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ニュースレターNo.38/2008年3月発行

Internet Week 2007開催報告
~IP Meeting/Internet Forum 2007「ネットワークはどうあるべきなのか」での議論を中心に~

2007年11月19日~22日に秋葉原コンベンションホールで開催したInternet Week 2007は、会期中、幸い天候にも恵まれ、4日間で約2,400名弱という、予想以上に多くの方々にご参加いただきました。

11回目を数えた今回は、6年続いた横浜の地を離れ、「東京でディープに語る4日間」をテーマに議論形式のプログラムを増やし、スポンサー提供のランチセミナーを取り入れるなど、新規の試みを行いました。「今までとは少し趣が変わったようだ」と感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

このように構成を少し変えた部分もありますが、「インターネットに関わる人達が一堂に集まり、解決しなければならないさまざまな諸問題について深く話し合う場にしたい」という開催の主旨は、11年前から、いえ、Internet Week の前身であるIP Meeting開催当初の主旨と変わっていません。ただ、"IPレイヤ" の問題、それも技術に特化した問題を中心に議論を行っていたIP Meeting当初の時代に比べれば、インターネットが広がり、果ては社会インフラとまで言われる今日とでは、Internet Weekで語る「インターネット」についても、かなりの範囲に広がっています。社会的、経済的な側面を切り離すわけにはいかず、「この場でどこまで何をやるべきか」「それが本当に皆が知りたいことなのか」を常に自問しながらプログラムを企画しているのが現状です。

Internet Week最後のプログラム「IP Meeting/Internet Forum 2007」では、プログラム委員によるパネルディスカッション「ネットワークはどうあるべきなのか」を行いました。「プログラム委員によるプログラムの総括とそこから得られた現状の問題提起」「総務省の谷脇氏による《インターネットを巡る七つの視点》の披露」を通じ、最後に議論を行いました。

本稿では、その議論の内容を集約してお届けします。あらかじめお断りしますと、議論の明確な結論というものは特にありません。ただし、現在のネットワークに存在する問題点は何か、何が不足しているのかを感じ、各自が各自の役割においてできることを考えるための示唆はおそらくあったのではないか、と思っています。

○モデレータ:
江崎浩江崎 浩/東京大学
  • Internet Week 2007プログラム委員長
○パネリスト:
  • 谷脇 康彦/総務省総合通信基盤局事業政策課長
  • Internet Week 2007 プログラム委員
    • 秋山 卓司/JCAF/[PKI Today!]コーディネーター
    • 井芹 昌信/IAjapan/[Enterprise2.0]コーディネーター
    • 宇井 隆晴/JPRS/[DNS DAY]コーディネーター
    • 佐野 晋/JPNIC/[インターネットと著作権]コーディネーター
    • 壇 俊光/日本弁護士連合会コンピュータ委員会委員同消費者問題対策委員会幹事
    • 立石 聡明/JAIPA/[事業者がやっていいこと悪いこと]コーディネーター
    • 前村 昌紀/JPNIC/[IPv4アドレス在庫枯渇問題を見通す]コーディネーター
    • 向井 将/JANOG/[The Internet Operation]コーディネーター

谷脇氏によるインターネットが変える、インターネットを変える ~インターネットを巡る七つの視点~

谷脇氏政策立案の立場からインターネットを巡る七つの課題をご紹介させていただきます。

視点1:インターネットはインフラとして耐え得るのか?

インターネットのトラフィックは、P2Pの伸び、アクセス網の広帯域化等により2年で2倍のペースで増えています。このように流動性の高いネットワークトラフィックに対し、いかにスケーラビリティを確保していくのでしょうか。「問題となっているP2P技術を利用して、逆にネット混雑を減らすことができるのではないか」「パケットシェーピングも必要となるかもしれないが、消費者から見て公平な帯域制御のためには一定のガイドラインが必要ではないか」等、関係団体でさまざまな検討が進められています。しかし、これからもインターネットのトラフィックが増大し続ける中で、インターネットは本当に社会インフラとして耐えていけるものなのだろうかというそもそも論が一つ目の視点です。

視点2:セマンティックWebは実現可能か?

