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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

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ニュースレターNo.54/2013年7月発行

明日への一歩~JPNIC20周年に寄せて~

JPNICはその前身であるJNICから社団法人としての活動により、20年以上にわたって日本と世界のインターネットの発展に尽力してきました。そして2013年4月に一般社団法人に移行をしたことを契機として、今後ますます重要性を増すであろう基盤的役割を引き続き担い、日本の社会とインターネットコミュニティに貢献していきたいと考えています。

本稿では、《JPNICの20年の歩み》の観点から「インターネット歴史年表(ベータ版)の公開」、《JPNICのこれからを考える》の観点から「役員合宿」という二つのトピックをご紹介しますので、会員各位および関係者の皆様のご理解に役立てていただければ幸いです。

JPNIC20年の歩み ~「インターネット歴史年表(ベータ版)」の公開~

JPNICは、2011年12月にJNIC時代から数えて発足20周年を迎えました。この時のニュースレター49号では「JNIC設立から20周年」と題し、それまでの歴史を振り返り、JPNIC理事長、前理事長からの今後に向けたメッセージを皆様にお届けしました。

・インターネット歴史の一幕 特別企画 JNIC設立から20周年
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No49/0210.html

また前述の通り、今年2013年4月にはネットワークプロジェクトを会員とする任意団体JPNICへと改組してから20年という節目を迎え、現在JPNICでは、たどってきた道筋とインターネット全体の歴史についてもできるだけ記録し、わかりやすくまとめようとする活動に着手しています。

その活動の一環として、オンラインで利用できる年表を作成することにし、インターネット資源管理の歴史を中心にまとめた「インターネット歴史年表(ベータ版)」を先だって公開しました。

現時点では、「ベータ版」という名前の通り、この年表に対する、コメントや情報提供を広く募集し、年表の正確性と使い勝手の向上を図りたいと考えております。というのも、歴史の範囲は広く、JPNICでも調査を進めていますが、精度を上げるためにもぜひ皆様のお力添えが必要ですので、ご協力をよろしくお願いいたします。

将来的には、この歴史年表をさまざまなリンクへのハブとなるようなものにすることにより、「インターネットオンライン資料館」のようなものができれば良いと考えています。

歴史年表をご覧になってお気づきの点など、ご存知のことがありましたら、以下の宛先に情報をお寄せください。また、インターネットの歴史に関する資料をお持ちで、この機にJPNICに無償で寄贈しても良いという場合も、お送りいただければ幸いです。

Request for Comments:歴史年表への情報提供のお願い

1. 情報提供の内容

  • 年表に載せるべきだと考える事象の年月と概要、リンク先など (もしあるのであればその事実を確認できる資料など)
  • 年表に掲載可能な写真や図版(特に募集)
  • 記述が不正確だと思ったところとその理由
  • 使い勝手の向上の関するご要望、ご意見
  • その他コメント

2. 情報提供方法:必要事項を記載の上、次の宛先にお送りください。

  1. 情報提供の場合:メール送付
    history-comment@nic.ad.jp
    インターネット推進部 歴史編纂担当 宛
  2. 資料ご寄贈の場合:郵送
    〒101-0047
    東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F
    一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
    インターネット推進部 歴史編纂担当 宛

できる限り、文献や参照資料のURLなど、 客観的な根拠もあわせてお寄せください。

3. 期限:2013年8月16日(金)

4. 提供情報、ご寄贈資料の取り扱い

  • 提供情報とご寄贈資料のその後の取り扱いにつきましては、JPNICにご一任いただきます。例えば、お寄せくださった情報がそのまま年表に反映されるわけではありませんので、ご了承をお願いいたします。
  • JPNICは、個人情報・企業情報の取り扱いには細心の注意を払います。またJPNICはこの歴史編纂活動の用途以外に、個別回答データを利用・公表することはありません。
  • お寄せいただく情報は、必ずしもお名前やご連絡先を記載いただく必要はありませんが、データの信頼性等を確認するため、連絡を差し上げる場合がございます。お差し支えなければ、ご記入ください。

インターネット歴史年表(ベータ版)

https://www.nic.ad.jp/timeline/

画面:インターネット歴史年表(ベータ版)

インターネットとJPNICの今後に向けて ~役員合宿から~

JPNICの変遷と、今の課題と論点

先日、都内にて、JPNICの役員が一堂に会して、「インターネットとJPNICの今後」を議論する合宿を実施しました。2013年4月には会員組織化20年というだけでなく、公益法人制度改革に伴う一般社団法人への移行、という契機もあり、これまで幾度となく、JPNICの活動方針については議論が繰り返されてきました。しかし合宿という形でまとまった時間を取り、夜を徹して議論をしたのは、実に9年ぶりのことです。

