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ニュースレターNo.56/2014年3月発行

ICANNブエノスアイレス会議報告および第38回ICANN報告会レポート

2013年11月17日(日)から21日(木)に、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで第48回ICANN会議が開催され、本会議の報告会を2014年1月14日(火)にシスコシステムズ合同会社東京本社会議室にて、JPNICと一般財団法人インターネット協会(IAjapan)の共催にて開催しました。本稿では、ブエノスアイレス会議の概要と報告会の様子を併せてご紹介します。

ICANNブエノスアイレス会議報告

第48回ICANN会議は、2013年11月17日(日)から21日(木)にかけて、アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで開催されました。ローカルホストはアルゼンチンのccTLD、「.ar」のレジストリであるNIC Argentinaが務め、参加者は約1,700名と発表されています。

今回の会議では、ICANNの設立15周年にあたることを記念して「ICANN 15th Anniversary Celebration」が、通常の懇親会とは別に催され、会場では「15」と記されたカップケーキが提供されました。また、ICANN設立時から関わっていたメンバーとして、理事長のSteve Crocker氏と理事のVint Cerf氏、およびPaul Mockapetris氏などが当時を語る一幕もありました。

写真:ICANN設立15周年を記念したケーキ
● ICANN設立15周年を記念したケーキ

オープニングセレモニー

毎回オープングセレモニーでは、開催地の特色を取り入れた発表などがありますが、今回はラテンアメリカ地域でのインターネットの発展を振り返る形で、主要なコミュニティメンバーのインタビューをまとめたビデオが上映されました。

地域インターネットレジストリ(RIR)からは、ラテンアメリカ地域のRIRであるLACNICのCEOや理事が登場し、それ以外にもラテンアメリカ地域出身のAPNICスタッフなど、アドレス管理の分野でも馴染みのある顔ぶれの方々も登場していました。

http://buenosaires48.icann.org/en/video/lac-internet-adventure-18nov13-en

セレモニーではまた、ICANNと韓国情報保護振興院(Korea Information Security Agency; KISA)が、韓国におけるICANNに関する周知・促進の協力を目的とした覚書(MoU)を締結したことが発表されました。KISAは、韓国におけるアドレス管理を行う国別インターネットレジストリ(NIR)でもあります。

KISA:Korea Internet and Security Agency
http://www.kisa.or.kr/eng/main.jsp

ブエノスアイレス会議での主な議論

今回のブエノスアイレス会議は、10月23日(水)に開始した新gTLDの委任から、約1ヶ月後という時期に開催されたこともあり、新gTLDに関する議論は、名前衝突の問題(後述の「名前衝突」の項を参照)などの委任後の継続課題は残されてはいるものの、これまでと比べると随分落ち着いてきた印象です。

それよりも、米国家安全保障局(NSA)による監視活動が明るみに出たことや、モンテビデオ声明の発表などを契機に、インターネットガバナンス分野に議論の重点がシフトし、オープニングセレモニーでのSteve Crocker理事長のスピーチでも、これからICANNとしての関わりを維持していく重要性が語られていました。

新gTLDの委任状況

前述のように、新gTLD全体としては前回の会議以降、新たに指摘された大きな問題はなく、ICANN側でも政府諮問委員会(GAC)からの勧告に対する検討状況の進捗はなかったようです。会議の開催時点で委任が完了した件数は24件、その後2014年2月5日時点では134件となっています。

その他、以下のトピックについて、ICANNスタッフから進捗報告がありました。委任手続きについて不確定な部分は、申請手続き全般というよりも、より個別具体的なケースに絞り込まれていっている印象です。

  • GAC勧告「カテゴリー2セーフガード助言」(一般名詞のgTLDにも関わらず登録者を限定する運用への勧告)に該当する申請への対応
  • 申請者間で文字列が競合するドメイン名に対する、今後のオークション予定

