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ニュースレターNo.62/2016年3月発行

今後のIPアドレス動向を読む

2011年という年は多くの人にとって東日本大震災の年として記憶されていると思いますが、 インターネットの歴史の中では、 IPv4アドレスの在庫が枯渇した年であるとも言えます。 あれから5年が経過した2016年現在、 IPv4アドレス在庫枯渇後の状況、 そしてそれを契機に本格化したIPv6への対応状況について振り返ってみましょう。

IPv4アドレス在庫枯渇の状況

2015年9月24日に、ARIN (American Registry for Internet Numbers)がIPv4アドレスの在庫枯渇を迎えたことをアナウンスしました。 これで、2011年2月3日のIANA (Internet Assigned Numbers Authority)在庫枯渇に始まり、同年4月15日のAPNIC (Asia Pacific Network Information Centre)、翌年2012年9月14日のRIPE NCC (Réseaux IP Européens Network Coordination Centre)、2014年6月10日のLACNIC (The Latin American and Caribbean IP address Regional Registry)に続き、 IANAの中央在庫と、四つの地域インターネットレジストリ(RIR)で、 IPv4アドレスの在庫が枯渇したことになります。 残っているのはAFRINIC (African Network Information Centre)ただ一つになり、世界のほとんどの地域において、 IPv4アドレスの新規分配は限定的なものになっています。 世界のIPv4アドレス在庫枯渇の状況を、 一覧としてまとめました。(表1)

<表1:各RIRにおけるIPv4アドレス在庫枯渇の状況>

(2016年1月5日時点、http://www.potaroo.net/tools/ipv4/ より引用)
※ AFRINICの在庫枯渇時期については予測時期
  APNIC RIPE NCC LACNIC ARIN AFRINIC
在庫枯渇定義 /8 /8 /10 /10 /11
現在の在庫量 0.6324 0.9538 0.1163 約0.6 1.9653
在庫枯渇時期 2011年
4月19日
2012年
9月14日
2014年
6月10日
2014年
9月24日
2018年
10月24日
在庫枯渇後の
分配サイズ
1組織あたり
最大/21
1組織あたり
最大/22
(1回限り)
1組織あたり
最大/22
(複数回可)
/28~/24 1組織あたり
最大/22
(複数回可)

AFRINICを除いた各RIRにおいて、 2011年2月3日にIANAから最後に分配された/8ブロックからの分配も進んでいるとともに、 2014年5月からは、一度各RIRに返却されたアドレスを、 IANAで一定単位にまとめて再度各RIRに均等分配することで、 この返却在庫からの分配も行われています。

返却在庫の分配は、年に2回ほどIANAから行われるため、 その際に各RIRのIPv4アドレス在庫が若干増加することになります。

在庫枯渇後のIPv4アドレスの分配状況とAPNICにおける最後の/8ブロックの枯渇

現在のAPNICのポリシーにおいては、 最後の/8ブロックと言われている103.0.0.0/8から、 1組織あたり最大/22までの分配が行われています。 またそれとは別に、前述した返却在庫から、 こちらも1組織あたり最大/22の分配を受けることが可能となっています。 現在、APNICの最後の/8在庫は約1,100万アドレスあり、 平均して1日あたりおおよそ1万3,500アドレスが消費されているということです。

それぞれの分配量は年を追うごとに増加してきており、 APNICのGeoff Huston氏は既に現在の消費ペースから予測モデルを導き出し、 最後の/8在庫とIANAに返却されたアドレス在庫の枯渇時期について、 詳細なシミュレーションを行ったレポートを出しています。 このレポートでは、 直近の分配ペースで一定に消費されるパターン (図1におけるProjection (2)) と、 2014年頃の分配が急増した時期の消費ペースを考慮したパターン(図1におけるProjection(1))でシミュレーションを行ったところ、 2019年の半ばから2020年の半ばには在庫が尽きるという予測結果になっています。(図1)