インターネット上に雑多な情報が投げ込まれている中、秩序は果たして存在しているのか、別の言葉で言えば、セマンティックなWeb構造の実現は可能なのかということです。誰しもがインターネットを使うようになりました。ネットワークのエッジから大量のデータがメッシュ状のネットワークに投げ込まれ、共有されていくという形になっている現在、インターネットは情報爆発に耐え得るものなのか、インフラとしての堅牢性を確保できるのかどうか、これが二つ目の視点です。

視点3:ネットワーク選択の自由は確保されるのか?

各キャリアが次世代のネットワークとしてNGNの運用を開始しようとしています。この「NGN」と、いわゆる「インターネット」が並存し得るのか否かという議論があります。キャリアが保有しているネットワークへのアクセス部分から優先的にNGNに誘導したらどうなるのでしょうか。あるいは、インターネットとNGNの間に十分なオープン性が確保されなかったらインターネットは生き残れるのでしょうか。ネット混雑の中でNGNの構築は効果がありますが、他方、質は十分でなくても自立・分散・協調を基本哲学とするインターネットが活躍していく必要もあります。この二つが並存することが、ユーザーにとっての「ネットワークの選択の自由」です。これが確保されるのかということが三つ目の視点です。

視点4:利用者保護は可能か?

インターネットの世界は「ベストエフォート」と言われますが、この「ベストエフォート」の意は、経路をどう辿ってでも、何とか向こう側に到達しようと最大限努力する一方で、最大速度○○Mbpsというのは、出るときも出ないときもあるという考え方です。しかし、この考え方は公共財の中では特殊です。例えば、東京から大阪まで鉄道で移動する場合、最大限努力をすれば2時間半で到達できます、ダメだったら4時間かかります、という考え方はありません。鉄道とインターネットの違いはあるものの、しかし「信頼性に応える」という社会インフラに求められる要素を満たさなくてはいけないという意味では同じです。特に、通信のビジネスモデルがこれからも変化していく過程で、インターネットは信頼性の面で応え続けられるのだろうか、そのための競争モデルはどのように考えていくのかが四つ目の視点です。

視点5:端末は引き続き端末か?

今までは電話網のようにネットワークの中に賢い頭脳が存在していました。しかしネットワークのエッジから多様なインテリジェンスが生まれてきています。もはや「端の末」というターミナルではありません。その中においては、プラットフォーム部分、つまり通信基盤としての高速道路の部分と、コンテンツである自動車の間を結ぶものとしての「認証」「課金」「DRM」「QoS制御」といったプラットフォーム機能が、今後とても重要になってきます。この機能を、もし通信キャリアだけが独占する、あるいは通信キャリアだけがコントローラビリティを持っているということで本当に良いのかという議論があります。このプラットフォームを真ん中に置いてオープンな形で万人が使え、新しいビジネスが生まれるということもあるのではないか。これについては、総務省でも研究会を立ち上げ検討予定です。

視点6:電脳民主主義は実現するか?

日本で作った法律というのは日本でしか適用されません。プロバイダ責任制限法の話がこの場でも多く出ていますが、迷惑メールを避けようと思っても、他国から発信される、こういった問題が今後顕在化していきます。また、日本での市場は小さくても、海外でのマーケットが大きい事業者の場合、一体どちらがドミナンスなんだろうという議論も生まれてきます。国内法制の限界と国際化がリンクしてくる瞬間です。これはインターネットガバナンスの問題にも密接に絡んできます。「ガバナンス」に関して言えば、国内のガバナンスと海外のガバナンスもあまりリンクできていません。また、IPv4アドレスからv6アドレスへ移行する中、インターネットとNGNの関係は今まで通りなんだろうか、もしくは何か時限爆弾があるのだろうかという議論も必要です。

視点7:新世代ネットワークはいつ実現するか?

