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2001年2月8日

IETFの組織構造

IETFの概要

IETFは、インターネット技術の標準化を推進する任意団体である。 IETFへの参加は自由であり、特に、 メンバーシップなどがあるわけではない。 参加者は、一般的には、企業等を代表して参加するわけではなく、 個人の資格で参加することになっている。 参加者は、自由にIETFの会合に参加することができ、 また、各個別の技術に関して議論を行うグループが管理するメーリングリストに加入することができる。 IETFに参加するにあたっての心得(TAO)が、 http://www.ietf.org/tao.html およびRFC1718 に書かれており、自由に読むことができる。 ここには、IETFの簡単な歴史、構造、参加の方法や作法、 標準化の方法などが記述されている。

IETFにおける技術標準化の議論は、 ワーキンググループを単位にして推進される。 各自ワーキンググループは、 ワーキンググループ(WG)が議論する技術分野ごとに、 該当するエリアに属することになる。 各エリアには、エリアディレクターがいて、 エリアに属するWGの方向性や他のWGおよびエリアとの調整を行う。 2001年現在、後述する八つのエリアが存在する。

現在、IETFは、ISOC (Internet SOCiety)に属しており、 ISOCを頂点とした、IETF関係の組織構造の概略図を図2に示した。 なお、ISOCは、1992年に組織化され、 神戸で開催されたINET92の際にISOCのメンバー選出などが行われた。

図:ISOCの構成
図2. ISOCの構成

ISOC

インターネットガバナンスの頂点に立つのが ISOC (Interet SOCiety)と呼ばれる学会機関である。 ISOCは、1992年6月に、 神戸で開催されたINET'92において正式に発足した。 ISOCは、非営利の国際組織で、 インターネット技術およびシステムに関する標準化、教育、 ポリシーに関する課題や問題を解決あるいは議論することを目的としている。 現在、150以上の組織会員、 170カ国以上から合計で8,600名の個人会員がISOCのメンバーとして登録している。 ISOCは、実質的な活動を1993年から開始したが、 ISOCの責任や活動のポリシーは、 RFC1602 に記述されている。

ISOCの最大の目標は、 「インターネットが成長を続け利用され続ける」ことである (1995年 ISOC Board of Trustees (ISOC信託評議委員)会合での決議)。 さらに、この時、ISOCと、IAB (Internet Architecture Board、 インターネットアーキテクチャ評議会委員)、 IESG (Internet Enginnering Steering Group、 インターネット技術ステアリング委員会)、 IETF (Internet Engineering Task Force、インターネット技術検討委員会) との関係も明確化された。 すなわち、ISOCは、IAB、IESG、IETFと密接な関係を持ち、 インターネット技術が正しい方向に発展するよう努めるよう活動を行うということである。

ISOCは、IABやIESGへの資金援助を行っている。 また、ISOCは、IETFでの標準化活動に伴う、 特許や著作権などの知的財産権に関する事務処理などを行っている。 例えば、RFCの著作権は、ISOCが所有することになっている。 ISOCのメンバーである、Board of Trusteesは、 RFC1602 に記述されている手順に従い、選挙により決定される。 さらに、ISOCは、 通信システムの国際標準を決定している国連の機関である、 ITU (International Telecommunication Union、国際電信電話協会) との協力関係(Liaison)も確立した。

IESG

IESG (Internet Engineering Stearing Group)議長は、 IABのボードメンバーとなる。 IESGは、IETF (Internet Engineering Task Forse) において議論されるインターネット技術に関する標準化に関する責任を負い、 IETFでの議論の方向性などをガイドする役目を持つ。 また、IESGは、 IETFが作成するRFCの取り扱い方法に関する決定をくだす組織となる。 IETFにある、八つの技術エリアごとに、エリアディレクタが任命される。 エリアディレクタは、 担当する技術エリアの分科会(WG; Working Group)を統括し、 ドキュメントのレビューや分科会の方向性のガイドを行う。 現在、エリアとしては、以下の八つのエリアが存在している。 なお、Genaral Areaのエリアディレクタは、 IETF議長が務めることになっている。

  • General (gen, 統括的技術エリア)
  • Applications Area (app、アプリケーションエリア)
  • Internet Area (int、インターネット技術エリア)
  • Operations & Management Area (ops、運用管理技術エリア)
  • Routing Area (rtg、経路制御技術エリア)
  • Security Area (sec、セキュリティ技術エリア)
  • Transport Area (tsv、転送プロトコル技術エリア)
  • User Services Area (usv、ユーザーサービスエリア)

