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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1926【定期号】2022.6.15 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1926 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。

本号の特集では、今週月曜日(6/13)に開催したJPNIC総会の際にお届けした、
座談会『インターネットを守るための技術普及を官民で考える』において、
インターネットを守るために、各識者より投げかけられたメッセージをお届
けします。

なお、座談会の模様は、JPNICのYouTubeチャンネルで公開しています。本稿
では伝えきれない内容もありますので、ぜひ併せてご覧ください。

   座談会「インターネットを守るための技術普及を官民で考える」
   https://youtu.be/ijP6QSQxfA0

その他、News & Views Columnでは、あとひと月ほど、2022年7月中旬に開催
予定のJANOG50に向けて企画編成委員(Org)をお務めである株式会社KDDIウェ
ブコミュニケーションズの矢田一樹さんに、JANOGへの思いやJANOG50の見ど
ころなどについてお書きいただきました。

また、インターネット用語1分解説では、インターネットの経路制御におい
て、経路広告の正当性を確認する仕組みである「ROV (Route Origin
Validation)」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「インターネットの信頼性向上に寄せる期待
               ~JPNIC総会座談会 『インターネットを守るための技術普及
               を官民で考える』から~」
【 2 】News & Views Column
       「JANOG50開催! Changeしていくインターネット」
         株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ  矢田一樹氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「ROV (Route Origin Validation)とは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「インターネットの信頼性向上に寄せる期待
               ~JPNIC総会座談会 『インターネットを守るための技術普及
               を官民で考える』から~」
                                   JPNIC インターネット推進部 根津智子
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2022年6月13日(月)に実施した第71回JPNIC総会の座談会として、『インター
ネットを守るための技術普及を官民で考える』を実施し、会場とオンライン
にて100名以上の方にご参加いただきました。

インターネットは重要な社会基盤となっているにも関わらず、セキュリティ
的に間隙を突く行為を許す構造をはらんでいます。事業者らによる対応が必
要ですが、必ずしも、RPKI、DNSSEC、送信メールドメイン認証技術といった
対応技術の導入も進んでいないのが現状です。こうした現状をJPNIC会員の皆
さまが出席する総会というタイミングに考えたく、この座談会を企画しまし
た。

   ・JPNIC総会座談会
     『インターネットを守るための技術普及を官民で考える』
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2022/20220607-01.html

登壇者は次のメンバーで、うちJPNIC木村が進行を務めました。

   ・佐々木将宣さん(総務省サイバーセキュリティ統括官室 統括補佐)
   ・石田慶樹さん(日本ネットワークイネイブラー株式会社 フェロー)
   ・木村泰司(JPNIC)

また座談会中に、3名の識者にオンラインメッセージをいただきました。

   ・蓬田裕一さん(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))
   ・野々下幸治さん(フィッシング対策協議会 技術・制度検討WG主査)
   ・其田学さん(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))

座談会内容が盛りだくさんであったため、本稿では、この5名の発言を筆者な
りにまとめ、ご紹介します。


■「信頼性」確保のためにできることを ~佐々木さんからのメッセージ~

佐々木さんには、現在総務省で働く個人の立場でお話しいただきました。

最初に「サイバーセキュリティ戦略」を紹介いただきました。このサイバー
セキュリティ戦略は、2015年、2018年、2021年の3回閣議決定されています
が、一貫した目標(五つの原則)として「情報の自由な流通」「法の支配」「開
放性」「自律性」「多様な主体の連携」が掲げられており、「自律・分散・
協調」に表されるインターネットの精神と沿うものとなっています。しかし、
とある単語の出現回数は、2015年版は2回、2018年版は6回、2021年版は47回
と、増えているそうです。さてその単語とは、一体?

