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ニュースレターNo.63/2016年7月発行

日本UNIXユーザ会(jus)の設立

日本UNIXユーザ会
法林 浩之

今回はjus(日本UNIXユーザ会)の設立とその後の活動、インターネットとの関わりなどを紹介します。1970年代から始まる長い物語になりますが、よろしくお付き合いください。なお、jusの設立は1983年ですが、筆者が活動に参加したのは1990年からです。つまり設立当時のことは知らないため、諸先輩方から当時の話を聞き出して本稿を構成しました。したがって、もしかしたら記述が正確でない部分があるかもしれません。あらかじめご了承ください。

UNIX伝来

日本にUNIXがやってきたのは1976年です。故石田晴久先生がベル研究所で触れたUNIXに感動し、テープを日本に持ち帰られたのが最初だそうです。石田先生はUNIXを自分や当時所属していた東京大学だけで使おうとせず、筑波大学や慶應義塾大学などに広めるとともに、関係者を巻き込んでUNIXのソースコードを読む勉強会を開かれました。そのメンバーには、日本のインターネットの父と呼ばれる当時学生だった村井純先生も含まれていました。

当時のUNIXはPDP-11やVAXなどDEC製のマシンで動作していたので、UNIXに関する情報交換はDECのユーザ会であるDECUSで行われていました。石田先生をはじめUNIXに魅力を感じる人達が集まり、いわゆるITコミュニティの先駆け的な存在だったのではないかと推測されます。

jus設立

1980年代に入ると、UNIXの移植性の良さが生かされて、DEC以外のコンピューターメーカーからもUNIXマシン(当時はワークステーションと呼ばれた)が発売されるようになりました。例えば、中央電子のCEC8000、東芝のTOSBAC UX-300などです。NECからはPC-9800シリーズ(PC-9801)で動作するUNIX (PC-UX)も発売されていました。このような状況を迎え、UNIXに関する情報交換の場はもはやDECUSの枠には収まらないだろうということで独立することになり、jusが設立されました。jusの設立に尽力された方は先述の石田先生や村井先生の他に、jusの初代会長を務められたSRAの岸田孝一さん、慶應義塾大学の斎藤信男先生などです。jusの活動は1983年6月、第1回jus UNIXシンポジウム(機械振興会館で開催)でスタートしました。

ここでは、さまざまな発表の他に、当時国内で使えたUNIXマシンが一堂に集まっていて展示されていました。これらは後にUNIX Fairといったjusのイベントに発展していっています。また、みんなで手分けをしてCで書かれた三つのベンチマークプログラム(CPU性能、システムコール性能、ライブラリ性能)を比較するプログラムを入力してtimeコマンドで測定するなどということもやっていて、これらの成果もjusの研究会で報告されています。とにかく、UNIXに関連するさまざまな情報を発信する、そういうjusの気風の表れだと思います。

jusとインターネット

UNIXが普及した理由の一つに、ネットワークへの接続に適したOSだったことが挙げられます。米国ではARPANET※1のベースとなり、日本でも各地のUNIXマシンを相互接続してJUNET※2が形成されました。jusでは1986年からUNIX Fairを開催し、各社のUNIXマシンおよび関連製品の展示を実施しましたが、それは同時に各社のマシンが相互接続できるかどうかを検証する場でもありました。この活動はやがてInteropに受け継がれ、日本におけるインターネットの発展に大きく貢献しました。

この他にも、UNIX環境やインターネット上で日本語を使えるようにするための取り組みとして、文字コードISO-2022-JP、X Window System用の日本語フォントである橘フォント、日本語入力システムWnnなどがありました。jusはシンポジウムや分科会を行うことで、これらの活動をサポートしました。

jusとコミュニティ

jusの活動を振り返ると、先述のような技術的貢献も多々ありますが、もう一つの側面として、日本におけるITコミュニティの発展に寄与したことも重要です。ユーザ同士の情報交換という形態はDECUSの時代からあったものと推測されますが、それまでのメーカー主導によるコミュニティではなく、ユーザが自発的にコミュニティを形成し、公平な議論の中で新しい技術を開発し広めていくという民主的な開発手法は、UNIXやインターネット文化の下で育まれてきたものです。このような手法はやがてオープンソースの概念を生み出し、今ではごく普通のやり方になっています。また、インターネットやSNSの普及はコミュニティ形成を容易にし、日本は勉強会大国と言ってもよいぐらい多数のIT勉強会が連日開催される国になりました。

おわりに

jusは今年で33周年を迎えます。UNIX関連の情報がネットで簡単に得られるようになった今では会の規模も小さくなりましたが、それでもInternet Weekへの協力をはじめ、幅広いITコミュニティとのコラボレーションを続けています。そして、それらの活動を通して、ユーザ主導の議論により技術を開発し発展させていくことの大切さを、これからの人達に伝えていきたいと考えています。

[参考文献]
石田先生から受け継いだもの
 砂原秀樹、村井純
 情報処理
 Vol.50 No.7 July 2009 (PDF)


※1 ARPANET (Advanced Research Projects Agency NET work)
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-ARPANet
※2 歴史の一幕:JUNETの誕生
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No29/060.html
JUNETとは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/junet.html

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