インターネットは、今までその上にさまざまなものを積み上げてきました。トラフィックも伸びてきた、セキュリティにもお金がかかる中、今後これ以上何かを積み上げて大丈夫なのでしょうか。NGNよりも後、2015年頃に向けて、Beyond IPとも言える「新世代のネットワーク」を構築していく必要があるのではないかという議論があります。

時間軸的に見れば、これらの七つの視点は、バラバラです。しかし、いずれもこれからのインターネットをどうしていくのかという点において密接に絡んでいる問題です。一つ言えるのは、やはり「インターネットが社会の中で真ん中に来ている」ということなのではないでしょうか。であるが故に、いろいろな問題が顕在化してきていると言えます。

長期的に見ると、私もインターネットの諸問題に関しては「時間が解決する」という楽観主義ですが、短期的にはそうはいきません。調整の過程においてコストはかかります。従って、時間軸を長期と短期に分けて議論していく必要があり、そこで2010年頃を一つの節目として考えることも選択肢としてあり得るかもしれません。時間軸の分け方、問題の座標の作り方をどうするかを考え、この半年~1年で整理したいと考えています。その際、今までは迷惑メール対策であれば迷惑メールの研究会で検討する、v6ならv6の研究会で、あるいは競争政策は競争政策の研究会でされてきましたが、こういう問題を一つの場で整理していくことが必要ではないかと感じています。また、インターネットの世界にも規制が必要になってきたとはいえ、規制当局の立場からは、なるべく自己抑制的でなくてはいけないと常々思っています。

写真:会場の様子
IP Meeting/Internet Forum 2007の会場の様子

■プログラム委員による総括

運用の標準化の必要性

秋山 卓司秋山 卓司(JCAF)
[PKI Today!] コーディネーターから

一つ大きな流れの中で節目を迎えようとしているのは、性善説と自己責任を基にしたインターネットは終わりを告げようとしているということであり、新しい人が流れ込んで来ている中で、その人達を保護するルール等が必要になってきていると感じています。この場にいない世の中のほとんどの人々が、必要最低限のリテラシーで生活できるようにする仕組みを考えないと、インターネットはインフラにはなり得ないのではないでしょうか。

PKIに限らず、「技術仕様の標準化」はある意味、円熟している状態です。ところが「運用の標準化」はあまりされてはおらず、それでは、皆の役には立てないという現状があります。また、インターネットが単一のドメインやレイヤで済まない形に広がっている中、要素技術としてのPKIから全体を俯瞰的に眺めることが難しく、これに取り組むことが必要となっています。

今回、いわゆる「2010年問題」については、この四つのテーマの中では取り上げませんでした。PKIコミュニティでの2010年問題と言えば、暗号強度の問題です。以前より暗号強度がそろそろ限界に来ているとされており、勧告では鍵長を2048ビットにすることになっています。Internet Weekで開催された他のセッションでも、IPアドレスも枯渇する、AS番号も枯渇する、とさまざまな危機が2010年に向かって起こっているように感じました。それらに向けた取り組みを、来年のIWでは具体的に討論したいと思います。

インターネット的な考え方を広く皆に理解してもらいたい

井芹 昌信井芹 昌信(IAjapan)
[Enterprise2.0]コーディネーターから

『INTERNET magazine』に11年ほど携わっています。「インターネット的な考え方を広く皆に理解してもらう」を命題に取り組んできました。インターネット的に皆で作っていく、フェアユース、と考えていくと、結局「ユーザーの平均リテラシーが全てを決める」ことになります。皆のリテラシーや道徳が高ければ高いほど、問題の解決能力は高くなりますが、しかしユーザーの数が増えれば増えるほど平均リテラシーは下がるということも意味します。今まで、メディアを利用して「インターネットとはどういうものなのか、また、標準的なルール、ツールというものはどういうものか」を伝えようとしても情報爆発の中でかき消されていくというジレンマもありました。しかし、最終的には「全体のリテラシーをどのように上げていくかを、全員が各自のミッションの中で考えていくことに尽きる」と思っていますし、何だかんだ言って、日本のユーザーのリテラシーはこの10年でとても高まっています。今後も引き続き、このリテラシー向上には寄与していきたいと思います。

