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ニュースレターNo.57/2014年8月発行

IANA監督権限移管の動きとNETmundial〜インターネットガバナンスで続く大きな動きと「日本インターネットガバナンス会議」の発足〜

JPNICNewsletterNo.56(2014年3月発行)の特集2「インターネットガバナンスの動向〜スノーデン事件を契機に、WSIS10周年に向け加速する動き〜」では、「今後のインターネット協力体制に関するモンテビデオ声明」(以下、モンテビデオ声明)以後、2013年中のインターネットガバナンスに関する動向を解説しました。本稿では、引き続き大きな動きを見せるインターネットガバナンスに関して、米国商務省電気通信情報局(NationalTelecom-munications and Information Administration; NTIA)によるIANA機能監督権限の移管に関する動きと、2014年4月23日(水)〜24日(木)に開催された、いわゆるNETmundial会合を中心に解説します。

IANA機能監督権限移管に関する動き

NTIAは2014年3月14日(金)、同局が持つインターネットDNS機能の管理権限を、グローバルなマルチステークホルダーコミュニティに移管する意向を、声明として発表しました※1。NTIAはこの声明の中で、移管後の監督機構の検討(以下、機構検討)を、グローバルなマルチステークホルダーコミュニティに委ね、その議論の呼びかけ人(convener)にICANNを指名しました。

ICANNは設立以来、米国政府との契約関係に基づいて、IANA機能を含む諸業務を行ってきていますが、それはICANN設立の議論が行われていた1990年代後半から何度となく問題視され、議論されてきています。従って、その問題の存在自体はよく知られていますが、IANA機能自体や監督権限の規定といった、中身の詳細についてはそれほど知られていません※2※3。当初米国政府は、自身をインターネット資源管理の主体とみなしており、これを民間に移管するという大目的のために、1998年にICANNが設立されました。そして民間による管理が成熟、安定するまでの間は、移行プロセスをICANNと合同で遂行しながらICANNを見守っているという立場を取ってきました。そのため今回の声明は、そのプロセスを経て米国政府が「ICANNが組織として成熟し、グローバルなマルチステークホルダーモデルも拡大している」こと等を評価し、移行プロセスを次のステップに進める意志があることを明らかに表したものであると言えます。

これを受け、ICANNは呼びかけ人として、NTIA声明発表の同日に、機構検討プロセスに関する検討に着手しました。本稿を執筆した2014年5月末現在、機構検討プロセスの初期案がICANNから提示され、これに対する意見募集が完了した段階です※4。ICANNは、2014年6月22日(日)から開催のICANNロンドン会議までに、機構検討プロセスを取り仕切るSteering Groupの構成を発表するとしており、それ以降も、インターネット関連団体のイベントで機会ごとに議論の場を設け、2015年9月末(現在のIANA契約の満了期日)を一つのめどとして、検討が進んで行く見通しです。

JPNICは国別インターネットレジストリとしてIPアドレスの管理に直接携わると共に、インターネット基盤の運営に欠かせない資源管理体制に関しては、一貫して情勢把握を行い、意見提出などを行ってきました。本件に関しても、本稿末尾に述べる検討会など積極的な活動を進めるとともに、皆さんの状況理解に必要な情報の提供に努めてまいります。

写真:NTIAのWebサイト画面
●NTIAによるインターネットの重要なDNS機能移管の意向に関する発表
 全文の参考和訳は11ページ参照

NETmundial

インターネットガバナンスをめぐる議論の潮流に乗りながらも、新たな手法を取り入れたユニークな取り組みであったNETmundialについて解説します。

NETmundialは、2014年4月23日(水)〜24日(木)に、ブラジル・サンパウロで開催された、インターネットガバナンスに関する単発の会合で、「今後のインターネットガバナンスに関するグローバルマルチステークホルダー会合(Global Multistakeholder Meeting on the Future of Internet Governance)」という正式名称に対して、ポルトガル語で「世界的な」といった意味のmundialを用いて準備されたのが、NETmundialという愛称です。

写真:会場の様子
●NETmundialの会場の様子

2013年10月、モンテビデオ声明が発表された直後に、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領によって開催の意向が発表されました。政府関係者を含む世界中のあらゆるステークホルダーが参加して、「インターネットガバナンスに関する原則」(以下、「原則」)と「インターネットガバナンスの今後の進化に関するロードマップ」(以下、「ロードマップ」)の二つの議題に関して、会期前に起草される案をもとに議論し、会期中に成果文書を採択することが、事前に公表されました。

私は、議事運営の中心的な組織であるマルチステークホルダー実行委員会(Executive Multistakeholder Committee; EMC)に、技術コミュニティ代表として選出され、準備段階から同会合に関与しました。EMCをはじめとする委員会は2014年1月に組成され、活動開始しましたので、実質的に会期までの3ヶ月間という非常に限られた時間で、寄書や意見の募集を含む成果文書案作成作業を行う必要がありました。

