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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.531【臨時号】2008.4.2 ◆
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◆ News & Views vol.531 です
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本号では、第25回APNICオープンポリシーミーティング(*)で開催されました
技術関連プログラム、APOPSの様子についてお届けいたします。

(*) JPNIC News & Views vol.526【定期号】
    第25回APNICオープンポリシーミーティングレポート
    http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol526.html

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◆ 第25回APNICオープンポリシーミーティングレポート ~APOPSレポート~
                                          JPNIC 技術部 山崎信/岡田雅之
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APRICOT 2008/APNIC 25のプログラムの一つとして、APOPS(The Asia Pacific
OperatorS Forum)が開催されましたので、その内容をご報告します。

APOPSとは、アジア太平洋地域のインターネットオペレーターのためのフォー
ラムで、最初はメーリングリスト上の活動のみでしたが、2000年よりAPNICミ
ーティングの一部として開催されるようになりました。当初APOPSは、BoF的な
位置づけで開催されていたのですが、2006年頃よりインターネット運用技術関
連の発表および議論の場として拡充されてきています。今回はAPOPSプレナ
リーI、II、IIIと計4時間半にわたって開催されました。

各セッションで議論された内容は以下の通りです。

・APOPSプレナリーI:  インターネットのトラフィックおよび経路制御
・APOPSプレナリーII: IPv4在庫枯渇問題
・APOPSプレナリーIII:IPv6への移行および普及

本稿では、2008年2月26日(火)に開催されたAPOPSプレナリーIに焦点を当てて
お伝えします。APOPSプレナリーIIについては、JPNIC News & Views vol.528
(*)をご参照ください。

(*) JPNIC News & Views vol.528【特別号】
    IPv4アドレス在庫枯渇関連レポート[第10回]
    http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol528.html


■100Gbpsのオーダーを超えて
  ~インターネットトラフィックにおける次の潮流~

まずは、バックボーンの帯域が100Gbps以上に達しようという時期に、イン
ターネットのトラフィックパターンがどのようになるかという予想が発表され
ました。日本では2010年までに、8割または9割のトラフィックが動画によるも
のとなるという予測が紹介されると、韓国ではそれはすでに現実となっている
とコメントする参加者がいるなど、P2Pや動画トラフィックについて議論とな
りました。

また、ブロードバンドアクセスに従量課金を行っているオーストラリアの例も
取り上げられ、従量課金を行うことは通信事業者にとっては検討対象であるも
のの、P2Pや動画の時代に消費者にとっては受け入れがたいのではないか、と
いう意見がありました。

P2Pで動画配信を行うとネットワーク利用効率がはるかに向上することが注目
され、P2Pにより動画配信を行っている日本の事業者の例も紹介されました。
P2Pの時代になると、家庭からインターネットに向けての上りトラフィックも
多くなり、ブロードバンドが下りの帯域優先で問題なかった頃とは違ってきて
いるという指摘がありました。


■中東でのメルトダウン~グローバルなBGPの視点から~

次に、2008年1月30日に地中海で発生した海底ケーブルの切断事故により、中
東やインドにおいてネットワークに影響が及んだ事件について発表が行われま
した。この事故により、23ヶ国のネットワークに影響が及び、中東および北ア
フリカでは、イスラエルを除く65%のネットワークが不通となりました。次い
でペルシャ湾岸諸国の45%、インド亜大陸での32%が不通となりました。これ
らの国の中で、影響を受けた経路情報の数および割合の双方において高い値を
示した、エジプト、パキスタン、クウェートの詳細が報告されました。

発表時点で、全ての海底ケーブルは修理が完了し、不通となっていたネット
ワークへも到達できるようになっていますが、不通にならなかったプリフィク
スで影響が残っていたところがあったようです。

本件だけでなく、2006年末に台湾沖で発生した地震によるケーブル損傷事故が
東アジアの広範囲にわたって影響を及ぼしたように、ケーブルが集中している
ところでの事故は影響が大きいため、インターネットにおける致命的な脆弱性
の一つであるといえるでしょう。

また、本件による影響はプロバイダによっても異なったようです。東(東南ア
ジア)西(地中海)両方向に接続している大手ISPは問題が最も少なく、そうでは
ない各国の大手事業者も、事故後いち早く新たにトランジットを得たことで対
処できたようです。また、小規模なプロバイダは大手事業者の応援を求めなけ
ればならなかったとのことです。