なお、新gTLDの進捗に関する最新の資料は以下に掲載されています。

http://newgtlds.icann.org/en/announcements-and-media/webinars

名前衝突

大量の新gTLD導入による影響が懸念されている「名前衝突(Name Collision)※1」の問題に関して、ICANNはTLDレベルでは「.corp」「.home」の委任を停止することを、既にブエノスアイレス会議前に発表していましたが、さらなる対策として、セカンドレベルでも登録を禁止する文字列のリストを発表しました。

http://newgtlds.icann.org/en/announcements-and-media/announcement-2-17nov13-en

前回の会議に引き続き、ICANNの対応について参加者から多くの意見が寄せられましたが、今回の会議では、申請者以外にも影響が及ぶことから、その影響と対策を幅広く周知するべきとの意見が中心でした。その後、ICANNは2013年12月にIT技術者向けに回避策をまとめた報告書を発表し、名前衝突に関する情報を集約したWebページも提供しています。

WHOIS関連

gTLD WHOISの目的および収集・提供すべき情報の整理は、新gTLDの導入ほど広く認知はされていないもののICANNが重視している検討事項で、今回の会議でもgTLD WHOISのあり方に関する検討状況を紹介する、gTLDディレクトリサービス専門家作業部会(Expert Working Group: EWG)によるセッションが開催されました。

前回の会議で発表された、Aggregated Registration Data Service(ARDS、登録情報を集約する登録データサービス)モデルに加え、Federated Registration Data Service(FRDS、登録情報の参照を連携する)モデルも検討案に追加されたことが紹介されました。ARDSが全gTLDのデータを1ヶ所に集約するモデルであるのに対し、FRDSモデルはそれぞれのTLDのデータ自身は各gTLDレジストリが保持し、それらの各gTLDレジストリが運用するWHOISを、1ヶ所で網羅的に参照可能とするモデルであることが特徴です。

これらの検討により、gTLD WHOISへの情報登録、参照方法にどのような影響があるのか、一WHOISユーザーとしても着目していきたいところです。詳細については、EWGからの発表をご覧ください。

https://buenosaires48.icann.org/en/schedule/wed-ewg

インターネットガバナンス

これは今回の会議で、最も議論が白熱したトピックでした。参加者としては、ICANNがコミュニティへの相談もなく、いくつかの対応を進めてきたことへの懸念が強く、「現状が見えないので理解したい」「ICANNコミュニティの意見を取り入れた上で調整を進めてほしい」という、2点が主な要望であったようです。

モンテビデオ声明の発表、2014年4月のブラジルでのミーティング※2、ICANN事務総長兼CEOのFadi Chehadé氏のオープニングスピーチで紹介された「/1net※3」など、ダーバン会議以降のICANNの対応について、多くの質問が寄せられました。Chehadé氏が会議参加者の意見に耳を傾け、疑問に答える必要があると判断し、急遽20日(水)にこのためのセッションを開催する対応を取ったことである程度収束し、現在は/1netのメーリングリストで、ICANNコミュニティ以外のメンバーも含めた活発な議論が展開されています。

写真:インターネットガバナンスセッションの様子
● インターネットガバナンスセッションの様子

また、当初はインターネットガバナンスにおいても、次項で紹介するICANNの戦略計画を検討する専門家委員会の設立を予定していましたが、この分野はICANNに閉じずに幅広い検討をすることが適切との判断がなされ、ICANNとは別の枠組みによる委員会が立ち上げられました。

12月13日(金)にイギリスのロンドンで初の会議が開催され、エストニア共和国大統領のToomas Ilves氏がChairを、Google社のVint Cerf氏がCo-Chairを務めています。

http://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-13dec13-en.htm

ICANNの5年戦略計画に関する専門家委員会の活動開始

ICANNの5年戦略計画については、ダーバン会議で専門家委員会を設立する分野が発表されていましたが、以下、四つの委員会が活動を開始し、今回初めて参加者を交えて議論するセッションが行われました。

  • Identifier Technology Innovation(識別子の技術革新) 【Paul V. Mockapetris氏】
  • ICANN's Role in the Internet Organizations' Ecosystem (インターネット業界団体の中でのICANNの役割) 【Vinton G. Cerf氏】
  • ICANN Multistakeholder Innovation(ICANNマルチステークホルダーモデルの革新)【Beth Simone Noveck氏】
  • Public Responsibility Framework(公共性への責任に対する枠組み)【Nii Quaynor氏】

