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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1703【臨時号】2019.8.6  ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1703 です
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2019年6月に開催されたICANNマラケシュ会議の報告をお送りします。この会
議については、すでにJPNICブログでもご報告しており、話題となってい
る.amazonの問題やDNS over HTTPS (DoH)およびDNS over TLS (DoT)にも触れ
ていますが、本号では、フォトレポートで取り上げなかったgTLD関連の話題
を中心にレポートしています。

  ICANN65マラケシュ会議フォトレポート
  https://blog.nic.ad.jp/blog/icann65-photo-report/

また、この第65回マラケシュ会議の報告会が、今週木曜日(2019年8月8日)の
13:15-17:00に開催されます。暑い最中ではありますが、遠隔での参加も可能
ですので、下記のWebページからぜひお申し込みください。

  第55回ICANN報告会開催のご案内
  https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2019/20190712-01.html

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◆ 第65回ICANNマラケシュ会議報告
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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■ はじめに

2019年6月24日(月)から27日(木)まで、モロッコ・マラケシュにて第65回
ICANN会議(ICANN65)が開催されました。今回も、これまでの毎年6月開催の
ICANN会議と同様、「ポリシーフォーラム」と呼ばれるフォーマット(*1)での
開催でした。

(*1) ICANNの会議種別とは
     https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/icann-meeting-strategy.html

内陸にあるマラケシュの緯度は北緯31度38分で、鹿児島市とほぼ同じです。
会期中の気候は最高気温こそ35度を超えて暑かったものの、湿度が低いのと
朝晩は20度程度まで下がるため、非常に快適でした。もっとも、会議場内は
空調が強く効いており、寒いと感じることもありました。マラケシュの街か
ら自動車で1時間程南に行ったところにアトラス山脈があり、最高峰は4,000
メートルを超えるため、雪解け水により川には年中水が流れており、雨の少
ないステップ気候ではあるものの農業は盛んとのことです。

本稿では、この第65回ICANNマラケシュ会議について、GNSO関連の動向を中心
にご報告します。


■ オープニングセレモニーおよびマルチステークホルダーエートス賞授賞式

会期初日である6月24日(月)の8時から30分間枠で開催された、Welcome
Coffeeが実質的にオープニングセレモニーとなりました。まず、ICANN事務
局のポリシー担当より、High Interest Session(*2)および分野別ドメイン名
支持組織(GNSO)のポリシー策定セッションについてブリーフィングがあった
のち、ICANNオンブズマンから挨拶がありました。

(*2) High Interest Session
     参加者の関心が高いと思われるトピックを扱うセッションです。

ICANNのマルチステークホルダーモデルに対して卓越した貢献を行った人に贈
られる、マルチステークホルダーエートス賞の授賞式が、6月のポリシーフォー
ラムで開催されるのが通例となっており、今回も初日の18時より、ホワイエ
にて開催されました。選考は、各支持組織(SO)/諮問委員会(AC)から1~2名の
パネリストからなる選考委員会で、1名または2名が選定されることになって
います。

今回は、gTLD登録データの暫定仕様(Temporary Specification)に関する迅速
ポリシー策定プロセス(Expedited Policy Development Process, EPDP)チー
ムの、フェーズ1における議長を務めたKurt Pritz氏が受賞しました。Pritz
氏は他にも、次期新gTLD申請ラウンドに関するポリシー検討にも貢献してお
り、その前には2012年までの9年間ICANN職員を務めました。


■ gTLD登録データの暫定仕様に関する迅速ポリシー策定プロセスの検討状況

2019年4月にEPDP検討チームフェーズ2の議長がJanis Karklins氏に決まった
ことは、Vol.1683(*3)でお伝えしました。

(*3) JPNIC News & Views vol.1683
     第64回ICANN神戸会議報告 [後編] 新gTLDを中心とした議論の動向
     https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2019/vol1683.html

その新体制で同チームはICANN65会期中に2回会合を実施しました。具体的な
内容は次の通りです。

1. 非公開gTLD登録データの要求者に関する雛形フォーマットについて議論

   EPDPチームは、非公開gTLD登録データの要求者(法執行機関、統一ドメイ
   ン名紛争処理方針(UDRP)関係者等)のユースケースと質問に関する、包括
   的な雛形に対する評価を開始しました。

