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ニュースレターNo.49/2011年11月発行

2012年初頭の新gTLD募集

ドメイン名やIPアドレスなどのインターネット資源をグローバルに調整・管理するICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)では、2012年1月12日(木)から4月12日(木)※1まで、新しいgTLDの募集を行うことになりました。この期日を決定したICANNシンガポール会議の理事会決議(2011年6月20日)以降、国際化ドメイン名(IDN)※2も含む自由な文字列でgTLDの新設が行えることで、話題となっています。本稿では、今までの経緯や、今後の課題や影響を含め、この新gTLD募集について解説します。

ICANN設立までの流れ

gTLD(generic Top Level Domain; 分野別トップレベルドメイン)は、ccTLD(country code Top Level Domain;国コードトップレベルドメイン)のように国や地域ごとではなく、分野ごとに割り当てられたドメイン名です。

gTLDは、これまでいくつかの段階を経て増えてきましたが、これにはICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の設立が深く関わっています。今回の新gTLD募集によって、ICANNはある意味で、その設立以来の大きな目的を達成したと言えます。そこで、新gTLD募集の話に入る前に、その前提としてまずはドメイン名の歴史について振り返り、ICANN設立までの経緯を説明します。

インターネットに関するさまざまな情報を共有するための文書であるRFC(Request for Comments)において、トップレベルドメイン(TLD)に関する最初の記述は、ドメインネームシステム(DNS)自体を最初に定義した、RFC920(ドメイン名の要件)およびRFC1591(ドメインネームシステムの構造と委任)に見られます。前者は1984年、後者は1994年に発行され、当時のgTLD(com、net、org、edu、gov、mil、int)およびccTLDについて言及されていますが、後者では「これ以外のTLDが作られることはない」とされていました。

しかし、90年代に入りインターネットの商用化が進む中、1993年、当時のインターネットバックボーンを担っていた全米科学財団(National Science Foundation; NSF)が、ドメイン名登録業務をNetwork Solutions, Inc. (NSI)に委託したこと※3により、gTLDのうち、com、net、orgの登録業務をNSIが一手に引き受けることになりました。1995年9月、NSIはドメイン名登録数の爆発的な伸びによるコスト増を賄うため、それまで無料だったドメイン名登録を有料化しました。この有料化によって、ドメイン名登録事業を民間企業であるNSIが独占的に行うことの是非を問う声が高まるとともに、ドメイン名を巡る商標権紛争の問題が顕在化しました。

インターネットの商業化に伴う、TLDを中心としたドメイン名を巡るこうした問題を解決するために、1996年11月、ISOC(Internet Society)が設置したIAHC(International Ad Hoc Committee)による検討の結果、「レジストリ・レジストラモデル※4の導入」「新たなgTLDの創設」「紛争解決手段の創設」といった対策が提案されました※5

その後、米国政府からのグリーンペーパー、ホワイトペーパーと呼ばれる報告書群の公表を含む議論と交渉の結果、インターネットの論理資源を定める機関として、ICANNが設立されました(詳しい経緯は「ICANNの歴史」を参照※6)。それにより、それまでIANA(Internet Assigned Numbers Authority)が行っていたドメイン名やIPアドレス、プロトコル番号などの論理資源の管理は、ICANNへと引き継がれました。ICANNの付属定款にも次のように記載されている通り、ICANNの使命の一つは新gTLDを導入することであると考えられています。

実行可能かつ公益に資する場合には、ドメインネーム登録に競争を導入および促進すること(第1条「使命および基本的理念」第2項「基本的理念」6.)

ICANNによる過去2回のgTLD募集

この新gTLD導入という使命を果たすべく、ICANN設立後、本稿執筆時点(2011年10月)までに、2回のgTLD募集がICANNにより行われました。第1回の募集※7は、試験的な実施(proof of concept)という位置付けで2000年に行われました。選定されたTLDは次の通りです。

biz、info、name、pro、museum、aero、coop

第2回の募集※8は2003年に、スポンサ付きTLD(特定のコミュニティが支持母体(スポンサ)となって設立されるTLD)に限定して行われました。10のTLDが応募され、結果的に次の七つが、本稿執筆時点で利用可能になっています。

jobs、travel、mobi、cat、tel、asia、xxx

このうちxxxは、アダルトエンターテイメント業界を支持母体とするものとして提案され、非常に大きな議論を呼びました。このため、一旦契約交渉開始が決定された後の申請却下、それに対する不服申し立てといった長いプロセス※9の末2011年3月に承認され※10、利用が開始されました。

gTLDを準則的に追加するための方針決定

ここまで2回のgTLD追加は、比較的簡単な募集要項と要件に従って公募されるとともに、ICANNにおける評価検討はそれぞれ個別に行われ、数件という限られた数の追加にとどまりました。