「Enterprise2.0」に関して言いますと、日本のビジネスシーン、営業や企画のツールとしてのインターネットの利用というのは高くありません。

「Enterprise2.0」自体、2007年に出てきた新しい言葉であり、企業内の情報システムに、いわゆるWeb2.0的なテクノロジーをどう使うかという話です。今まで企業内のシステムというと、基幹システムや顧客管理システム等という「しっかり設計し、係の人がきちんと運用する」という定型業務が多かったのですが、Web2.0の考え方を使うと、非定型業務、例えばセールスマンが日々どういうことを考えセールスにつなげているのか等、型にはまらないものも吸い上げて生産性の向上に寄与できるのではないか、という期待があるわけです。

しかし、企業はトップダウンでできており、セキュリティも内部統制もJ-SOXもあります。このように規則でガチガチな中に、このようなオープン系の柔らかいツールを投入したときに、企業内の既存文化となかなか合わないということが、課題として挙げられます。特に日本はこの傾向が強く、先進的にやってみようとしても取り上げられない事態に直面しています。インターネット自体が十数年前同じ局面に直面していたと思うのですが、ビジネスソフトウェアの中で、今、同じ葛藤があるのではないか、これをどう乗り越えるか、この辺りを引き続き考えていきたいと思います。

写真:秋葉原コンベンションホール
会場の秋葉原コンベンションホール
写真:開幕当日の総合受付
開幕当日の総合受付

異なるステークホルダー間で、いかに共通の理解の土台を築くか

宇井 隆晴宇井 隆晴(JPRS)
[DNS DAY]コーディネーターから

「ゆるい」という状態が、ある意味インターネットの良さでも悪さでもありますが、DNSに関して言うと、DNSSECのようにゆるさを許容しない仕組みというのもできてきています。そういうものが出現したときに、はじき出されてしまうものが数多くあるのではないかという危惧の声がDNSコミュニティにはあります。さらにDNSの問題にはオープンリゾルバやlame delegation等が挙げられますが、これらについても改善の動きはあるにしても、根本的な解決には至っていません。新しい仕組みはこうである、と運用者に届ける仕組みが必要だということが課題として挙がっています。

もちろんmanaged DNS Service(=有料のプロフェッショナルなDNSサービス)のようなものが日本の中でも受け入れられるといいのかもしれませんが、それにお金を払う人がどの程度いるのかということも現実問題としてあります。DNSの運用は知識も能力も必要とされ、片手間ではできない仕事ですから、運用者のモチベーションの向上をもっと真剣に考えないといけません。DNS運用が単に「一つの仕事」ではなく、DNS運用者でない人が「DNS運用にはコストがかかるんだ」「コストをかけるべきなんだ」という視点で、DNSを見ると良くなっていくのではないでしょうか。

いろいろな問題は、長い目で見ると時間が解決する問題であるとも言えます。問題はそこまでの短期間に何ができるか、ということです。異なるコミュニティのコネクションをどう張るか、共通の理解の土台をどう作るかであり、「この話はあの人にわからない」と思わずに、自分が垣根を下げて交流することが大事なのではということが、私が担当したDNS DAYの中にも縮図としてあるのではないかと思いました。今回のプログラムでさまざまなステークホルダーの参加を重要視したのと同様に、DNS自体もオペレーターという立場とそれ以外の立場でいかに共通の基盤を作るかがとても大切なことだと感じています。

何が正しい在りようなのか~バランスを取ることの難しさ~

佐野 晋 佐野 晋(JPNIC)


壇 俊光 壇 俊光
(日本弁護士連合会コンピュータ委員会委員 同消費者問題対策委員会幹事)
[インターネットと著作権]コーディネーターから

結論を求めず問題提起ばかりする議論が「著作権」のパネルディスカッションでは行われました。何一つコンセンサスはありませんでした。「そもそも著作権は文化の発展のために作られた法律だが、今はビジネスに取り囲まれ、元の文化の発展が見えなくなっている」「インターネットというメディアの中で、文化はユーザーが作っているのか、ビジネス側が担っているのか」「《コンテンツは誰のもの》というそもそも論も議論されている」「著作権法は何を規律すべきなのであろうか」「著作権法はインターネットの出現によってどのような影響を受けたのか。決まりは法律で決めればいいのか、契約で決めればいいのか、私的自治というべきものはきちんと動いているのか」「著作権を巡る政策決定のプロセスはオープンなのだろうか」「著作権の問題解決にあたり、流通を抑制し処罰するというのが、著作権法のあるべき姿なのだろうか。何か問題があったときにトレーサビリティがあるというのが正しい姿なのだろうか」