対策としては、物理的な冗長化、すなわち複数の異なった経路経由の海底ケー
ブルを使用したり、可能な地域では地上経由の接続を利用することなどが挙げ
られ、その他にも自地域内でピアリングを行うなどが挙げられていました。


■BGPによる経路制御 
  ~「AS PATH Prepending」がインターネットに与える影響~ 

最後に、BGPを用いた経路制御を行う上で日常的に利用される「AS PATH
Prepending」が、インターネットへ与える影響の調査報告が発表されました。

AS PATH Prependingとは、わざと自分のAS番号を繰り返し付加(=Prepending)
したAS PATH属性を広告することで、経路情報の優先順位を低くすることで
す。また、AS PATH Prependingは、任意のピアに対して実行することができま
す。BGPの経路選択アルゴリズムでは、ある経路への経路情報が複数存在する
場合、経路情報に付随するさまざまな属性を比較して、実際の経路を選択しま
す。このアルゴリズムでは、属性の一つであるAS PATH属性は、経路広告元AS
からASを経由するたびに、通過したASのAS番号を付加してできる通過ASのリス
トとなっており、経路選択アルゴリズムでは、AS PATH属性が短い経路が選択
されます。このAS PATH属性は経路選択アルゴリズムの中でも優先順位が高い
ため、自分のAS番号を加えて経路を長く見せることで優先順位の低い経路とし
て広告できるのです。

本プログラムの内容は、AS PATH Prependingを繰り返していくと、どのように
経路が変化するか、また、なぜ変化したかについて調査した結果となっていま
す。

この調査では、経路の広告元として、RIPE NCCが運営するRouting
Information Service(RIS)のAS内部の一部、3拠点を用意し、拠点ごとに二つ
の上位ASからインターネットへ向けて経路を広告します。この状態で、二つの
上位ASのうち、片方の接続でAS PATH Prependingを実施し、インターネット上
の観測点で経路の状態を観察します。経路を観察する観測点としては、広告元
として利用するRISの3拠点以外のRIS拠点やUniversity of Oregon Route
Views Project、その他のLooking Glassを採用しています。

結果としては、拠点ごとに振る舞いが異なり、興味深い結果となりました。拠
点1での実験では、AS PATH Prependingを実施した経路が、AS PATH
Prependingを実施しない経路と比較して多く観測されました。また、経路広告
を始めてから2時間経過するまでは、観測点の一部では経路を観測できない結
果となりました。

拠点2での実験では、AS PATH Prependingを2回繰り返しただけで、Prepending
を実施しない経路のみが観測点で見られ、AS PATH Prependingの影響が大きく
反映される結果となりました。

また、拠点3では、AS-PATH Prependingを5回実施した場合と6回実施した場合
のAS-PATH属性の変化に着目しています。5回AS-PATH Prependingを実施した場
合のAS-PATH属性は、経由したASのAS番号がそれぞれ1つずつ付加されているの
に対し、6回AS-PATH Prependingを実施した場合のAS-PATH属性は、途中のある
1つのASのAS番号が繰り返し付加されている状況が観測されました。このこと
から、今回の実験手法は、AS-PATH Prependingされた優先度の低い経路を見つ
けることができる、としています。

最後に、本手法をrouting dynamics計測の一つの方法として提案していくこと
や、今後は拠点ごとに二つ以上のインターネット接続を準備して観測すること
などの計画があることを述べられて本プログラムが終了しました。

AS PATH Prependingを普段利用している運用者の立場として、インターネット
では自組織の経路がどのように伝搬するのかという点で、本プログラムはとて
も興味が持てる内容でした。

このプレゼンテーションの詳細は、APNIC 25 APOPS Plenary I講演資料として
公開されております。詳しく知りたい方はRIPE NCCのRISの活動と合わせて、
以下のURLをご参照ください。

□An Active Approach to Measuring Routing Dynamics Induced by AS
  http://www.apnic.net/meetings/25/program/apops1/chang-asn.pdf

□Routing Information Service(RIPE NCC)
  http://www.ripe.net/projects/ris/tools/


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.531 【臨時号】

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