しかし、これではICANN設立時の使命を十分果たせたとは言えず、2回の追加を終えた後は、3回目以降のgTLD追加に関して、あらかじめ募集要項と要件を詳細精緻に文書化し、応募がこれらに適う場合にはgTLD新設を認める、つまり、一定の規則に則った(準則的な)gTLD追加をできるような仕組みづくりに、ICANNでの議論が進んでいきました。

2005年12月のGNSO(Generic Names Support Organization;分野別ドメイン名支持組織)評議会による決議※11にて新gTLDの要求事項(Terms of Reference)が承認され、新gTLD追加に関するポリシー策定プロセス(PDP)が開始されました。以降の議論の結果、2007年8月、新gTLD追加のポリシーに関する理事会に対する勧告として、GNSOの最終報告書案がまとめられ※12、理事会では2008年6月にこれを承認し※13、事務局に対して詳細な実装計画の作成を指示しました。

この勧告は、新gTLD追加の手順や要件に関する方針を示しています。主な内容を以下に抜粋します。

[原則]
  1. 秩序があり、タイムリーで、予測可能な導入方法
  2. 運用基準をレジストリ契約中で明記
[勧告]
  1. 公平・透明・無差別な評価・選定
  2. 既存の法的権利を侵害しない文字列評価プロセス
  3. 公序良俗に反しない文字列
  4. レジストリに十分な技術的な能力を要求
  5. 客観的かつ計測可能な基準による明解な申請プロセスを事前に公開
  6. 紛争解決および異議申し立てプロセスをプロセス開始前に規定
[実装ガイドライン]
  1. 文字列競合の解決プロセスを設定

GNSOにおけるポリシー策定に1年8ヶ月、さらに理事会の承認まで10ヶ月を費やして、この時点で、gTLD新設を準則的に承認する方針が固まったことになります。以降は実装検討のフェーズとなります。

以前の募集との比較

参考までに、ICANNによる第3回の募集となる今回の新gTLD募集と、それ以前の募集とを表1にて比較しています。

表1 gTLD募集要件の比較
TLD募集 募集時期 TLD数の
制限
申請数 承認された
TLD数
TLDの
価値判断
申請費用(USD) 選定の考え方
第1回
(根拠※14)
2000年9月5日

2000年10月2日
あり 47 7 あり 50,000 概念の実証(proof of
concept)として、限定
されたTLDを選定し、将来
追加の募集を行うとした。
第2回
(根拠※15)
2003年12月15日

2004年3月16日
あり 10 7 あり 45,000 対象はスポンサ付き
gTLD※16のみ。
第3回 2012年1月12日

2012年4月12日
なし 申請開始前に
つき不明※17
  なし 185,000 個別判断から準則的な
プロセスへの移行。
アルファベット以外の
文字(IDN)も申請可能。

新gTLDプログラム実装検討の歩み

新gTLDの準則的な追加に関して、ICANNでは「新gTLDプログラム」という言葉が使われています。今後の新gTLD追加に当たっては、前項で述べた最終報告書の勧告に含まれる「客観的かつ計測可能な基準による明解な申請プロセスを事前に公開」の観点から、gTLD追加に関する要件や手順を細部に渡るまで定義して、あらかじめ文書として準備する必要があります。また申請の処理に当たっては、複数の観点からの審査や商標保護や競合解決などのために、多岐にわたる機構をあらかじめ整える必要があります。これら新gTLD追加に掛かるすべてのルールやプロセスをひとまとめにして、「新gTLDプログラム」と呼びます。新gTLDプログラムの実装計画は一貫して、事務局による申請者ガイドブック案(Draft Applicant Guidebook; DAG)の作成、意見募集を含む公聴プロセスと再検討、DAGの改版というサイクルで進んでいきました。この実装計画には、2011年6月20日の理事会承認※18に至るまで、ポリシー策定よりも長い3年間、ガイドブック案の版数にして6版を要しました。