それは「信頼性」という言葉。なぜサイバー空間の「信頼性」がここまで注
目されるのか?という問題提起がなされました。同時に、サイバー空間の根
幹たるインターネットは「脆弱だけれど強靱」な性質を持つネットワークと
して一定の信頼性が担保されてきた中で、今はサイバー空間と現実空間の一
体化が進み、バランスが変化しているのではないか、権威主義国家の影響力
拡大や、経済的・政治的利益のためにサイバー空間が利用されることもあい
まって、信頼性が失われつつあるのではないか?との洞察がされていました。

信頼性が低下していると判断されると、その解決策として、「別のネットワー
クを作ろう」「規制をしよう」「新しい技術でインターネットを変えよう」
と、いろいろなベクトルを持つ人々が活動し始めます。こうした活動へのカ
ウンターアクションとして、求められる「信頼性」を生み出さずに現状に留
まるだけでは、インターネットが、私たちの価値観と離れていってしまう可
能性があるのではないか、という問題提起もされました。

佐々木さんからは、国際的なハイレベルにおける通信当局の動きや考え方も
紹介されました。「Declaration for the Future of the Internet」や、G7
の「Digital Ministerial (Cyber Resilience)」への言及があり、またOECD
においては具体的に、通信ネットワーク・DNS・Routingのセキュリティに関
する議論があるそうです。

こうしたハイレベルの動きにも付随した形で、総務省は施策として、通信事
業者が主体になった「セキュリティ技術の実証実験」を実施する検討をして
いることが紹介されました。技術でできる話は技術で対応していこう、実証
を行うことで必要な技術導入を通信事業者の立場から高められるのではない
か、そこからハードルをどうやって越えるかを考えようという提起もありま
した。実証実験の詳細についてはここでは紹介しきれませんので、スライド
をご覧ください。

   インターネットを守るための技術普及を官民で考える
   https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2022/20220613-sasaki.pdf


■ インターネットは、"可用性よりも信頼性""強靱よりも安全"がキーワード
    に~石田さんからのメッセージ~

日本DNSオペレーターズグループの代表幹事でもある石田さんからは、事業者
やコミュニティの立場から、現状のインターネットについて分析いただきま
した。

インターネットは現状、「桶の水漏れ」状態であるとのこと。情報セキュリ
ティは、その概念を定めたJIS Q 27000において、「機密性
(Confidentiality)」「完全性(Integrity)」「可用性(Availability)」が
「CIA」として表現されていますが、その中でインターネットは、可用性を最
も重視した結果「強靱で脆い」側面があると。しかし今は、佐々木さんの紹
介にあった「信頼性」がより重視されるのではないか、「強靱から安全なネッ
トワークへのスイッチングが切に求められている」との話がありました。あ
らためて情報セキュリティを考えた際に、経路やDNS、メールなどのアプリ
ケーションで要素技術を高めていかなければならない、その責務を負ってい
るのは事業者であると。

現在、日本DNSオペレーターズグループのWebサイトでは、非公式コンテンツ
<https://dnsops.jp/stats/>として、日本の政府や金融機関等における
DNSSECの署名の状況が確認できますが、署名はまだ数千という状況です。ま
た対する検証に関しても、両方がそろって初めて効果を発揮するにも関わら
ず、パブリックDNSとISPの提供するDNSを比較した場合で、ISPが提供するDNS
においては1/5程度しか検証がされていないとのこと。メールやWeb等の上に
載るセキュリティは、DNSSECを基盤に、DNSSECに依存していく未来がある中
で、「対応しないという選択肢はどんどん狭まっているのでは」という発言
もありました。

一方、RPKIについてはDNSSECよりはかなり進んでいるものの、しかしDMARCの
普及状況については「日本において2%というのが観測されている数字であり
道半ばどころではない」という状況があわせて共有された後に、「よく考え
てもらえれば、サーバ証明書を使っていないような主要なWebサイトはここの
ところなくなっている。同じことが、メールに対しても、DNSに対しても、そ
してそれが流れるそもそもの経路に対しても起こっていく」とのお話があり
ました。発表のスライドは、以下からご確認いただけます。

   インターネットを守るための技術普及を官民で考える
   https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2022/20220613-ishida.pdf


■ RPKI、DNSSEC、送信ドメイン名技術に関していただいたオンラインメッ
    セージのご紹介

次に、3名の識者からの各技術普及に向けたメッセージをご紹介します。

   ○インターネット全体を守ろうという高い志を
     ~蓬田さんからのメッセージ~

     IIJは、RPKI関連の導入を2020年頃から積極的に検討し始め、2020年度に
     はROVまで自ASの相互接続点に入れることができました。最近日本でも、
     ROA(署名)を作る動きは積極的に行われ、良い傾向です。一方でROV(検証)
     については敷居が高いです。IIJでも導入にあたり懸念点を洗い出し、リ
     スク評価して入れました。こうしたROVのノウハウを日本のインターネッ
     ト事業者の中でうまく共有できたらROV導入の敷居がより下がるため、協
     力していけたら嬉しいです。