<図1:最後の/8在庫(103/8)からのアドレス消費予測割り振り>

図1:最後の/8在庫(103/8)からのアドレス消費予測割り振り

またIANA返却在庫についても同様に、現在の消費ペースと、 今後IANAから追加で分配される返却在庫を考慮してシミュレーションし、 おおよそ2016年の初め頃にはなくなるとしています。(図2)

<図2:IANA返却在庫からのアドレス消費予測>

図2:IANA返却在庫からのアドレス消費予測

いずれにせよ、現在のIPv4アドレスの消費ペースが激減しない限り、 2020年の東京オリンピックを迎える頃までには、 APNIC/JPNICから新たなIPv4アドレスの分配を受けることはできなくなっていることでしょう。

IPv4アドレス移転と移転されるアドレスの種類

ここまで説明したように、IANAや各RIRにおける在庫枯渇以降は、 レジストリからのIPv4アドレスの分配が限定的なものであるため、 もう一つのIPv4アドレス確保の手段である、 「IPv4アドレス移転」が活用されています。

JPNIC契約組織間の移転のほか、APNICおよびARINメンバー間、 そして2015年10月1日からはRIPE NCCメンバーとの移転も可能になっています。

これまでの移転状況は図3に示す通りです。 なお、JPNICにおけるIPv4アドレス移転の履歴は、 JPNIC Webページで参照可能です。

<図3:各RIRとJPNICにおけるIPv4アドレス移転の状況>

図3:各RIRとJPNICにおけるIPv4アドレス移転の状況

次に、RIRごとに移転されているアドレスの種別を、 RIRプールアドレス(CIDR導入以降にレジストリ経由で割り振られたアドレス=プロバイダ集成可能(PA)アドレス)と歴史的PIアドレス(CIDR以前にクラスフルアドレスとして割り当てられたアドレス)に分類し、 移転されたブロックの数と実際のアドレス数を見てみました。(表2)

<表2:アドレス種別ごとの移転アドレス数比較>

  APNIC ARIN RIPE
  ブロック数
(%)
アドレス数
(%)
ブロック数
(%)
アドレス数
(%)
ブロック数
(%)
アドレス数
(%)
PIアドレス 676
(69%)
2,878,975
(28%)
199
(60%)
39,974,016
(98%)
408
(12%)
2,484,736
(13%)
PAアドレス 304
(31%)
7,282,687
(72%)
131
(40%)
734,208
(2%)
3,078
(88%)
16,635,392
(87%)
980 10,161,662 330 40,708,224 3,486 19,120,128

これを見るとAPNICでは、 移転されるブロック数ではPIアドレスが多いものの、 アドレス数ベースではPAアドレスの方が多く、 PIアドレスの移転の場合では/24など細かなブロックが、 まとまったブロックの移転はPAアドレスで行われているということが推測できます。

また、RIPE NCCでは、ブロック数、 アドレス数ともにPAアドレスが極端に多く、 PIアドレスの移転がとても少ない状況です。

一方ARINにおいては、 移転アドレスのほとんどがAPNICやRIPE NCCと異なりPIアドレスとなっており、また、 まとまったブロックでアドレスが移転されていることも見て取れます。 さらに、レジストリ間移転については、 多くがARINからAPNICへの移転となっており、 その対象アドレスも歴史的PIアドレスが中心です。 これは、歴史的PIアドレスとして割り当てられたアドレスの方が、 CIDR導入後に審議を経て割り振り、割り当てられたアドレスよりも、 余剰となっているもの(空間)が多いことによるものです。

<図4:各RIRが管理するIPv4アドレス(/8ブロック)の数>

図4:各RIRが管理するIPv4アドレス(/8ブロック)の数

移転対象となるアドレス種別において、 ARINが取り扱う移転では歴史的PIアドレスの割合が非常に多いのですが、 一方でAPNICとRIPEにおいては、むしろPAアドレスの移転が中心です。 これはどうしてそうなのかと分析すると、 その地域内で管理されている、 歴史的PIアドレスの数の差によるものということもありそうです。 実際、上記図4で示す通り、すべてのIPv4アドレスブロックのうち、 ARIN以外のRIRが管理する歴史的PIアドレスのブロック数がすべて1桁なのに対して、 ARINは75個と圧倒的に数が多い状況です。

