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ニュースレターNo.42/2009年7月発行

インターネット歴史の一幕:
JUNET時代のドメイン名管理

WIDEプロジェクト/ソニー株式会社尾上 淳

1984年にJUNET※1が始まった当初、参加者の多くは知り合いで、好きなドメイン名を名乗って接続していました。その後もしばらくは接続先に相談に乗ってもらう前提で、junet-admin※2では名前の重複がないかの確認程度でドメイン名登録を行っていました。しかし申請数は、1988年には100組織、1989年には200組織を超えるようになって、紛らわしい名前や、部署名を入れたもの、6文字以内でないといけないという誤解に基づく、無理な省略名のような申請が増えてくるようになりました。

そのため、「3文字以上、ただし良くわからない略称等ではなく、名前から実体が想像しやすいもの」という基準で、他の名前も検討してみてはどうですか、というアドバイスをjunet-adminからするようになっていきました。しばらくすると、これが徐々にエスカレートしていき、1990年には「略称は名刺等に使われているものを除き、原則不可」といった発言がjunet-adminメンバーから出たりするようになりました。そして遂には、ある3文字のドメイン名申請についてそれを受理するか、もっと長い名前に変更してもらうべきかを判断するために投票までしたのですが、結果は賛否同数でした(その申請そのものは受理されました)。

junet-adminでのこうした議論に対し疑問を投げかけたのが、メンバーの一人でもあり、後にJNIC(現在のJPNIC)を立ち上げた平原正樹氏でした。

「僕の基本的な立場は、名前を付ける組織の側にあります。他の意見を仰る方は、その組織以外の利用者の便宜を優先しているのだと思います。僕は、名前は、基本的に組織が考えて付けるものだと思っています。」

実はこの受理基準の議論は、junet-adminの中では繰り返しされていて、いつも総論は合意するのですが、いざ実際にやってみると人によって基準の取り方が揺れてしまうというのが課題でした。そんな中で、この平原氏の発言は、その後のドメイン名の管理方針に大きく影響を与えたと思います。

ところで私は当時、WIDEプロジェクトとして日本のDNSを立ち上げようとしていて、そのためにはドメイン名とメールを運用しているJUNETとの連携が不可欠ということで、1989年にjunet-adminに加わりました。当時junet-adminは20名余り、中でもアクティブな人は10名ほどだったと思います。

私自身の目的は、.JPドメインへ名の移行およびDNSへの登録だったのですが、新たな組織を登録していく仕組みを作るためには、まずドメイン名登録そのものをシステマティックにする必要がありました。従って、メールベースの申請および議論をまとめてマスターリストを管理するようにし始めたのですが、参加組織数が倍増した時期でもあり、覚悟を決めないと作業ができません。ぐずぐずしていると、どんどん溜まってしまって余計に覚悟が決まらない、という悪循環にはまってしまいます。

結果として、当初月に2度くらい処理をしていたのが、月に1度くらいになってしまっていました。つまりは、ドメイン名申請が受理されるまでに1ヵ月、それが登録されるまでにさらに1ヵ月かかるということで、今からは考えられないことです。(当時参加された方には、本当にご迷惑をおかけしました。

さらに私事の忙しさも重なり、マスターリストの更新頻度が2ヵ月に1度のペースにまで下がってきてしまいました。JNICの準備を始めるため東大に移ってきた平原氏がこれを見かねて、九州産業大学の犬塚尚恵氏とともに事務作業を引き受けてくれました。これが1991年6月のことです。犬塚氏にはJNIC初期にもスタッフとして活動していただいたので、結果としてこのことが、1991年12月のjunet-adminからJNICへのスムーズな移行にも貢献したのかもしれません。またJNIC初期の体制作りにおいて、ルールはできるだけ機械的に処理できるように単純化したことや、教育面も配慮してガイドラインを用意したことは、junet-adminの経験を活かしたものと言えると思います。

その後JNICはJPNICとなり、汎用JPドメイン名が導入され、ドメイン名管理はJPRSへと移管されました。JPドメイン名の登録数が100万件を超えるとは、当時は想像もつきませんでしたが、誰でも簡単に公平にドメイン名が登録できる仕組みがあることは素晴らしいことです。この場をお借りして、JPドメイン名を管理運用していただいている皆様に、あらためて感謝の意を表したいと思います。


※1 電話回線を用いて日本の学術組織を中心として構成された研究用コンピュータネットワーク。 1984年10月に東京大学、東京工業大学、 慶應義塾大学の3大学を結ぶネットワークとしてJUNETの実験が開始され、 最終的には約700の機関を結ぶネットワークになった。
「インターネット用語1分解説 ~JUNETとは~」
http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/junet.html

※2 JUNETのボランタリーな管理者グループ。

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