この20年を経て、インターネットを取り巻く状況は、誰も正確には想像できなかったほどに、大きく変遷していると言えるでしょう。

1990年代は、私達の事業を整備する、すなわち「資源管理の整備」そのものが「インターネットの整備」と言っても過言ではありませんでした。

そして2000年代、インターネットは本格的にビジネスの流れに乗り、この商用インターネットの急速な拡大によって、誰もがインターネットを使うようになりました。その中で、インターネットの資源管理は、運用の「重要な一つの要素」として、インターネットとともに成長を続けました。

2010年代は、さらに新しいフェーズに入っています。実に多くの人がモバイルでワイヤレスブロードバンドの環境を手にするようになりました。そんな中でJPNICが中心にやってきた資源管理については、管理そのものよりもむしろガバナンス、セキュリティといったところに関心が移ってきているようにも見えます。

現在JPNICは大きく分けて、

  1. アドレス資源の登録管理業務を行う「IPアドレス事業」
  2. インターネット基盤全体の整備に目を向けた情報提供、普及啓発、調査研究を行う「基盤整備事業」

の二つの事業を行っています。

前述のような状況変化の中、この二つの事業の観点で、今後、JPNICがどのようなことを意識していかなければいけないかが、この役員合宿で共有されました。

写真:役員合宿での議論の様子
●役員間では白熱した議論が繰り広げられました

IPアドレス事業について

IPアドレス事業の四つの柱は「資源管理」「ポリシー策定」「国際調整」「教育」です。この四つの柱を、どう進めていくべきか、ということが主な議論の焦点となりました。

データベース機能強化による資源管理のクオリティ向上をめざして

ご存知の通り、アジア太平洋地域のIPv4アドレス在庫は枯渇し、IPv6アドレスに対する需要も安定しているため「アドレスの分配」という業務自体は縮小傾向にあります。こうした中で、業務のオペレーションは、状況にあわせて、自動化・省力化していくべきです。一方で、資源管理の一番の責務とも言うべき、「データベースの正確な維持」については、これから利用される番号空間もあるため、一意性保証のための機能強化は必須です。安定性、信頼性、トレーサビリティ、一意性といったクオリティをどう担保していくのかなどが議論されました。

また、IPv4アドレスが本当になくなって、各所でいろいろな問題が起きていますが、これにレジストリとして適切に関与できているのか、という問題意識も共有されました。

アドレスコミュニティの拡張と国際動向の的確なフォロー

日本におけるIPアドレスおよびAS番号の管理に関するポリシーを検討・調整し、コンセンサスを形成する場である「オープンポリシーミーティング」ではこれまで、アドレスの分配に関わる議論が中心に行われていました。しかし、昨今、このポリシー議論がやや低調気味になってきているようです。各事業者の方々には業務上の必要性によりアドレスポリシーなどに関係される方も多いため、直接的に関係がないと思われるルールなどに関しては、当事者意識が希薄になりつつあることも影響しているのではないかという意見も出ていました。

そのため今後は、そういった当事者意識をさらに高めていくための情報提供や啓発活動を積極的に行う必要があるだろうということが共有されました。

また、アドレス管理ルールに限らず、登録情報の信頼性維持におけるセキュリティ施策や、ルーティングのための登録情報の活用など、アドレス管理ルールと技術が相互に連携した議論へ発展していく可能性も考えられます。そのため、JPNIC自身も最新の技術動向をフォローし、議論を喚起するような情報提供を行っていくべきではないかと話されました。

ただし、技術面のフォローをJPNICだけで網羅していくことには限界もあるため、そのための方策の一つとして、地域インターネットレジストリ(RIR)やIETFなど海外のミーティングに参加している日本のコミュニティの方々に協力を仰いで、JPNICへの提言などをお願いすることなども検討されました。

日本のレジストリとしての位置づけを再確認

国別インターネットレジストリ(NIR)の役割とは何であるのか、と問えば、その国のマーケットや法的な側面、そして情報通信政策など、それぞれの国の実情に合ったアドレス管理の運用、サービス提供を行えることです。そのため、自国の言語や通貨でサービスを享受できるといった経済合理性を超えた価値を、国内事業者に提供する責任をNIRは担っています。