レジストリ間移転の対象がRIPE NCCにも拡大したことによって、 今後はAPNICだけでなくRIPE NCCでも、 ARINが管理している膨大とも言える歴史的PIアドレスの空間に対して、 IPv4アドレス移転ニーズの期待がかかっていくことが考えられます。

IPv4アドレス移転の実情と費用について

IPv4アドレスを移転によって確保しようとする場合、 どうやって移転元となるところを探すのか、 あるいは逆に手持ちのIPv4アドレスを誰かに移転したい場合どうするのか。 このような点が、移転を実務的に考えた場合に、 最初に頭を悩ませる点かと思います。

APNIC、ARIN、RIPE NCCなどでは、 移転を受けることを希望する人をリストにして提供しており、 それを見て移転先を見つけることが可能です。 同様に、JPNICでも2015年12月より、 IPv4アドレスの移転を受けることを希望する組織をリストにして公開しています。

また、IPv4アドレスの取り引きを仲介する事業者(ブローカー)を経由した移転を行うケースも増えており、 APNICではこのブローカーにコンタクトできるようにしたリストも公開しています。 当然、ブローカーを通すことにより、 仲介手数料も発生することになります。 ブローカーを利用する場合は、 これも移転にかかる費用として考慮しておく必要があります。

さらには、IPv4アドレスのオークションサイトも登場し、 入札方式によって、IPv4アドレスを入手する手段もあります。 ちなみにこのオークションサイトでは、 これまでに落札されたアドレスの価格と、 1アドレスあたりの単価を参照することもできます。 なお、アドレスの価格は、 アドレスサイズと同様に倍々で増えていくわけではないので、 単価で見ると相対的にアドレスサイズが小さいものが高い金額となります。

この落札価格に基づいた1アドレスあたりの単価の推移について、 少し分析をしてみましょう。 アドレスサイズ別に、 月ごとの平均落札単価の推移をグラフにしてみました。(図5)

<図5:アドレスサイズごとの月別平均入札単価の推移>

図5:アドレスサイズごとの月別平均入札単価の推移

これを見ると、 2015年10月から単価が若干上昇していることがうかがえると思います。 /24はもともと価格のバラつきが大きく、 以前から単価がUS$10を超える場合もありましたが、/23の場合は、 ほぼ安定してUS$9前後で推移していていました。 しかし2015年10月以降は単価がすべてUS$10以上となっており、 平均するとUS$11くらいになっています。

2015年10月というのは、 タイミングとしてはちょうどARINの在庫枯渇とRIPEのレジストリ間移転が可能になった時期にあたり、 このことがIPv4アドレスの落札価格に影響を与えている可能性が考えられます。 いずれにせよ、IPv4アドレス価格の動向については、 今後も状況をもう少し注意深く観察していく必要があると思います。

IPv6の普及、対応状況

さて現在、IPv6普及・高度化推進協議会およびIPv4アドレス枯渇対応タスクフォースでは、 日本におけるIPv6普及状況の調査を継続的に実施しています。 この中で、 日本で最もインターネットへのアクセス回線として利用されている、 NTT東日本株式会社およびNTT西日本株式会社(以下、 NTT東西)が提供するフレッツ光ネクストのIPv6普及率が、 直近の2015年9月のデータで、10%を超える結果となりました。 これについては、 2015年11月16日に開催されたIPv6 Summit TOKYO 2015においても、 何人かの登壇者が話題として挙げていました。