2月8日(土)から3月8日(土)までの寄書募集で提出された寄書は46ヶ国188件に上りました。EMCでは寄書を分析して、多くで取り上げられたキーワードを抽出した上で、あらゆるステークホルダーによってコンセンサスが得られることに留意して、起草作業を行いました。成果文書案は、EMCによる起草が完了した後、政府高官レベルのハイレベルマルチステークホルダー委員会(High Level Multistakeholder Committee)でも精査され、最終的に公開されたのは4月17日(木)、会期の前の週でした。

公開された成果文書案は、NETmundialのWeb上に開設されたコメントフォーラムで公開され、パラグラフごとに意見が寄せられました。寄せられた意見は、1,370件にも上りました。これらの意見は事務局によって集計され、会期前日に公開されて、会期を迎えました。

会場は、800人を超える参加者でごった返していました。「原則」と「ロードマップ」の二つのテーマには、2日の会期両日に、それぞれ1セッションずつが設けられました。会場には、ステークホルダー別の4本のフロアマイクが準備されました。遠隔参加者からの発言枠を含め、順番に発言時間が与えられ、二つテーマに対して、それぞれ100件以上の意見を受けました。

さらに両日のセッションの後には、意見を勘案して成果文書案に反映するドラフティングセッションが持たれました。これはEMCとセッションチェアによる作業でしたが、参加者もこれを傍聴することができました。

こうして完成した成果文書は、「サンパウロNETmundialマルチステークホルダー声明(NETmundial Multistakeholder Statement of Sao Paulo)」(以下、NETmundialマルチステークホルダー声明)と名付けられ、会期中のセッションの速記録と共に、NETmundialのWebサイトで公開されています。また、セッションの模様を録画した動画も入手可能です※5

声明は、「原則」として、人権と共有価値、 単一の分断されないインターネット空間、インターネットガバナンスのプロセスに関する原則をはじめとする8項目に言及し、「ロードマップ」では、インターネットガバナンスの議論のあり方、Internet Governance Forum(IGF)やIANAなど会議体や組織のあり方に加え、いくつかの政策テーマに関する課題を整理するとともに、IGFをはじめとする、今後開催されるインターネットガバナンスの諸会議体に対して、議論の深耕を求める内容となっています。

NETmundialマルチステークホルダー声明に関しては、一部の政府、市民社会グループからは、意見集約に不備があるなどとして、不満の表明もあったものの、委員会組織が構成されて3ヶ月ほどという限られた期間で、上述の幅広い内容が整理された点に、参加者およびインターネットコミュニティからの評価が得られています。多岐にわたるインターネットガバナンスの諸課題を簡潔かつ網羅的にまとめた資料として、どなたにでも一読の価値があると思います。

NETmundialは単発の会合でしたが、今後引き続き持たれる、WSIS+10(世界情報社会サミット10周年イベント)、IGF、ITU関連の会議体、IANA監督権限移管の議論などにおいて、NETmundialマルチステークホルダー声明や、一連のプロセスで用いられた新たな方法論や経験が活かされることを、EMCメンバーとして関与した1人として、願ってやみません。

より充実した議論のために 〜「日本インターネットガバナンス会議」の発足 〜

インターネットを健全に運営する上で必要なルールや仕組みの策定と実施体制の整備、またそれらを検討するプロセスの構築などに取り組むインターネットガバナンスは、まさにインターネットの根幹に関わる問題と言えます。インターネットの円滑な運営を支えることを使命とするJPNICでは、インターネットガバナンスに関する国際的な議論に積極的に関与するのみならず、国内の関係者の皆さまと共に、日本におけるインターネットガバナンスの議論を推進していくことが重要と考えております。そこで、インターネットガバナンスを検討する会として「日本インターネットガバナンス会議(Internet Governance Conference Japan、略称:IGCJ)」を発足させ、継続的に開催することにしました。

「日本インターネットガバナンス会議」Webサイト

この会は、ラウンドテーブル形式のオープン会合で、インターネットガバナンスに関わりの深いインターネット関連諸団体や会議体の第一線でご活躍の各分野の関係者をゲストとして招き、さまざまな視点を取り入れたインターネットガバナンスの議論をしていきます。議論を通じ、インターネットガバナンスに関して、適切な状況認識の上で充実した検討ができる基盤を日本国内に構築し、また、インターネットガバナンスに関する提言を行い、グローバルな方向性への反映と日本国内での実装を準備することをめざします。初回は6月18日(水)に、「米国政府はルートを捨てるのか? IANAの監督が政府からコミュニティへ」をテーマとして、課題共有や活発な意見交換が行われました。今後の展開にも、ご期待ください。

写真:「インターネットガバナンスを検討する会」の様子
●「インターネットガバナンスを検討する会」の様子

(JPNIC インターネット推進部 前村昌紀)


この文書は、2014年3月14日に公開された「NTIA Announces Intent to Transition Key Internet Domain Name Functions」の参考和訳です。本文と原文の内容に相違がある場合には、原文が優先します。

NTIAによるインターネットの重要なDNS機能移管の意向に関する発表(参考和訳)