Working Group

Working Groupは、 技術の標準化を行う必要があるとのコンセンサスが得られた場合に発足し、 目的を完了したら解散(Conclude)する。 Working Groupの発足には、IESG、IABおよびISOCの承認を必要とする。 Working Groupを発足するには、通常、 十分な電子メールリストでの議論と、 IETF会合において開催されるBOF (Birds Of Feather)セッションでの議論で、 Working Groupを発足して活動すべきというコンセンサスが確立した時に発足する。 発足の際、Working Groupチェア、エディターなどを選出するとともに、 Working Groupの趣意書(Charter)を作成する。 各Working GroupのCharterは、 IETFのホームページ (http://www.ietf.org/)で、 自由にアクセスすることができる。 Charterには、Working Groupの活動目的と成果が記述され、 活動のマイルストーンが記述される。 Working Groupの発足の方法や活動方法については、 RFC1603 に記述されている。

IAB

IABとは、 Internet Architecture Boardの略。 1992年のINET92(神戸)以前は、Internet Advisory Boardと呼んでいた。 IABは、インターネットの技術コミュニティ全体の方向性やインターネット全体のアーキテクチャについての議論を行う技術者の集団で、 ISOCの技術理事会(Technical Advisory Group)として機能している。

IABは、 IETFチェアとIESGメンバーおよびIRSGチェアおよびIRSGメンバーを任命し、 さらにRFC、BCP、 IANAによる番号割り当てに関する最終的な責任を負うことになる。 また、ITU-T、W3C、 ISOなど外部組織とのリエゾンについての最終的な責任も負っている。 さらに、インターネット技術およびアーキテクチャに関して、 ISOCへの技術アドバイザリーとしても機能する。

IABの運営ポリシーならびに運営方法は、 RFC1601 に記述されている。 IABは、13名で構成され、 各メンバーの任期は2年(再任可能)となっており、 毎年6名ずつが改選されることになっている。 なお、IABメンバーは全て、ISOCにより承認される必要がある。

IRTF(インターネットリサーチタスクフォース)

IRTFとは、Internet Rsearch Task Forseの略である。 その名の通り、 インターネットに関する将来の革新的な技術に関する検討を行うグループだ。 技術を長期的な観点から考え、小人数による議論を行う。 通常、IRTFでの議論・検討の結果、 IETFでの検討や標準化が必要と認識されると、IETFに提案され、 標準化に向けた議論検討が開始される。 RSVP (Resource ReSerVation Protocol)やDiffserv (Differentiated Service)、 あるいはReliable Multicastが、IRTFでの検討議論の後に、 IETFに提案され標準化作業が進められている例としてあげられよう。 IRTFの検討課題は長期的観点に立って行われるが、 研究グループは通常短期間のタスクフォースのように活動している。 IRTFは、IRTFの運営を管理するIRSG (Internet Research Steering Group)を持ち、その議長はIABが任命することになっている。 IRTFの活動方法などは、 RFC2014 (これは、BCP8になっている)に詳しく記述されている。

ISTF(インターネットソシタエタルタスクフォース)

ISTFとは、Internet Societal Task Forseの略である。 ISTFは1999年、 インターネットの父とも呼ばれているVinton Cerf博士の提案により設立された。 IETFがインターネットの技術的な側面の議論検討を行うに対して、 ISTFは社会学的側面や経済的側面から、 インターネットに関する課題や問題の解決を行うことを目的とする。

ISTFの大きな目標は、 インターネットを全ての地球上の人々のものにすること、すなわち、 "Internet for Everyone"を実現するために、 行うべきことを明らかにし、 これを実行することにある。 すなわち、インターネット技術を、 発展途上国や技術者以外の人々にも普及させるための方策を議論検討しているのだ。 以下のようなものが、活動内容の例としてあげられる。

  1. アクセス性(Accessibility)
    社会的、経済的、規制的、心身障害的な観点からインターネットへのアクセスが困難とならないような方策を検討する。
  2. 教育(Education)
    インターネットを用いて、さまざまなレベルの教育を可能にする。例えば、教師のトレーニング、クラスルームからのアクセス、自宅からのアクセスなどを促進する方策を検討する。
  3. 経済性(Economics)
    インターネットの普及に必要な経済的条件や方策などを検討する。
  4. 規制(Regulation)
    各組織(政府など)による規制による、インターネットの普及に対する障害あるいは普及の促進を議論し、必要な方策を検討する。
  5. 課税(Taxation)
    インターネットにおける課税モデルおよび課税システムと、インターネットの普及の関係を検討し、必要な方策を検討する。

ICANN

The Internet Corporation for Assigned Names and Numbersの略で、 米国政府との契約のもと行われてきたIANAの活動を、 米国政府から独立させ管理運営するために設立された非営利企業である。 詳しくは セクションICANN を参照されたい。

文責 江崎 浩 (Hiroshi Esaki) 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授/WIDE Projectボードメンバー

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