技術者から法律側を見ると「何なんだ、これ」という事象も結構あります。そうした認識の違い、考え方の相違の中で、関連するステークホルダーとの情報や知識の共有ができていないと感じています。これを努力して近づけていかないと、根本的かつ本質的解決、つまりきちんとした制度というのはできてこないと今回実感しました。作者だけを常に保護すればいいのか、そうでもないだろう、では利用者を保護すればいいのか、そうでもない。どこでバランスを取るのか、この辺りは引き続き、多くのプレイヤーで適切に議論を積み重ねていく必要性がありそうです。

自浄効果、均衡化は意外に期待できるのではないか

立石 聡明立石 聡明(JAIPA)
[事業者がやってよいこと悪いことを考えよう]コーディネーターから

「事業者がやってよいこと悪いこと」に関して言うと、著作権問題と似て、難しい問題だと思います。通信の秘密の問題、大量通信への対応、本人への同意というのは何なのか、有害情報対策を本当にやっていいかどうかという問題が、結論がない状況で、話として挙がってきているということだと思います。

今後、必要なことを一言で言えば「ガバナンス」です。ユーザーのリテラシーは上げないといけないとは思いますが、それだけではどうしようもないところまできていると思います。そうなると、どこまで帯域制御をし、中身を見るのかということになり、電報の中身を見るのと同様に通信の秘密に関わり、とても難しいと思います。しかしその反面、調査などをしていて感じることは、どんな問題に対しても「意外に自浄作用があるのではないか、均衡に傾いていくのではないか」ということです。情報が流通するとうまくいく部分もあるのではないでしょうか。多少は楽観的になっていい部分もあるのかな、と思いますし、こういったことについて、話ができるといいかもしれません。そうとはいえ、そうならなかった場合を考えたときのバックアップをどうするか。問題が大きすぎてどこから手をつけたらいいのかというのはわかりづらいと考えています。

写真:会場前看板
「事業者がやってよいこと悪いこと」会場前看板

IPv4アドレス在庫枯渇がやってくる

前村 昌紀前村 昌紀(JPNIC)
[IPv4アドレス在庫枯渇問題を見通す]コーディネーターから

IPv4アドレス在庫枯渇の対応策に関しては、三つの方策があるというのが、総務省、JPNIC、IPv6普及高度化推進協議会がそれぞれ開催している研究会での共通した意見です。

  1. IPv4アドレスがレジストリになくなっても、どこかから調達する
  2. プライベートIPv4アドレスとNATを組み合わせて使う
  3. IPv6を使う

です。対応策の問題点という点でも見解が一致しています。特に、(1)の「調達」に関しては、「レジストリが回収再分配をする」という方法と、「レジストリではなくアドレスホルダー同士が行い、レジストリはアドレスポリシーの再分配を可能にする」という方法がありますが、取り引き等で余ったアドレスを足りないところに回すという考え方は、問題点が多いという点でも一致しています。(2)に関しても、今現在利用者が利用しているサーバの前にNATを置いたことで、そのグローバルIPアドレスが隠蔽されてしまうということは簡単に容認できることではなく適用が困難であり、NATのスケーラビリティにも問題があります。従って、最終的に(3)のIPv6が対応策としては永続的に取れるものだと考えています。

IPアドレスを扱っていると、「ステークホルダーが多くて大変だ」というのが実感です。特にIPv4アドレス在庫枯渇の問題は、ユーザーが使っているPCまでインターネットであるとすると、インターネットコミュニティだけで決めればいい話ではなく、ユーザーの皆さんもご理解していただいた上でIPv6の導入をしていくことの難しさを感じています。2008年の今頃、いろんなステークホルダーも交えて、IPv4の在庫枯渇問題がどのように扱われているのかということを披露できればいいのかな、と思います。