     インターネットは各ASが相互接続しながら、相互自助によって成り立っ
     ているネットワークです。自ASのルーティングセキュリティを高めるこ
     とは、ひいてはインターネット全体のルーティングセキュリティの向上
     に貢献できます。自分のASを守るだけではなくインターネット全体を守
     ろうという高い志を一緒に持って、ルーティングセキュリティを考えて
     いきましょう。


   ○DMARCの導入と、ドメイン名をブランドと同様に守る努力を
     ~野々下さんからのメッセージ~

     フィッシングやEmotetのようなマルウェアのメールは、かなりの量がFrom
     アドレスを詐称しており、DMARCを導入していれば、大部分が防げること
     が分かっているにも関わらず普及が進んでいません。

     また、ドメイン名に対する意識の醸成も必要です。ブラウザではSSLにし
     ていればアドレスが表示され、スマートフォンでもドメイン名のところ
     だけを短く表示する方向が進んでいますが、企業がそもそもドメイン名
     をおろそかに扱っていたり、ユーザーが利用するサービスのドメイン名
     を意識せずに使っていたりすることで、ドメイン名の詐称がやりやすく
     なっているためです。ここからフィッシングが発生するため、「ドメイ
     ン名を守る」ことおよびユーザーがドメインを分かりやすく認知する活
     動を進めなくてはいけません。

     「DMARCが重要」「そしてその元となるDNSを守るためにはDNSSECが非常
     に重要」「ドメイン名をブランドと同じように守るのが重要」この三つ
     の取り組みが必要です。JPNICには、技術といわゆる制度を組み合わせた
     側面から、活躍していただきたいです。


   ○自社の顧客を守るためにも、DNSSEC検証を有効にしましょう
     ~其田さんからのメッセージ~

     DNSはホスト名とIPアドレスを結び付ける仕組みであり、ドメイン名と
     メールとのアプリケーションを結びつける分散データベースです。平文
     のUDP通信が主流であるため、昔から中間者攻撃に弱いプロトコルでし
     た。そのために、DNSのデータが正しいかを検証できる仕組みとして、
     DNSSECが生まれました。DNSSECではゾーンデータの署名という権威DNS
     サーバ側の対応と、それを検証するキャッシュDNSサーバ側の対応が必要
     となります。

     DNSSECは、2010年にルートゾーンでの運用が始まり、約12年経ちます。
     2021年11月時点における日本でゾーンデータの署名については、JPドメ
     イン名で1,300ゾーン(約0.08%)程度。政府系ドメイン名でも4%程度、大
     手企業でも1%程度と、全体の普及には残念ながらほど遠い状況です。

     検証を行うキャッシュDNSサーバに関しては、約20%から25%前後の普及率
     です。IPoE系サービスが当初から検証を有効にしたため、IPoE化ととも
     に普及が促進しましたが、それも頭打ちであるため、今後の本格普及に
     はモバイル系の対応が必須となります。特にスマートフォン端末はDNSを
     ユーザーが設定できないため、事業者の責任でDNSSEC検証を有効にする
     必要があります。

     中間者攻撃はそうそう起こらないかもしれません。しかし2018年に権威
     DNSサーバのIPアドレスをBGPハイジャックし、偽の応答を返して偽サイ
     トに誘導するという事件が既に発生しています。もし自社の顧客が被害
     を受けたらお客さまも困り、自社ブランドイメージにも影響します。顧
     客を守るためにも、ぜひ、DNSSEC検証を有効にしましょう。


■ おわりに

実は座談会はこの後、

   ・これまでの国際的な動向や情勢を踏まえ、日本のインターネットはどう
     いうものか?
   ・サイバー空間と基盤的なセキュリティ技術の「いま」について

などと議論が深掘りされましたが、原稿の都合でここでは割愛します。座談
会の模様は、JPNICのYouTubeチャンネルで公開しておりますので、ぜひご覧
ください。

   ・座談会「インターネットを守るための技術普及を官民で考える」
     https://youtu.be/ijP6QSQxfA0

座談会最後には、石田さんからは「実際に何かが起こってからでは遅いとい
う危機感を共有したい」、佐々木さんからは「Cybersecurity for All!」と
いうメッセージも共有されました。