具体的には、申請者ガイドブックはこれまで、6版のガイドブック案と理事会で承認されたAGB、さらにそれを改版したものの、次に挙げる計8版が公表されています。

  • 新gTLD申請者ガイドブック案第1版
    (DAG1、2008年10月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック案第2版
    (DAG2、2009年2月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック案第3版
    (DAG3、2009年10月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック案第4版
    (DAG4、2010年5月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック最終案
    (Proposed Final、2010年11月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック
    (15 April 2011 Discussion Draft、2011年4月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック
    (Applicant Guidebook; AGB、2011年5月発行)
  • 新gTLD申請者ガイドブック2011年9月19日版
    (AGB、2011年9月発行)

申請者ガイドブック最終案(Proposed Final)と名付けられたドラフトから、理事会承認された申請者ガイドブック(Applicant Guidebook; AGB)までに、さらに2回の改版を行っていることからもわかるように、実装計画の最終段階に至っても懸案が残っていたことがうかがえます。特に、政府諮問委員会(GAC)からは公共政策的観点から多くの課題が指摘され、理事会とGACの間では、2010年11月の最終案公表以降頻繁なやり取りが行われました。GAC が懸念を示した課題は、主に次の6点です。

  • 商標保護
  • 不正行為対策:サイバースクワッティング、登録システムの悪用の低減、防衛登録の必要性の低減
  • ルートゾーンスケーリング※19
  • 経済分析:TLD間の競争、および料金、レジストリ・レジストラ垂直統合について考にするため、市場および経済への影響を調査
  • 地理的名称:地理的名称の定義、地理的名称に関する要求事項
  • 公序良俗に関する対処状況:文化的などの理由で問題となりそうな文字列が申請された場合に早期に警告を発する仕組み

2011年6月に申請者ガイドブックが理事会の承認を得た時点でも、GACの懸念点すべてが解決して理事会とGAC が合意したわけではありませんが、合意できなかった点については付属定款に基づき、GACの勧告を採用しない理由を明記した上で承認されました※20。理事会承認以降の改版は、理事会承認でペンディングとなっていた事項の決定や、軽微な修正によるものです。

申請者ガイドブックの内容

申請者ガイドブック(AGB)は、新gTLDのレジストリになることを希望する申請者向けの募集要項です。ICANNにおける2012年以降のgTLD新設に用いられる、「新gTLDプログラム」の内容を申請者の視点から詳細に記述しており、内容は次ページの表2のようになっています。

[申請スケジュール]

2011年6月20日の理事会決議で参照された文書※21およびAGB2011年9月19日版によれば、以下のスケジュールとなっています。

2011年6月20日~2012年1月12日 周知期間(Communication Period)
2012年1月12日~4月12日 申請期間
うち、1月12日~3月29日: ユーザーによる登録期間
1月12日~4月12日: 登録済みユーザーが一度行った申請に対する追加変更ができる期間
申請締め切り後15日以内 申請を公開
2012年11月 初期評価結果公開

[申請および維持のための費用]