運用の現場から~アーキテクチャ再考~

向井 将向井 将(JANOG)
[The Internet Operations]コーディネーターから

インターネット資源の調達がかなり厳しい状況です。AS番号は何とか4バイトに乗り換えることができそうですが、IPv4アドレスに関しては、そうはいかない状況であることがわかっています。どうもネットワークはv6へ移行するようです。しかし、オペレーション側から見ると、v6を運用したことがある人は、ごく限られたISPとキャリアだけではないかと思います。2011年に向けて、きちんと準備をしておかないと、困る事態が起こることでしょう。来年からそろそろ次世代に入るための準備や訓練を始めていくのかなと思います。早くルータのメーカーにも動くものを作ってもらいたいです。

「The Internet Operation」の1日プログラムを通じて感じたことは、

  1. 流通するコンテンツ、高度化するビジネスの要求に応じた品質の向上
  2. 有限な資源の制約を超えて、インターネットを支えていく必要性
  3. 増大するトラフィックに追従するシステム

に絶えず取り組み、対応しなければならないということです。

RAMやLISPというキーワードでアーキテクチャを考え直すことが始まっているようです。これは、次世代へのシフトを考えるタイミングが来たということであるようにも感じています。


会場との議論では「インターネットのオープン性と社会依存度から生まれる歪みをどう埋めるのか」「インターネットの精神である《フェアユース》は万人に理解されるのか」「その《フェアユース》は、誰がどうフェアと判断するのか」「ユーザーリテラシーの向上はどのように望めるのか」「規制は強める方向で行くべきなのか」「違法有害情報に対して、トレースできるというような技術的抑止力を持つことは良いことなのか」「通信の秘密はどこまで保つべきなのか」「今までのやり方を踏襲してルールを作ったところで、それがどの程度の実効性を持つのか」等、多くの論点が出ました。

たくさんの問題があります。誰かが解決してくれることもあるでしょうし、時間でしか解決できないこともあるでしょう。しかし、可及的速やかに、かつ深く検討しなくてはならないこともある中で、一つわかっていることは、このコミュニティだけでルールを作り、運用するという方式だけでは、もう限界だということです。ネットワークにどうあって欲しいのか、人それぞれに異なる以上、インターネットに関わる全ての人が、ネットワークをどうしていくべきか、ひいては社会をどうしていくべきか考える必要があります。

まずできることは、ネットワークに関わっている我々自身が、悩みながらも立場と専門性を超え、他の層に向け、積極的に、率直に、そして継続的に話す努力をし、また社会の変化に柔軟に対応する姿勢を持ち続けることではないでしょうか。

今後のIP Meeting、そしてInternet Weekが、ネットワークに関わる人々のこういう姿勢を応援する場であり続けることを願ってやみません。どんなに微力だとしても、こういう姿勢を支え続けることが、Internet Week自身の最大のチャレンジであると考えています。

なお、Internet Week 2007の全プログラムに関する報告は、誌面の都合でご紹介できませんが、メールマガジンで数度に分けて掲載していますので、ご興味のある方はご覧ください。また、Internet Week会期中、随所で幾度となく"itojun"さんこと、萩野純一郎氏への追悼の言葉が聞かれたことをここに記すとともに、故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

写真:入り口看板
入口の看板
JPNIC News & Views vol.504 Internet Week 2007レポート(全体概要)
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2007/vol504.html
JPNIC News & Views vol.515 Internet Week 2007レポート(1日目)
「PKI Today!」「DNS Day ~運用管理のあり方~」「Enterprise2.0」
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol515.html
JPNIC News & Views vol.516 Internet Week 2007レポート(2日目)
「デジタルコンテンツと著作権 ~みんなのための著作権制度」「IPv4アドレス在庫枯渇問題を見通す」「JPNICオープンポリシーミーティング」
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol516.html
JPNIC News & Views vol.517 Internet Week 2007レポート(3日目)
「事業者がやってよいこと悪いこと」「The Internet Operations」
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol517.html

(JPNIC インターネット推進部 根津智子)

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