2. 非公開gTLD登録データの要求者に関するユースケースの実例を調査

   同チームは、商標権侵害に対する紛争解決手段に訴える目的で非公開登録
   データの入手を行う、個人または関係組織のユースケースに関して包括的
   に議論し、また法執行機関が犯罪捜査をする際のユースケースについて評
   価しました。

3. 統一アクセスモデル(Unified Access Model, UAM)に関する各国データ保
   護委員会(DPA)へのアウトリーチに関する次の段階についてのすり合わせ

   技術研究グループ(Technical Study Group, TSG)による非公開WHOISデー
   タへのUAM案を、GDPRの下での基本的な想定事項および妥当性について試
   すためにICANN事務局が各国DPAに提示することになっており、EPDPチーム
   と事務局間で意見交換が行われました。

4. フェーズ2のプロジェクト計画案を評価

他に非公開WHOISを利用することになる利用者グループの認定方法などについ
ても議論されました。

本チームの電話会議は毎週開催されており、2019年9月上旬には米国にて対面
会合が開催される予定です。


■ 次期新gTLD申請ラウンドに関する検討状況

会期中に3回セッションが開催され、トップレベルにおける地理的名称に関す
る文字列の扱いに特化して検討を行っている分科会(作業トラック5)では、首
都でない都市名および都市名でない地名(山、川、谷、湖など)文字列の扱い
などについて議論されました。

作業トラック5以外では、申請待ち行列および委任頻度の制限についても議論
されました。加えて、ICANN事務局のグローバルドメイン部門(GDD)が、次期
申請ラウンドの事前計画作業(ポリシーの実装、作業負荷、コストなど)で利
用するための案を共有した上で、作業トラックを束ねるWGとGDDとの対話を行
いました。


■ gTLDにおける商標権保護機構(RPM)の評価

2012年のgTLD募集ラウンドでは、UDRPに加えて商標権を保護する新たな機構
(TMCH (Trademark Clearinghouse)(*4)、URS (Uniform Rapid Suspension)
(*5)、PDDRP (Trademark Post-Delegation Dispute Resolution
Procedure)) が導入されましたが、それらを振り返り評価するのがフェーズ
1で、UDRPそのものを評価するのがフェーズ2になります。これまでフェーズ
1の検討が行われており、2018年12月以降サンライズ(*6)とTrademark
Claims (*7)に関して検討が行われてきました。ICANN65では、これらのRPMに
関する勧告案の検討が行われました。

(*4) Trademark Clearinghouse (TMCH)とは
     https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/tmch.html

(*5) Uniform Rapid Suspension (URS)とは
     https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/urs.html

(*6) ドメイン名の新規登録受付や予約語等の解放などが行われる際に、先願
     性に基づく一般登録開始に先だって実施される、商標権者や他のトップ
     レベルドメイン(TLD)で同じ文字列を既に登録している者などを対象に
     した優先登録期間のことです。汎用JPドメイン名導入の際に世界で初め
     て実施され、それ以降に新設されたgTLDなどの登録受付でも、サンライ
     ズピリオドが実施されることが一般的になっています。

(*7) 2012年に募集された新gTLDプログラムに伴い新たに導入されたシステム
     で、一般登録期間に商標権者が新gTLD配下のドメイン名を登録しない際
     に有効となる権利保護メカニズムです。商標権者が登録した文字列(ま
     たは50までの派生形)と一致するドメイン名が第三者によって登録され
     ると、ドメイン名登録者および商標権者に警告が送付されます。すべて
     の新gTLDレジストリに義務付けられています。