申請費用 185,000USドル(申請システムで申請リクエストを送信する際に5,000USドル、完全な申請書送付までに残りの180,000USドルを支払う)
維持料 25,000USドル/年
その他 セカンドレベル以下のドメイン名新規登録、更新、移転などに対して、1トランザクションあたり0.25USドル(ただし、四半期毎に50,000トランザクション以下の場合は免除)
表2 申請者ガイドブックの内容
Module 1
(申請期間中の注意事項および書類審査)
申請プロセスの全体像と、スケジュール、申請に必要な書類、申請システム、申請費用を記載しています。
Module 2
(審査手順)
申請の評価/審査手続きについて記載しています。これには経歴などについての予備審査、初期評価(すべての申請者が受ける)として、申請文字列が既存のTLDや予約語に類似していないか、地名の場合にその地名が示す自治体の支持を受けるなどの基準を満たしているか、などについて、および申請者自身についての、拡張評価(初期評価に合格しなかった申請者が受けることができる)が含まれます。これらの評価は、ICANN事務局ではなく外部の独立審査パネルによって実施されます。
Module 3
(異議申し立て・ 紛争解決手順)
申請に対する第三者からの、異議申し立ての処理方法について記載しています。これには、異議申し立て手順、申し立て手続き処理の概略および紛争解決方針などが含まれます。異議申し立ての種類は、次の通りです。
  • 文字列の混同による申し立て(String Confusion Objection)
  • 法的権利に基づく申し立て(Legal Rights Objection)
  • 公序良俗に関する申し立て(Limited Public Interest Objection)
  • コミュニティからの申し立て(Community Objection)
    公序良俗に関しては、一般からの申し立ての他、ICANNの外部で指名される独立申立人が申請文字列に関する検討を行います。
Module 4
(文字列競合解決手続き)
複数のgTLD申請間で、同一もしくは類似の文字列が使われている場合の、競合解決手続きについて記載されています。ICANNは初期評価終了までに、競合する文字列の組(contention set)を公表します。コミュニティベースgTLD※22同士の競合の場合は、コミュニティの質について点数で評価する、コミュニティ優先評価があります。自主的な取り下げや審査や異議申し立ての結果でcontention setが消滅しない場合、他の手段では解決できない場合の最後の手段として、オークションが想定されています。
Module 5
(利用開始までの準備)
審査が完了した後の最後の段階として、レジストリとICANNとの契約およびDNSルートゾーンへの委任手順について記載しています。
Module 6
(契約条件)
契約条件について記載しています。

新gTLDの導入にあたり、検討に時間を要した課題

ここでは、新gTLDプログラムの実装検討において、特に多く時間を費やした課題を三つ紹介します。

[商標保護]

以前から、不正なドメイン名の占拠を防ぐなどの商標保護はドメイン名登録における課題であり※23、対策について議論されてきました。新gTLDプログラムにおいても、実装計画の初期から活発に議論されており、DAG1・DAG2公開後の意見募集の際に、世界知的所有権機関(WIPO)など知的財産分野から商標保護について意見がありました。それを受け、申請・評価期間中の異議申し立て手順や、登録商標保持者が保持する商標を登録し、新gTLDにおける優先登録などの商標保護手段に利用する、商標データベース(Trademark Clearinghouse)などが対策として組み込まれました。TLDの委任開始後の商標保護手段としては、迅速にドメイン名を差し止める手段であるURS(Uniform Rapid Suspension)、委任後紛争解決手続き(Trademark Post-Delegation Dispute Resolution Policy; PDDRP)、商標権保護の観点からあるTLDで登録されているドメイン名の網羅的検索を可能とする、ゾーンファイルアクセスなどが用意されました。

[レジストリ・レジストラ垂直統合]

レジストリ・レジストラ垂直統合(Vertical Integration;VI、または垂直分離Vertical Separationとも呼ばれます)とは、レジストリおよびレジストラ間に資本関係が存在することを意味します※24。既存のgTLDとICANNとで結ばれている契約の多くでは、レジストリによるレジストラへの出資比率で15%を越える出資を制限しています※25

2010年3月の理事会決議※26では、VIを厳重に制限するとされ、同時にGNSOに対してレジストリとレジストラの資本関係について結論を出すよう依頼しました。これを受けて、GNSO内のVI WGで検討されてきましたが結論が出ませんでした。事前に予告なく開催された2010年11月の理事会では、データの悪用およびレジストリの行動規範に反しないよう契約で縛ることで、制限しないという内容の決議※27がなされました。つまり、gTLDレジストリがレジストラに出資することと、レジストラが新gTLDのレジストリとして申請することが条件付きで承認されました。これに対しては、競争政策の観点からGACより懸念が表明されています。

[申請者援助プログラム]

また、新gTLDプログラムでは、発展途上国などからの新gTLD申請にあたって、経済的な問題がある申請者に対する支援を行うことになっています。これには、事務的(申請書作成・法的)支援および技術的支援も含まれ、すでに申請者側と支援提供者とのマッチング目的のWebページが作られました。金銭的支援については、GNSOとALAC(At-Large Advisory Committee;At-Large諮問委員会)合同で設立した作業部会の最終報告書では申請手数料の割り引きを盛り込んでいますが、理事会による最終的な判断は本稿執筆時点ではまだなされていません。

新gTLD追加による影響と課題

今回の新gTLD追加による影響と課題をいくつか考察してみました。

[ユーザーへの影響]