今回の座談会で強調され印象的だったのは、「信頼性向上が切に望まれてい
る」ということです。情報処理試験によると、「信頼性=リライアビリティ」
は「一定の条件下で安定して期待された役割を果たすことができる能力」で
す。

インターネットが安定して、期待された役割を果たしていくために、今後実
証実験が予定され実施されることも発表されました。JPNICとしても、JPNIC
会員をはじめとする事業者の皆さまやさまざまな関係者と連携し、インター
ネットの信頼性向上に向けた活動を継続していきます。


  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
  ┃良かった                                                          ┃
  ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1926/507d62f6b934929fc43a04fb7891a9a2 ┃
  ┃                                                                  ┃
  ┃悪かった                                                          ┃
  ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1926/85e05a85840c7a40503c4fd74e781793 ┃
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【 2 】News & Views Column
       「JANOG50開催! Changeしていくインターネット」
                       株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 矢田一樹
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

初めまして、KDDIウェブコミュニケーションズの矢田一樹と申します。今回
は、2022年7月13日(水)~15日(金)開催のJANOG50 Meeting (以下、JANOG50)
について少し語らせていただきます。

1997年に団体設立、1997年11月14日に第1回が開催されたJANOG Meetingは、
今回で50回目を迎えます!節目の回に参加できること、そして、私が生まれ
た1997年から現在まで続いていることが、純粋に嬉しいです。

その節目である第50回のコンセプトは「Change」!1997年から2022年へと時
代が進む中で、情勢もインターネット技術もさまざまな変化を迎えました。
例えば、400GB Ethernetやローカル5Gのようなインターネットの高速化やNW
自動化など。このように、変わりゆく最新技術もあれば、昔から変わらない
安定した技術も存在します。変えたい技術、変えたくない技術、さまざまな
意見を議論・検討して、今後のインターネットの発展につなげる。「Change」
には、そのような思いが込められています。

JANOG50では、この「Change」に沿ったおもしろいセッションが満載です。

   ・ネットワーク運用の何を変えて、何を残すのか
       「運用を変化しながら継続していくための8つの極意」
         https://www.janog.gr.jp/meeting/janog50/8s/

   ・人生を変えるかもしれない取り組みのお話
       「社会人大学院で博士号を取るよ」
         https://www.janog.gr.jp/meeting/janog50/doctor/

   ・2022年のサイバー空間の脅威対策
       「Change.警察庁も変わりました ~サイバー警察局のお仕事~」
         https://www.janog.gr.jp/meeting/janog50/cab/

などなど。

JANOG50を通して、これからのインターネットをよりよい形に変化させていき
たいですね。

と、いろいろと語りましたが、議論だけじゃなく、おいしい食事も必要です
よね!ということで、JANOG50はご当地グルメも楽しめる「北海道 函館」で
開催となります。ぜひ皆さん、現地に出向いて議論しましょう。JANOG50まで
あと1ヶ月程度となりますが、よろしくお願いいたします。


■筆者略歴

矢田 一樹 (やだ かずき)

2019年に株式会社KDDIウェブコミュニケーションズへ新卒入社。2019年~2021
年は、自社ホスティング事業の運用保守に従事。2022年からは、SREとして自
社ホスティング事業の効率化促進に従事している。JANOG50では企画編成委員
(Org)を務める。

Facebook: https://www.facebook.com/kazuki.yada.3/


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【 3 】インターネット用語1分解説
          「ROV (Route Origin Validation)とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ROV (Route origin validation)」または「オリジン検証」とは、BGP
(Border Gateway Protocol)(*1)ルータにおいて、伝わってきた経路情報のIP
アドレスに対して、オリジン(特定のIPのネットワークの経路情報を生成する
AS(*2))が当該IPアドレスの正当な分配先が指定したものになっているかどう
かを検証する仕組みです。

BGPによる経路制御では、オリジンASの他に、経路情報が伝わっていくにあ
たって経由したASなどの情報がBGPルータ間で交換されます。BGPそのものに
は、経路広告の正当性を確認する仕組みがありません。そのため、オペレー
タのミスによる誤った設定などによって、集まった経路情報の中には正しい
経路情報とそうでないものとが入り交じることがあります(*3)。こうした事
態を解決するための仕組みとして、RPKI (Resource Public Key
Infrastructure)(*4)とROVが考案されました。