■ 新gTLDオークション収入使途の検討

2012年のgTLD募集ラウンドに際しては、文字列競合が起こった場合に、つま
り同じ文字列を複数の申請者で取り合いになった場合に、オークションによ
り登録者が決定されました。それによって生じた収入の使い道を検討する、
オークション収入に関するコミュニティ横断作業グループ(CCWG)は、初回報
告書に対して提出された意見の評価を終えたところです。今回の会合では、
最終報告書の公開前に、解決が必要な論点について議論されました。最終報
告書のたたき台が議論されましたが、その中にはICANN事務局内に資金分配部
門を作る案、財団を作る案、および外部慈善団体と連携する案が挙げられて
います。


■ インターネットガバナンスに関するコミュニティ横断作業部会(CCWG IG)

本セッションは、理事会のインターネットガバナンスWGと、共同で開催され
ました。セッションでは、ICANNが得意としているインターネットガバナンス
の議論が、サイバーやデジタルと称して、政府間で話されるようになってき
ている点について議論が行われました。例えば、世界貿易機関(WTO)でドメイ
ンネームシステム(DNS)に関する議論がなされるようになっている状況で
(*8)、ICANNとしては声を上げ続けなければならない、といった意見が出され
ました。

(*8) Boundaries and Best Practices for Inclusive Digital Trade
     https://www.wto.org/english/forums_e/public_forum16_e/wrksesions_e/session71_e.htm

他に、2019年3月のクライストチャーチ銃乱射事件(*9)を受けて、ニュージー
ランドのアーダーン首相とフランスのマクロン大統領が開催した会合
「Christchurch Call to Action Summit」およびその成果物である合意
「Christchurch Call (to eliminate terrorist & violent extremist
content online)」(*10)が、インターネットガバナンスをどの程度まで再定
義したのか、という質問もありました。

(*9) 同事件では、犯人側により事件の模様がFacebookで生中継されたこと、
     録画がソーシャルメディアや動画共有サイトで拡散されたことが問題と
     なり、後者はニュージーランドでは違法化されました。

(*10) テロや暴力を組織化したり促進したりする目的での、ソーシャルメディ
      アの利用に終止符を打つために、国家と企業が誓約合意書に署名を行
      うというもので、日本国政府も署名しました。企業側は、いわゆる
      GAFAまたはプラットフォーマーと呼ばれるところはおおむねすべて入っ
      ています。

さらに、ICANNがITU-D(国際電気通信連合 電気通信開発部門)のメンバー
(*11) 申請を提出したこと、2019年6月10日(月)に公表された国連デジタル協
力に関するハイレベルパネルによる報告書(*12)、および国連軍縮研究所
(UNIDIR)が主催するサイバーセキュリティに関する規範に関する会議(*13)、
インターネットに関するITU理事会作業部会(*14)などについて報告がありま
した。2019 年11月のIGF (Internet Governance Forum)では、各国議員が参
加するセッションも開催されるとの報告もありました。

外の世界でのめまぐるしい動きを受けて、ICANN関係者・会議参加者ができる
ことは何か、という問いかけでもあったのではないかと感じるセッションで
した。

(*11) List of ITU-D Sector Members + Associates + Academia
      https://www.itu.int/online/mm/scripts/gensel11?_memb=SAU&_sect=D

(*12) High-Level Panel on Digital Cooperation
      https://digitalcooperation.org/

(*13) 2019 Innovations Dialogue: Digital Technologies and
      International Security
      http://unidir.org/programmes/security-and-technology/2019-innovations-dialogue-digital-technologies-and-international-security

(*14) Council Working Group on International Internet-related Public
      Policy Issues
      https://www.itu.int/en/council/cwg-internet/Pages/default.aspx


■ 終わりに

本稿ではGNSO関連の動向を中心にご報告しましたが、GNSO以外の支持組織、
および各諮問委員会の状況につきましては、2019年8月8日(木)に開催する第
55回ICANN報告会にて詳しくご紹介する予定です。東京・JPNIC会議室での開
催で参加費は無料となっていますので、みなさまぜひご参加ください。遠隔
での参加も可能です。

  第55回ICANN報告会開催のご案内
  https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2019/20190712-01.html

なお、次回の第66回ICANN会議は2019年11月2日(土)~7日(木)にかけて、カナ
ダ・モントリオールにて開催される予定です。

  ICANN66 Montreal
  https://meetings.icann.org/en/montreal66


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