インターネットユーザーは、新たなTLDが増え、そのTLDで新たなドメイン名を登録することが可能になります。要領は既存のgTLDとあまり変わらず、ICANN公認のレジストラ、またはリセラ経由での登録となりますが、レジストラやリセラは、必ずしもすべてのgTLDを取り扱うとは限りません。コミュニティベースgTLDなど、登録に当たって一定の要件を満たす必要があるものもあります。一方で、見慣れないTLDが増えることで、混乱が増えるというマイナス面もあるかもしれません。

[企業などへの影響]

企業などで商標を持っている場合には、商標保護の観点から注意が必要です。自社が保有する商標と同一または類似する文字列が他社によって申請される可能性が、TLDとセカンドレベル以降の両方で考えられます。

TLDにおいて、TLDを申請せずに商標を保護する方法としては、新gTLDの紛争解決プロセスの一つとして、第三者が自社名、もしくは自社の商標名と同じTLDを申請した場合に利用が可能な、異議申し立てプロセス(法的権利に基づく申し立て(AGB 3.2.2.2 Legal Rights Objection※28)があります。他にも、正式な紛争解決手段ではありませんが、意見募集(AGB 1.1.2.3 Comment Period※29)があります。これらは、申請または審査期間中の特定時期にのみ利用可能です。

また、セカンドレベル以降では、当該TLDにおける登録サービスが開始した後においては、商標保護策として導入されたTrademark Clearinghouseに登録し、商標が侵害された可能性がある際に警告を通知するTrademark Claimsサービスを利用したり、各TLDレジストリが商標保持者を対象に行う優先登録を利用することになると思われます。さらに最終的には、TLDまたはセカンドレベル以降のドメイン名を申請してしまう方法(いわゆる防衛登録)が存在します。

いずれにしても、ICANNのgTLD募集、および新たなgTLDにおけるドメイン名登録開始に対して、注意を払う必要があります。

[そのほかの懸念]

新gTLDは、新たな文字列による新たなビジネスの可能性を広げるとして、大きな期待感が持たれていますが、ポジティブな要素ばかりではありません。今後gTLDが増えることによって、gTLDはこれまで以上の競争環境にさらされます。新gTLDレジストリは、技術的な業務の委託先、ICANNその他へ少なからぬ費用を払う必要があり、それに見合った登録収入が得られない場合、立ち行かなくなるところが出てくる可能性があります。これを見越したのか、ICANNはレジストリがサービスを継続できなくなったときのための、バックアップレジストリ運営組織も公募しています※30

また、新gTLDプログラム開始の期日まで定まった今でも、新gTLD募集に対する懸念表明が続いています。GACとICANN理事会との協議にも見られたように、各国政府は新gTLD募集についてさまざまな懸念および意見を述べてきました。欧州委員会および米国政府より垂直統合に関する制約の撤廃について懸念が示された後、ICANN理事会は最終的にこれを押し切った形で新gTLDプログラムの実装を承認したため、今後各国政府からの懸念が再燃する可能性がないとは言い切れません。また、全米広告主協会(Association of National Advertisers)が商標権者の立場より反対の表明を行っており、今後申請開始まで予断を許しません。

次回募集

今回の申請は期限を設けた1度のみとなっていますが、ICANNはできるだけ早くその次の募集も行いたいとしています※31。まずは新gTLD募集プロセスが終わり、プログラム全体の評価後正式に決定すると思われますが、今回の募集結果がどのようになるのか、順調にその次の募集に進むのか、興味深いところです。

(JPNICインターネット推進部 山崎信)