今回の会議では、ICANNの戦略計画に関する四つの委員会のいずれも、今後の方向性についての議論が中心であり、次回の会議以降の議論の進捗に注目したいところです。

https://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-2-17nov13-en.htm

第38回ICANN報告会レポート

ICANNブエノスアイレス会議を受けた報告会を、2014年1月14日(火)にIAjapanとの共催で、開催しました。今回の報告会には24名の方にご参加いただくとともに、新しくシンガポールに開設されたICANNのアジア拠点から、来日中のKuek Yu-Chuang氏にご登壇いただき、ICANNと日本のユーザーが直接意見を交換する貴重な機会となりました。本稿では、各トピックを「全体概要」「新gTLD関連」「ccNSOの動向」「ICANNとのコミュニケーション」の四つのカテゴリに分け、主なものを取り上げてご紹介します。

プログラム(講師敬称略)

1. ICANNブエノスアイレス会議概要報告

一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター 奥谷泉

2. ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告

株式会社日本レジストリサービス 堀田博文

3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 山口修治

4. ICANN GNSOレジストリ部会(RySG)及び新TLD申請者グループ(NTAG)の最新動向

株式会社日本レジストリサービス 遠藤 淳

5. ブランドTLDを含む新gTLDの状況

株式会社ブライツコンサルティング 村上嘉隆

6. TLD名前衝突(Name Collision)に関する動向

株式会社日本レジストリサービス 佐藤新太

7. What ICANN's Expansion in the Asia Pacific Region Means for Japanese Stakeholders
(ICANNのアジア太平洋地域への展開が、日本の関係者にどう関わってくるのか)

Kuek Yu-Chuang, The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers

会議の全体概要

JPNICの奥谷による会議全体の概要報告では、会議の模様、新gTLDの状況、ICANN戦略計画、シンガポールに開設されたICANNのアジア拠点、gTLDではWHOISはどうあるべきかについての見直し、新gTLDに関するセキュリティ関連の取り組み、および政府諮問委員会(GAC)からのGAC勧告(GAC Advice)などについて、それぞれ概要を報告しました。

前回および前々回の報告会では、個別のプログラムとして取り上げたWHOISに関する動向については、今回は全体概要の中でご報告しました。主に1ヶ所にデータを集約する仕組みであるAggregated Registration Data Service (ARDS)とは異なる方式として新たに提案された、Federated Registration Data Service (FRDS)についての説明が中心です。このFRDSは、それぞれのデータは各組織が分散して持つものの、それらを連携して検索できる仕組みです。

新gTLD関連

新gTLDに関する話題は、奥谷、山口氏、遠藤氏、村上氏からそれぞれ発表がありました。

総務省の山口氏からは、ブエノスアイレス会合会期中に公開されたGAC勧告(助言)の詳細について、以下の内容をご報告いただきました。

  • 特定の文字列(地名に該当するもの、原産地名の保護への対応が必要なものなど)への対応
  • セーフガード助言
    • カテゴリー1:消費者保護、各業界の参入規制などへの配慮が必要な文字列
    • カテゴリー2:排他的な登録
  • 政府間機関(IGO)、赤十字/赤新月の名称保護
  • 地名およびコミュニティベースgTLDに関する文字列保護プログラムの扱いの明確化

株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の遠藤氏からは、GNSOレジストリ部会(RySG)および新TLD申請者グループ(NTAG)についてと、ICANN外でドメイン名事業者または新gTLD申請者が設立した団体である、Domain Name Association (DNA)とBrand Registry Group (BRG)について、主にご報告いただきました。

写真:Kuek Yu-Chuang氏
● 当日はICANNのKuek Yu-Chuang氏にご登壇いただきました

株式会社ブライツコンサルティングの村上氏からは、新gTLDに関するレジストリ契約およびレジストラ契約の締結状況、ブランドTLD向けのレジストリ契約への追加項目をはじめとする、ブランドTLDの状況について主に報告いただきました。

