字による地域コードが定義されていますが、このうち2文字の地域コードが、国コードトップレベルドメイン(ccTLD)における、各国および地域を表すカントリーコードとして利用されています。(一部例外もあります)
※4 国際化ドメイン名(IDN:Internationalized Domain Name)
ドメイン名を表す文字としてASCII以外の文字も使えるようにするための技術です。RFC3490、3491、3492で規定されています。
JPNIC Web 「国際化ドメイン名」
http://www.nic.ad.jp/ja/dom/idn.html
※5 支持組織(SO:Supporting Organization)
ICANNの各分野に関連する方針策定について、理事会を支援し勧告を行う役割を負う組織です。支持組織には、「分野別ドメイン名支持組織(Generic Names Supporting Organization: GNSO)」、「国コードドメイン名支持組織(The Country Code Names Supporting Organization: ccNSO)」、「アドレス支持組織(Address Supporting Organization: ASO)」の三つがあります。
※6 国コードドメイン名支持組織(ccNSO:CountryCode Names Supporting Organization)
ICANNの基本構造となる三つの支持組織の一つであり、国コードトップレベルドメイン(The Country Code Top Level Domain:ccTLD)に関するグローバルポリシーを策定し、ICANN理事会への勧告を行う役割を負っています。
※7 ポリシー策定プロセス(PDP:Policy Development Process)
ICANNの役割の一つに、インターネットの各種資源の調整業務に関連するポリシー策定があり、このポリシー策定のための一連の流れをポリシー策定プロセス(PDP)と呼んでいます。ICANN改革を受けて改定された新付属定款には、プロセスの詳細が明確に規定されています。
※8 IDN ccTLD Fast Track Process
http://www.icann.org/en/topics/idn/fast-track/
※9 RFC1591 Domain Name System Structure and Delegation(ドメインネームシステムの構造と権限の委任)
http://www.ietf.org/rfc/rfc1591.txt( 原文)
http://www.nic.ad.jp/ja/translation/rfc/1591.html (日本語訳)
※10 Internet Domain Name System Structure and Delegation (ccTLD Administration and Delegation)
http://www.icann.org/en/icp/icp-1.htm
※11 政府諮問委員会(GAC:Governmental Advisory Committee)
ICANNの諮問委員会の一つで、各国政府の代表などで構成されています。各国政府の立場からICANNの理事会に対して助言を行っています。
※12 Principles for Delegation and Administration of ccTLDs Presented by Governmental Advisory Committee
http://www.icann.org/en/committees/gac/gac-cctldprinciples-23feb00.htm
※13 総務省 情報通信審議会 情報通信政策部会 インターネット基盤委員会
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/kiban.html
※14 21世紀におけるインターネット政策の在り方?新たなトップレベルドメイン名の導入に向けて~(案)に対する意見募集
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/090428.html

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