この調査では同様に、KDDI株式会社のauひかりと、 中部テレコミュニケーション株式会社(CTC)のコミュファ光も計測されており、 それぞれIPv6の普及率としては100%と78%と、 とても高い値を示しています。 それと比較すると、 フレッツ光ネクストの10%というのは「まだまだ」という印象を受けるかもしれません。 しかし、フレッツ光ネクストは全国規模で約1,700万の契約があり、 そのうちの約180万契約がIPv6に対応していると考えると、 その規模感と意味合いが少し理解できるのではないかと思います。 ちなみに、この普及率の計測方法は、 IPoE方式※1の契約数はほぼ実数として集計されていますが、 PPPoE方式※2の場合は、 計測に協力いただいているISP各社の、 3ヶ月間にPPPoEアクセスのあったユニークな契約者の数を集計したものの合計であるため、 実数としてはもう少し上振れする可能性があるとのことです(詳しい集計方法については、 IPv6普及・高度化推進協議会のWebサイトに解説があります)。

しかも、次のグラフを見ていただくと分かる通り、 フレッツ光ネクストの契約総数の伸びは若干頭打ちになってきているにも関わらず、 IPv6契約数が急速に増えています。 実際に、2014年9月時点のIPv6契約数が61万強でしたので、 1年間で約3倍に増えていることになります。 これは、2012年頃から徐々に各ISPにおいて、 それまでオプション扱いだったIPv6の提供が、 標準提供にシフトしていったことが影響していると思われます。(図6)

<図6:フレッツ光ネクストのIPv6普及率推移>

図6:フレッツ光ネクストのIPv6普及率推移

IPv6を利用するために

前述のようにマクロで見ていくと、 IPv6は徐々に普及している現状はご理解いただけると思います。 しかし、実際にご自宅や自組織におけるIPv6への対応は進んでいないと感じられる方も多くいらっしゃると思います。

個人ユーザーが自宅でIPv6を利用する場合は、 現在契約している回線とISPがIPv6に対応しているかの確認が必要です。 前述のように、KDDI社のauひかりを利用している場合は、 既にIPv6によるインターネット接続が可能になっています。 また同様にCTC社のコミュファ光をはじめ、 株式会社ケイ・オプティコムeo光、株式会社STNet のPikara、 株式会社エネルギア・コミュニケーションズのMEGA EGGなどの個人宅向けのFTTH (Fiber To The Home)サービスや、 CATVインターネット接続サービスの一部でも対応が進んでいるようです。 ただし、 サービスコースやオプションなどによって提供条件が異なる場合もありますので、 サービス内容を確認することをお奨めします。

NTT東西のフレッツ回線を利用する場合は、 フレッツ光ネクストとIPoEあるいはPPPoEに対応するISPと契約することで、 IPv6によるインターネット接続が可能になります。 それぞれ対応するISPは、 NTT東西のフレッツ公式ページで確認できますので※3、 提供エリアや提供方式などをご確認ください。

なお、Bフレッツあるいはフレッツ光プレミアムをご利用の場合は、 現在NTT東西が順次フレッツ光ネクストへの移行を進めているようですので、 移行完了後までお待ちいただく必要があります。 また、現在は光コラボレーションモデルとして、 フレッツ光ネクスト回線も含めISPと一括で契約することも可能になっていますので、 こちらに切り替えるタイミングを利用するという手もあるかもしれません。

一方、法人や団体など、 組織としてIPv6によるインターネット接続を利用しようとする場合は、 基本的にはご契約、お取り引きのあるISP事業者などにお問い合わせいただくと間違いがありません。 個人向けよりも、 法人向けサービスの対応を進めているISPや事業者も多く、 IPv4と同様に固定アドレスの割り当ても対応可能だと思います。 現在、IPv6アドレスの割り当てを行うことができる、 つまりIPv6アドレスの割り振りを受けている事業者は、JPNIC Webで公開している一覧を参照してください。 このリストにある事業者であれば、 IPv6アドレスの割り当てについての相談が可能であると思います。