※1 今回募集される新gTLDの申請期間
新規の申請は2012年3月29日(木)まで、すでに申請システムに登録した人の行った申請に対する追加変更は2012年4月12日(木)まで可能です。(申請者ガイドブック1.1.1参照)
※2 国際化ドメイン名(Internationalized Domain Name; IDN)
ドメイン名を表す文字として、漢字やハングル、アラビア文字など、ASCII以外の文字も使えるようにするための技術です。
※3 A Brief History of NSF and the Internet
http://www.nsf.gov/news/special_reports/cyber/internet.jsp
※4 レジストリ・レジストラモデル
原簿を管理するレジストリと、レジストリへの登録サービスを行うレジストラを分離するというモデル。登録サービスに競争を導入する目的で考案されました。
※5 IAHCによる新gTLDの創設提案
1997年2月に公表されたgTLD-MoUと呼ばれる覚書に示され、JPNICを含む世界中の関連団体120団体ほどが署名しました。
※6 JPNIC Web-ICANNの歴史
http://www.nic.ad.jp/ja/icann/about/history.html
※7 New TLD Application Process Overview
http://www.icann.org/en/tlds/application-process-03aug00.htm
※8 Information Page for Sponsored Top-Level Domains
http://www.icann.org/en/tlds/stld-apps-19mar04/
※9 JPNIC News & Views vol.550「.xxxの復活?~ICANNのガバナンスメカニズムの実例~」
http://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No46/0550.html
※10 Adopted Board Resolutions | Silicon Valley / San Francisco
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-18mar11-en.htm#5(原文)
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2011/20110328-01.html(日本語概要)
※11 GNSO Council Vancouver Meeting Minutes
http://gnso.icann.org/meetings/minutes-gnso-02dec05.html
※12 Final Report - Introduction of New Generic Top-Level Domains
http://gnso.icann.org/issues/new-gtlds/pdp-dec05-fr-parta-08aug07.htm
※13 Adopted Board Resolutions | Paris
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-26jun08.htm#_Toc76113171
※14 Background Information Regarding Previous New GTLD Application Rounds
http://www.icann.org/en/topics/background-info-newgtld-apps-13feb08.htm
※15 Status Report on the sTLD Evaluation Process
http://www.icann.org/en/tlds/stld-apps-19mar04/stld-status-report.pdf
※16 スポンサ付きgTLD(sTLD)
登録管理業務を行うレジストリと、TLDの登録・運用ポリシーを策定するスポンサ組織が別組織となっているgTLDを指します。
※17 2012年からの新gTLD募集に対する申請数
ICANNの2012会計年度予算によれば、第3回のgTLD募集時の申請件数は500件程度と見込んでいます。
※18 Approved Board Resolutions | Singapore
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-20jun11-en.htm(原文)
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2011/20110706-02.html(日本語訳)
※19 インターネット用語1分解説「ルートゾーンスケーリングとは」
http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/rootzone-scaling.html
※20 Adopted Board Resolutions | Silicon Valley / San Francisco
http://www.icann.org/en/minutes/rationale-gac-response-new-gtld-20jun11-en.pdf
※21 New gTLD Program Timeline
http://www.icann.org/en/minutes/timeline-new-gtld-program-20jun11.pdf
※22 コミュニティーベースgTLDの定義
定義の詳細はAGB 1.2.3.1(p.1-25)参照。 これに当てはまらないものはオープンgTLDと呼ばれます。
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/intro-clean-19sep11-en.pdf
※23 「ICANNが私たちに与える影響-噴出してきた問題~商標問題~(P.6)」
http://icann.nic.ad.jp/materials/Hotta.PDF
※24 レジストリ・レジストラ垂直統合(Vertical Integration between Registries and Registrars; VI)
登録ドメイン名のデータベースを一元的に管理する「レジストリ」と、エンドユーザーからドメイン名の登録や変更など各種申請の受け付けを行いレジストリデータベースへの登録を行う「レジストラ」両者の、兼業等を認めるかどうかという問題です。
※25 Issues Report on Vertical Integration -[2.5 Terms and Conditions in Current Registry Agreements(P.11)]
http://gnso.icann.org/issues/vertical-integration/report-04dec09-en.pdf
※26 Adopted Board Resolutions | Nairobi
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-12mar10-en.htm#5
※27 Adopted Board Resolutions
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-05nov10-en.htm
※28 gTLD Applicant Guidebook (v. 2011-09-19) Module 3(P.3-5)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/objection-procedures-clean-19sep11-en.pdf
※29 gTLD Applicant Guidebook (v. 2011-09-19) Module 1(P.1-4)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/intro-clean-19sep11-en.pdf
※30 Safe and Secure New gTLDs: ICANN Seeks Back-up Registry Operators
http://www.icann.org/en/announcements/announcement-2-14sep11-en.htm
※31 AGB 1.1.6 Subsequent Application Rounds(p.1-19)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/intro-clean-19sep11-en.pdf

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