今後日本においては、インターネットおよび情報通信業界の発展が、ますます産業全体の活性化に直接結びついていく傾向にもあります。JPNICは、日本固有の情報通信環境を理解し、それぞれの事業者の方々と直接向き合いながら、日本のインターネットの発展を支えてきましたが、引き続き日本で情報通信事業を営む方々にとって、JPNICを利用することが合理的な選択だと考えてもらえる努力を一層する必要があるだろうということも確認されました。

基盤整備事業について

ブロードバンド、特にワイヤレス・ブロードバンドの発展に合わせ、スマートフォン/タブレットというモバイル機器が普及することにより、ユーザーはいつでもどこでも大量のデータ通信を行うようになりました。それに伴い、データはクラウド環境へ移行しつつあり、またソーシャルメディアの利用拡大、ビックデータの活用と、ちまたでは「スマート革命の到来」と言われています。

基盤整備事業の論点では、このような、ユーザー数の拡大、使われ方の変化、サービスの多様化、グローバル化というインターネットの分母の広がりによって、社会に新しい問題点と課題が出現していますが、こうした成長分野における課題や問題点に、JPNICはどう対峙していくのだろうか、ということに焦点が当たりました。

JPNICは定款において、自らの事業を以下のように定義しています。

(事業)
第4条 この法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。

  1. コンピュータネットワークの利用に関する情報の収集及び提供
  2. コンピュータネットワークの利用技術研究
  3. コンピュータネットワークに関する調査研究
  4. コンピュータネットワーク利用のための方針策定
  5. コンピュータネットワークの資源管理
  6. コンピュータネットワークの利用に関する教育・普及啓発
  7. その他この法人の目的を達成するために必要な事業

この定款から読み解くJPNICのミッションは、インターネットの全般をカバーしていく、というように見えます。「インターネットの円滑な運営に寄与すること」を掲げるJPNICの活動を、今後どう変えていくべきなのか、ということが議論されました。「ネットワークを取り巻く社会の変化の中で、JPNICは何をすべきか」「社会にどのような課題があり、その解決に向けてJPNICができることは何か」「JPNICがインキュベーションしていく領域は何か」「増えたステークホルダーの声をどう取り込んでいくのか」など、議論は本当に多岐にわたりましたが、その中で、以下のようなコンセンサスがありました。

ネットワークを取り巻く社会の変化の中で、JPNICは何をすべきか

インターネットコミュニティは「インターネットを使う人の集合(みんな)」と言えます。最初はインターネットは「手作りネットワーク」であり、JPNICは設立以来、技術的課題を中心にさまざまな問題に取り組んできましたが、それ以外の政策的な問題にも、より適切に取り組んでいくべきだ、という意識が共有されました。具体例には、

  1. インターネットガバナンスへのコミットメントをする
  2. 国内行政へ取り組む
  3. 利用者(ビジネスユーザー、消費者)と関わり合う

ことが、今後ますます必要ではないか、と確認されました。

どういう情報提供・普及啓発を強化していくべきか

これだけインターネットが普及している今、より広範囲で充実した情報提供・普及啓発を行うために、JPNICが単独で何かをやるというより、より外部のリソースを巻き込んで活動をするべきでないか、という意見が出ました。やるべきは、多くの人を啓発することができるコミュニティを形成することではないか、そのために我々には、もっとコーディネーター、PR的役割が求められるのではないか、との意識が共有されました。

インターネットの永続的な発展のためには、今インターネットの基盤に関心を持たない人たち、つまりはステークホルダーでない人がステークホルダーとなって、「適切な意識と関心」を持ってもらうことが重要です。そして、こうしたステークホルダーから何か問題や課題がJPNICに持ち込まれた際に、それを適切にハンドリングできるような組織をJPNICはめざそうということが共有されました。そのためにJPNICは、相談しやすい、柔らかい組織になることも重要だと、話がされました。

おわりに

1泊2日を費やした理事合宿では、「こうなっていこう」というビジョンとともに、それを具現化するいくつかのアイデアも提示されました。また、役員・職員間でJPNICのミッションもあらためて確認し、終了しました。

こうしたビジョンに基づいた施策が、皆様の目に見えるまでには、まだ時間がかかるかもしれません。JPNICでは、こうしたJPNICの取り組みはすべて会員をはじめとする皆様のご支援と協力があってこそ成り立つことを念頭に、着実に活動を続けてまいりたいと考えております。より良い未来を皆で作り上げていけるよう、引き続きのご支援とご協力をお願いいたします。


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