JPRSの佐藤氏からは、新gTLD関連トピックスとして、名前空間の衝突(Name Collision)についてご報告いただき、佐藤氏がメンバーとなっている、セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SSAC)をはじめとする組織が取り組んでいる、Name Collision関連活動についてご紹介いただきました。なお、Name Collisionにつきましては、JPNICでも専門家チームを設立して日本国内での対応について検討を開始しています。

ccNSOの動向

JPRSの堀田氏からは、ブエノスアイレス会議でのccTLDレジストリにより構成されるccNSO関連の進捗についてご報告いただきました。まず開催された会合の一覧、IDN ccTLDに関する恒久的ルールについてICANN理事会への提案が完了し、意見募集中であることが報告されました。続いて、異体字(Variant)を用いたIDN ccTLDについて導入検討を行う、IDN Variant TLDプログラムの進捗として、以下二つのパネルの活動状況について紹介されました。

  • 言語・文字の追加および異体字ルールの作成を検討する生成パネル(Generation Panel)
  • 生成パネルが作成したルールを統合する統合パネル(Integration Panel)

他に、ICANNに対するccNSOの財政面について、ccTLDレジストリ間でセキュリティに関する関係者間の連携についての事例紹介などを、ご報告いただきました。

ICANNとのコミュニケーション

ICANNのKuek Yu-Chuang氏より、「What ICANN's Expansion in the Asia Pacific Region Means for Japanese Stakeholders(ICANNのアジア太平洋地域への展開が、日本の関係者にどう関わってくるのか)」と題して発表がありました。Kuek氏によれば、アジア太平洋地域からのICANNへの参加を増やしたいということで、それに加えて意見が積極的に提出されることで、この地域の意向が反映されることにつながるものと思われます。そのためには、アジア太平洋地域の多様な言語への対応、および各地域での会議開催など、会議の開催形態を見直すことなども、前向きに考えたいとのことです。

引き続き行われた質疑応答も兼ねたパネルディスカッションでは、まず参加者よりICANNに対して、現在のインターネットガバナンスの状況に関する懸念点、および日本に対する期待値について質問がありました。これに対しKuek氏からの回答は、ICANNオフィスの世界3拠点化がなされたものの、十分に各国にリーチできていないのではないかという点と、日本からもっと声を上げてほしいということの2点が挙げられました。

写真:パネルディスカッションの様子
● パネルディスカッションの様子

その後、ファシリテーター役のJPNIC前村より「ICANNはどうやって日本のコミュニティにエンゲージ(参加) していくべきか」をはじめとする質問を投げかけ、参加者に挙手およびコメントをお願いしました。参加者からの、「ICANNサイトに掲載されている情報が多すぎて探しにくい」というコメントに対しては、「どの支持組織または諮問委員会を対象とするかを決めれば軽減できるのでは」とのコメントがパネリストの1人よりありました。さらにKuek氏からは、「ICANNで新しいWebサイト(https://new.icann.org/)の公開ベータテスト中であるため、意見を寄せてほしい」との補足がありました。


これまでに開催したICANN報告会の発表資料と動画は、JPNIC Webサイトにて公開しています。

https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/

次回第49回ICANN会議は、2014年3月23日(日)〜27日(木)にシンガポールにて開催される予定です。

(JPNIC インターネット推進部 山崎信)


※1 名前衝突(Name Collision)
ある組織内のネットワークで利用している名前と、既存のTLDと衝突しないことを想定して利用しているドメイン名が衝突してしまう状態で、意図した相手と通信ができなくなったり、意図しない相手と通信してしまったりする可能性があります。新gTLDとして1,000を超えるgTLDが委任されることから、新たな問題として懸念されています。
※2 Global Multistakeholder Meeting on the Future of Internet Governance
2014年4月23日(水)、24日(木)にブラジルでの開催が予定されている、インターネットガバナンスの原則について、マルチステークホルダーにより議論するミーティングです。
※3 /1net(ワンネット)
インターネットガバナンスに関する、今後のグローバルな協力体制のあり方を議論するためのWebサイトとメーリングリストです。
http://1net.org/

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