また、自組織のネットワークをIPv6対応させるために、 2014年度に総務省が公開した「IPv6対応ガイドライン」も参考になります。 自社のシステム部門で対応する上でも、 外注のシステムインテグレーター(SI)事業者に対応を依頼する上でも、 一度内容をご覧になることをお奨めします。

現在、 既にJPNICよりマルチホームのための特殊用途用プロバイダ非依存(PI; Provider Independent)アドレス割り当てを受けている場合は、 そのネットワークをIPv6対応にすることを目的とする限り、 IPv6アドレスの割り当てを受けることができますので、 Web申請システムから申請手続きを行ってください。 現在のプロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書の変更契約書を別途締結するとともに、 割り当てるIPv6アドレス空間の通知を行います。

また、歴史的PIアドレスの割り当てを受けていて、 IPv6アドレスの割り当てを受けたい場合は、 3ヶ月以内にマルチホームによるネットワークを運用する計画があることを示すことによって、 IPv6の特殊用途用PIアドレスの割り当てを受けられます。 同様にJPNICのWeb申請システムにて、 新たに特殊用途用PIアドレスの割り当て申請と契約手続きを行ってください。 手続きの詳細については、JPNIC Webページをご覧ください。

IPv6アドレスの割り当てにあたっては、特段の費用はかかりません。 また、年に1回お支払いいただくIPアドレス維持料についても、 原則はIPv4アドレスのサイズに応じていただくことになりますので、 IPv6の割り当てを受けることで維持料の金額が変化することはありません。

現在IPアドレス管理指定事業者で、 IPv4アドレスの割り振りを受けていれば、記入例を参考にして、 今すぐWeb申請システムからIPv6アドレスの割り振り申請を行ってください。 申請フォームの必須項目を入力するだけで、 /32のIPv6アドレスの割り振りを受けることができます。 特に割り振りにかかる費用はありませんし、 IPアドレス維持料についても、 IPv4アドレスとIPv6アドレスのいずれか大きい方のサイズで算出した金額をいただくことになりますので、 こちらも基本的には金額が変化することはありません。

現在、特にJPNICからIPアドレスやAS番号の分配を受けておらず、 新たにIPv6アドレスの割り当てまたは割り振りを受けたい場合は、 要件を確認の上、手続きを行ってください。 IPアドレス管理指定事業者となることを希望する場合は、 JPNIC Webページをご参照ください。 同様に、特殊用途用PIアドレスの割り当てを受けたい場合も、 Webをご覧ください。

これからの動き

2015年9月24日のARIN地域でのIPv4アドレス在庫枯渇以降、 同地域においては、 新たにIPv4アドレスを入手する方法はほぼ移転のみとなりました。 地域内で管理している歴史的PIアドレスが非常に多くあるため、 これを移転で融通することで需要を満たしていくことになりますが、 移転実績も緩やかに増えてきているので、 いずれは供給が逼迫していくことは間違いないと思われます。

一方APNIC地域では、地域内の移転も行われていますが、 ARINからの流入も早い段階から行われており、 これは今後も継続していくと思われます。

RIPE NCCはこれまで地域内の移転が活発に行われており、 他地域の3倍以上の移転実績があります。 つまり、RIPE地域では他地域以上に需要も供給も旺盛にあると言えます。 さらにレジストリ間移転が可能になったことにより、 本稿執筆時点ではまだ1件の実績ですが、 ARINからの流入が今後増加していく可能性は十分に考えられます。

ま た、1オークションサイトにおける直近の実績ではあるものの、 既にIPv4アドレス取引価格が上昇傾向にあることが観測されている中で、 前述の通りのアドレス需要が継続していくとすれば、 おのずと今後も、 (それほど急激ではないとしても)取引価格の上昇傾向も続いていくのではないでしょうか。

