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JP-DRP改善の可能性についての検討報告書

DRP検討委員会
委員長 久保次三
担当理事 丸山直昌
2003年1月24日
2003年2月28日修正

1. はじめに

本年度のDRP検討委員会では、 2001年度の活動報告書としてまとめた 「JP-DRP改善の可能性についての検討報告書」[1] に沿って引き続きJP-DRP改善の可能性の検討を行った。 この文書では、その検討結果を報告する。

2. 検討内容

 2001年度の検討内容は、概ね7つに分類することができた。 本年度の検討では、このうち、 「移転裁定後、移転手続きを行わない場合の扱いについて」 ([1] の 2.2)と「確定判決後のドメイン名の扱いについて」([1] の 2.3) の論点が集中的に討議され、 特に前者については対応策に関してもほぼ合意に達した。 本文書では、委員会での検討内容を、議論に費やした時間の順に述べる。

2.1 移転裁定後、移転申請手続きが行われない場合について

 移転裁定が出たにもかかわらず、 申立人がJPRSに対して移転に必要な手続きを取らず、 そのために裁定実施予定日以降も長期間にわたって被申立て人が当該ドメイン名の登録者としてWHOISサービスで表示され続けてしまう事例が実際に発生している。 JP-DRP申立書に書かれている情報だけではドメイン名登録情報の必須項目が満たされないことと、移転費用の納付が担保されないことが、 JPRSにとって登録情報書き換えの障害となっている。 しかしこの状態はJP-DRPに対する社会的信頼性という意味で、 改善が強く求められる問題である。

 この現状に対して委員会の検討では、 いずれにしても裁定実施予定日には被申立て人の名前は登録情報から抹消すべきであること、 及び申立て人が移転手続きを取らない場合には、 移転裁定によって得た権利を放棄したものと見なして裁定実施予定日から一定の猶予期間後に当該ドメイン名を登録抹消ドメイン名の扱いとすべきであるとの点で意見の一致を見た。 また猶予期間はあまり長い必要はなく、むしろ長すぎる猶予期間は、 JP-DRPが被申立て人に対して課している敏速な対応に比べて公平性を欠くとの観点から、 6週間程度が好ましいとの意見の一致を見た。

 さらに、改善を実現するために、紛争処理方針、手続き規則、 登録規則のいずれを改訂すべきかを検討したが、 登録規則の改訂で対処するのが望ましいとの点でも意見が一致した。

2.2 確定判決後のドメイン名の扱いについて

 当該ドメイン名が裁判において係争中の場合には、 その間の移転を禁じている紛争処理方針第8条(ii) により登録者から移転ができないこととなっているが、裁判が終結した場合には、 その裁判の結果が登録者に不利な内容であっても、 現行の規定振りでは登録者の自由意志によって、 移転または廃止ができる可能性があり、 この事が制度全体として好ましいものかどうか、という点が前年より議論されていた。

 これについてはまず、 裁判において当該ドメイン名の使用差止の判決が出た場合には敗訴した登録者から第三者への移転申請が提出されても、 JPドメイン名紛争処理方針第2条に違反するとして、 JPRSは申請を拒否できるとの見解が示された。 次に、同じケースで登録者が廃止申請を行う場合には、 それをJPRSが拒否する理由は現行規定には見当たらず、 仮に裁判原告側が裁判後にJP-DRPを申立てて移転裁定を目指す意図があったとしても、 その機会を逸する虞はあるが、その危険性も込めて、 JP-DRP申立て以前に裁判に訴えたことは原告側の選択したことなので、 特に現行規定を変更して登録廃止申請を防ぐ必要はない、 との点で委員会の意見は一致した。

 なお、裁判係属中または終結後であっても、 JPRSが当該ドメイン名が裁判に関係しているということを知らされていなかった場合には、 登録者の申請通りに移転または廃止を受け付けても、 何ら責任を問われないとの見解で一致した。

2.3 改正不正競争防止法との関係

 改正不正競争防止法(2001年12月施行)では、 ドメイン名を不正の目的を持って取得、保有、 使用したことによる被害者に対する救済としては、 ドメイン名の移転は明示的に規定されていない。 従ってJP-DRPによる裁定との不整合を生じる可能性が少なからずある。 この点をどのように扱うべきかは2001年度の委員会においても議論された([1] 2.1)。

 このテーマは法理論的には興味あるテーマであり、 昨年度はこの議論に多くの時間が費やされたが、 現状ではこれが問題となる事件が無いため緊急性に乏しく、 今年度の委員会ではJP-DRPの改訂に結び付く結論には至らなかった。

2.4 その他の検討事項

 以下の課題については、現状では、 現実的にはあまり起りそうも無いため緊急性に乏しく、 今年度の委員会ではJP-DRPの改訂が必要とする結論には至らなかった。

  1. 同一ドメイン名に対する申立が同時並行的に複数発生した場合の扱いについて([1] 2.4)
  2. 登録規則違反を根拠とした申立の扱いについて([1] 2.5)
  3. 中断について([1] 2.6)
  4. 併合審理について([1] 2.7)

JPRSにおける検討

 当委員会での議論と平行してJPRS社内においても検討が行われ、 その際に当委員会での議論内容も参考の上で、 JP-DRPに対する対処を改善するための登録規則の改訂の意向が当委員会及び評議委員会に伝えられた([2])。 それによれば、上記 2.1 の改善の実装として、登録規則の改訂を行うとのことであり、 当委員会としてこれを歓迎する。

まとめ

 検討結果を反映した登録規則改訂が行われれば、改善が期待できる。 JP-DRPも、その元となったUDRPも、 理論的に突き詰めれば細かい欠点はまだあるかも知れないが、 実質的には現実に起りうる極めて多くのケースで有効に機能するレベルに達していると考えられ、 今後は有効活用されるための普及活動が重要になってきている。 日本知的財産仲裁センター、JPRS、JPNICが協力して普及活動を行うことを期待する。

 なお、JPNICは引き続き、 ICANNのUDRP Reviewの議論に参画しウォッチングを行い、 合意された改善内容に沿って、 遅滞なくJP-DRPの見直し・改正作業を適宜進めていくことが望まれる。

参考資料リスト

[1] JP-DRP改善の可能性についての検討報告書」、2001年度DRP検討委員会、2001年4月11日JPNIC評議委員会資料。
(https://www.nic.ad.jp/ja/materials/council/2002/0411/shiryou4-1.html)
[2] 「JP-DRPに関する課題解決方針に関する報告」、JPRS、2002年12月12日JPNIC評議委員会資料。
(https://www.nic.ad.jp/ja/materials/council/2002/1212/shiryou2-9-2.html)

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