BGPの経路制御にROVを導入すると、経路情報中のIPアドレスとAS番号の組み
合わせが正しいかどうかを、ROA (Route origin authorization)に基づいて
検証できるようになります。ROAとは、IPアドレスを正当に分配されたホル
ダーが、特定のASに対して、そのIPのネットワークの経路情報を生成するこ
とを認可したことを示す署名付きのデータです。ROAは、RPKIを使って検証す
ることができる仕組みになっています。

いわゆる"正しくない経路広告"にはさまざまな種類がありますが、代表的な
ものとしては

   (a) 異なるASがオリジンASとされている経路情報
   (b) ASパスが想定されたものとは異なる経路情報(*5)

があります。ROVはこのうち、前者(a)のオリジンASが異なること
(mis-origination)を検知する仕組みです。

ROVには、経路制御におけるポリシーと矛盾のないROAが不可欠です。ROAが適
切に作成・更新されていなければ、ROVは正しく機能しません。さらに、イン
ターネットにおける経路制御の適切な拠点ごとに、ROVが実施されている必要
があります。

(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/bgp.html

(*2) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/as.html

(*3) BGP経路制御での正しくない設定は、オペレータのミスだけに限らず、
     分配を受けていないオペレータがIPアドレスを不正に使用する目的で、
     意図的に行っている場合があります。

(*4) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/resource-pki.html

(*5) ASパスが正しいかどうかは「ASパス検証」の仕組みによって検証できる
     とされています。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2022年1月~2022年6月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO    GA    GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
   1/1|250 3779 456727 679 39045 12766 5516 6258 1895 2117 1051797 87921 10190 1733 1680673
   2/1|250 3788 457445 693 39114 12764 5510 6261 1896 2116 1055507 87747 10171 1642 1684904
   3/1|250 3793 458545 706 39170 12754 5504 6270 1897 2112 1058143 87589 10155 1593 1688481
   4/1|250 3804 459897 718 39264 12739 5495 6280 1898 2107 1062042 87176 10154 1588 1693412
   5/1|250 3802 461059 726 39363 12735 5485 6292 1898 2105 1065008 86963 10122 1589 1697397
   6/1|250 3800 461908 723 39436 12729 5465 6305 1897 2103 1067768 86641 10049 1637 1700711
--------------------------------------------------------------------------------------------

  GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
  GJ:汎用ドメイン名 日本語
  PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
  PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
   (2021年12月~2022年5月)
------------------------------------------
   月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
   12 |        0 |        0 |   92234888
    1 |     1024 |        0 |   92235912
    2 |     1024 |     4096 |   92232840
    3 |    17920 |    18944 |   92231816
    4 |        0 |        0 |   92231816
    5 |     1024 |        0 |   92232840
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2022年6月10日 現在

  ---------------------
   会員分類  | 会員数 |
  ---------------------
   S会員     |      3 |
   A会員     |      0 |
   B会員     |      1 |
   C会員     |      3 |
   D会員     |     92 |
   非営利会員|      9 |
   個人推薦  |     28 |
   賛助会員  |     43 |
  ---------------------
   合計      |    179 |
  ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2022年6月6日 現在

    IPアドレス管理指定事業者数           484


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   2022.6.13(月)~16(木)         ICANN74 (Hague, the Netherlands)
   2022.6.15(水)~17(金)         Interop Tokyo 2022 [後援](千葉、幕張
                                 メッセ)
   2022.6.20(月)~7.1(金)        Interop Tokyo 2022 [後援](オンライン)
   2022.6.23(木)~24(金)         Internet Week ショーケース 徳島・オン
                                 ライン (徳島県、四国大学交流プラザ +
                                 オンライン)
   2022.6.24(金)                 第42回JPNICオープンポリシーミーティン
                                 グ(オンライン)
  ---------------------------------------------------------------------
   2022.7.13(水)~15(金)         JANOG50 (北海道、函館アリーナ)
   2022.7.23(土)~29(金)         IETF 114 (Philadelphia, U.S.A.)
  ---------------------------------------------------------------------
   2022.9.8(木)~15(木)          APNIC 54 (Singapore)
   2022.9.12(月)~14(水)         APrIGF 2022 (Singapore + オンライン)
   2022.9.17(土)~22(木)         ICANN75 (Kuala Lumpur, Malaysia)


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