ちなみに、今から5年前であれば、 例えば/18程度のIPv4アドレスの追加割り振りを受けるにあたってかかるコストは、 審議資料を整える手間代くらいでした。 それが現在、/18のアドレスブロックを手に入れるためには、 1アドレスあたりUS$8.00としてもUS$131,072、 日本円で約1,570万円かかることになります。 /18程度のおかわり(追加の割り振り申請)は、 以前なら中規模ISPであれば、半年から1年程度で消費する分量でした。 この規模の事業者にとって、 おかわりのために1,500万円を負担するというのは、 厳しいものと想像できます。 とは言え、事業者が顧客の獲得を止めるわけにはいきませんし、 ユーザーにコストを転嫁するのも困難です。 IPv4アドレスを使い続ける限り、 今後こうしたコストの負担を余儀なくされるということも考慮しておかなければいけません。

2015年9月16日にApple社のiOS 9が、 そして10月1日にはOS X El Capitanがリリースされましたが、 これに先立って2015年7月にチェコのプラハで開催されたIETF 93にて、 今後iOS 9で動作するアプリはすべてIPv6をサポートし、 DNS64+NAT64環境下で動作することを必須とすることが発表されました。 そしてさらに、 iOS 9とOS X El Capitanで実装されるHappy Eyeballsの実装ではIPv6接続が優先され、 IPv4で接続を試みようとする場合、 25msの遅延が入ることになるといった発表も行われました。 これは、Apple社としては、 IPv6によるインターネット接続を前提として、今後の製品の開発、 提供を行っていくという姿勢を明確に示したことになります。 iOS向けのアプリ開発やコンテンツ提供におけるIPv6対応という観点では、 大きな進展が期待できるのではないかと思います。

そして、2016年1月26日には、 総務省の「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」第四次報告書が公開されました。 この報告書の中では、 今後のIoT (Internet of Things)社会に向けたアクションプランの一つとして、 移動通信事業者(いわゆる携帯電話事業者)のネットワークのIPv6対応を進め、 「2017年にはスマートフォンの利用者に対するIPv6のデフォルト提供が、 利用料の追加的負担なく展開されている状況(「IPv6 Mobile Launch」)を実現すべきである。」とされています。

図6が示すように、 フレッツ光ネクストつまり固定系回線の契約数はやや頭打ちの状況です。 その一方、スマートフォンやタブレットの普及、 仮想移動体通信事業者(MVNO)事業者の拡大によって、 徐々にインターネットユーザーの中心層がモバイルユーザーにシフトしています。 このモバイルユーザーへの対応に向けたマイルストンが明確になった意義は大きいでしょう。 これにより、コンテンツなどのアクセスされる側のIPv6対応にも、 拍車がかかることが期待されます。

実際、 2015年末にGoogleへのアクセスにおけるIPv6の割合が10%を超えたことが観測されています。 インターネットを利用するにあたって、IPv4とIPv6の両方、 あるいはいずれか片方のプロトコルだけだったとしても、 特にそれを意識することなく、普通に通信できる状態になる日は、 それほど遠くないのではないでしょうか。

(JPNIC IP事業部 佐藤晋)


※1 IPoE (IP over Ethernet)
通信路としてEthernetを使ってInternet Protocol (IP)のデータグラムを伝送する方式のプロトコルで、「ネイティブ接続方式」などとも呼ばれます
※2 PPPoE (PPP over Ethernet)
PPP (Point-to-Point Protocol)というプロトコルの機能を、カプセル化することによりEthernet上で利用できるようにしたプロトコルで、「トンネル接続方式」などとも呼ばれます
※3 フレッツ回線のIPv6対応ISP
NTT東日本「フレッツ 光ネクスト IPv6 IPoE対応プロバイダ」 https://flets.com/next/ipv6_ipoe/isp.html
NTT東日本「フレッツ 光ネクスト IPv6 PPPoE対応プロバイダ」 https://flets.com/next/ipv6_pppoe/isp.html
NTT西日本「フレッツ光 対応プロバイダー」 https://flets-w.com/isp/

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