2014年3月14日

ワシントン発 - 米国商務省電気通信情報局(National Telecommuni-cations and Information Administration:NTIA)は本日、マルチステークホルダーモデルによるインターネットのポリシー策定とガバナンスへの支持および強化のため、インターネットにおける重要なDNS(Domain Name System)機能を、グローバルなマルチステークホルダーコミュニティに移管する意向があることを発表します。その最初のステップとして、NTIAはICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)に対し、インターネットDNS機能の調整において現在NTIAが担っている役割の移管提案を策定するため、グローバルなステークホルダーとの検討を開始するよう依頼しています。

NTIAは、全トップレベルドメイン(TLD)の名前とIPアドレスの一覧を含むデータベースである権威ルートDNSのゾーンファイルの変更を管理する手続き上の役割を含め、さらには歴史的にDNSを監督し、報告を受ける責任を担ってきました。NTIAは現在、IANA(The Internet Assigned Numbers Authority)機能を遂行するためにICANNと契約し、ベリサイン社とは、同社がIANA機能に関わるルートゾーンの管理を遂行する根拠となっている協力覚書(Cooperative Agreement)を締結しています。移管によりNTIAをその役割から解放することは、米国政府が1997年に示したDNS民営化計画の最終段階を迎えることになります。

「まさに、移管プロセスを開始するタイミングだと言えます」とLawrence E. Strickling(米国商務省 通信・情報担当長官)。「適切な移管計画の作成に向け、ICANNがグローバルなインターネットコミュニティとともに検討を開始することに期待しています」

ICANNは、移管計画策定の上でマルチステークホルダープロセスを進める適切な機関として、IANA機能の委託先であると共に、DNSのグローバルな調整を担う者でもあるという特別な位置づけにあります。NTIAは、ICANNが提案を策定する上で、IETF(The Internet Engineering Task Force)、IAB(The Internet Architecture Board)、ISOC(The Internet Society)、各地域インターネットレジストリ(The Regional Internet Registries :RIRs)、トップレベルドメイン名管理者、ベリサイン社を含め、影響を直接受ける諸機関と協調の上で取り組むことを期待していることをICANNに伝えました。

NTIAはICANNに対し、移管の提案は幅広いコミュニティの支持が必要であることおよび、以下の4原則に対応する必要があることを伝えています。

  • マルチステークホルダーモデルの支持および強化
  • インターネットにおけるDNSの安全性、安定性、および回復力の維持
  • IANAサービスに対する全世界の顧客およびパートナーの要求と期待の充足
  • インターネットのオープン性の維持

米国によるインターネットガバナンスにおけるマルチステークホルダーモデルへの支持を明確に表した、米国の上下両院の超党派によって決議された政策(S.Con.Res.50およびH.Con.Res.127)との整合を図るため、NTIAは、政府主導または政府間機関による解決案に置き換える提案については受け付けないこととしています。

ICANNの設立時から、米国政府およびインターネット関係者は、IANA機能における米国政府の役割は暫定的なものとして想定してきました。米国商務省による1998年6月10日の政策声明(Statement of Policy)では、米国政府は「民間セクター主導のDNS管理を認める移管に責任をもって取り組んでいく」と述べています。ICANNは組織として成熟し、近年、説明責任、透明性および技術能力の改善につながる取り組みを実施してきました。同時に、インターネットガバナンスフォーラムの継続的な成功およびさまざまなインターネット団体によるしっかりとした責務遂行により実証されている通り、インターネットガバナンスにおけるマルチステークホルダーモデルへの国際的な支持は、拡大し続けています。

ステークホルダーが、ICANNが開始するプロセスを通じて移管計画の策定に取り組む間は、NTIAの現在の役割に変更はありません。現在のIANA機能契約の有効期限は、2015年9月30日までです。

〈さらなる情報〉
IANA機能およびそれに関連するルートゾーン管理移行についてのQ&A(21.4KB)

〈NTIAとは〉
NTIAは、大統領に対して電気通信および情報政策に対する諮問を行う行政部の部局(Executive Branch agency)です。NTIAによるプログラムおよび政策策定の重点は、米国におけるブロードバンドインターネットアクセスの拡大とその導入、全ユーザーによる無線通信周波数帯利用の拡大、そして、インターネットが技術革新と経済成長の継続の原動力である状態の維持を確実にすること、となります。
NTIAウェブサイト

※1 米国商務省電気通信情報局がインターネットDNS機能の管理権限を移管する意向を表明
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140317-02.html
※ 声明本文、参考文献へのリンクなども含まれています。
※2 インターネットガバナンスとは何か
https://www.nic.ad.jp/ja/governance/about.html
※インターネットガバナンスに関する流れは、こちらにまとめてあります。
※3 ドメイン名を中心としたインターネットポリシーレポート第13号「ICANNとIANA機能を規定するさまざまな取り決め」
https://www.nic.ad.jp/ja/in-policy/policy-report-201402.pdf
※米国政府とICANNなどの関係をまとめています。
※4 JPNICは、2014年5月8日まで実施された機構検討プロセスのICANN初期案に対しても、意見募集に応じて、意見を提出しています。
http://mm.icann.org/pipermail/ianatransition/2014/001012.html
※5 NETmundial関連動画
インタビューなど他のビデオと併せて、以下から視聴可能
http://www.youtube.com/results?search_query=NETmundial

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