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ニュースレターNo.63/2016年7月発行

2015年度JPNIC「IPv6対応状況に関するアンケート」結果報告

2016年2月15日(月)から3月18日(金)まで約1ヶ月間かけて、2014年度に引き続き、2015年度の「IPv6対応状況に関するアンケート」を実施しました。本稿では、この調査結果をご紹介します。

本アンケートは2014年度より、「IPv4アドレス在庫枯渇後の日本の事業者およびユーザー組織におけるIPv6の対応状況または利用状況について、定期的に調査を行い、その進捗状況を観測する。」ということを目的にして開始しました。対象は、IPアドレス管理指定事業者(IP指定事業者)、プロバイダー非依存アドレス割り当て先組織、それにJPNIC会員です。2014年度は合計204の回答数がありましたが、2015年度は残念ながら138にとどまる結果となりました。

IP指定事業者のIPv6対応状況

まず、IP指定事業者のIPv6対応状況を尋ねたところ、2014年度と比較するとすべて完了している割合が激減していました。これは、2014年度の調査では対応完了が3割以上いた一般ISPの回答者割合が減少し、逆に対応完了が1割以下で全体の中でも低い割合だった、CATVインターネットの回答者が多かったことが要因と考えられます。

2015年度 2014年度
すべてのネットワークにおいてIPv6対応が完了している 3 (6.5%) 10 (21.3%)
実験など一部のサービスについてはIPv6対応を完了している 20 (43.5%) 16 (34.0%)
現在対応のための作業を実施中 2 (4.3%) 2 (4.3%)
現在対応のための計画を策定中 4 (8.7%) 7 (14.9%)
3年以内の対応を見据えて計画を検討中 10 (21.7%) 4 (8.5%)
対応予定なし 7 (15.2%) 8 (17.0%)
N=46 N=47
図:IP指定事業者のIPv6対応状況のグラフ

IP指定事業者のサービス種別

アンケートに回答いただいたIP指定事業者の提供するサービス種別は、2014年度と比較すると一般ISP (接続サービス)が減少して、CATVインターネットの割合が増加しています。また、一般ISPの減少にともない、一般ISPが同時に提供するケースが多いホスティングサービスやASP/コンテンツプロバイダというカテゴリの割合も減少しています。

(複数回答あり)
2015年度 2014年度
一般ISP (CATVインターネット以外) 10 (21.7%) 21 (44.7%)
CATVインターネット 20 (43.5%) 12 (25.5%)
インターネットデータセンター 10 (21.7%) 13 (27.7%)
ホスティングサービス 13 (28.3%) 21 (44.7%)
ASP/コンテンツプロバイダ 6 (13.0%) 17 (36.2%)
学術機関・公共団体など 5 (10.9%) 5 (10.6%)
その他(移動体通信事業者・IXPなど) 4 (8.7%) 5 (10.6%)
N=46 N=47
図:IP指定事業者のサービス種別のグラフ

IP指定事業者以外の組織種別とIPv6利用状況

一方、IP指定事業者以外の回答者の組織種別は、一般企業32%、学校、研究機関が63%と、2014年度より若干学校、研究機関の割合が増えています。組織種別ごとのIPv6接続サービスの利用状況では、こちらも2014年度と同様に、学校、研究機関の3割以上がすでに利用をしている状況です。また一般企業が2014年度の12%から23%まで割合を増やし、全体としても2014年度より割合が増えて3割を超える組織がIPv6接続サービスを利用していると回答しています。

利用 今後利用予定 利用予定なし 2015年度 2014年度
一般企業 7 (23.3%) 3 (10.0%) 20 (66.7%) 30 (32.6%) 63 (40.1%)
公共団体、非営利組織 0 (0.0%) 1 (33.3%) 2 (66.7%) 3 (3.3%) 5 (3.2%)
学校、研究機関 22 (37.9%) 7 (12.1%) 29 (50.0%) 58 (63.0%) 89 (56.7%)
その他 0 (0.0%) 0 (0.0%) 1 (100.0%) 1 (1.1%) 0 (0.0%)
2015年度 29 (31.5%) 11 (12.0%) 52 (56.5%) N=92
2014年度 36 (22.9%) 28 (17.8%) 93 (59.2%) N=157
図:IP指定事業者以外の組織種別とIPv6利用状況のグラフ

IPv6普及状況の認識

次に、2015年度は新たに、現在のIPv6普及状況に関する認識について聞いてみました。昨年までと比較して、IPv6の普及が進んでいると思うかを確認をしたところ、「進んでいると思う」という回答は2割程度にとどまり、4割以上が「進んでいると思わない」という回答となりました。IP指定事業者のサービス種別、あるいはIP指定事業者以外の組織種別ごとの比較では、一般ISPおよびホスティングサービス事業者などは「進んでいると思う」とした割合が比較的多く見受けられました。

この結果は、回答者の皆さんが、現在の日本全体のIPv6対応状況について、必ずしも正しく把握できていないことによるものとも考えられます。次項の情報提供ニーズの回答でも多かった「国内のIPv6対応状況、動向」をきちんと伝えていく必要があると実感しました。

図:IPv6普及状況の認識のグラフ

IPv6に関する情報提供のニーズ

今後のJPNICからの情報提供に関するニーズ把握を行った結果は、「国内の対応状況、動向」「最新技術情報」「他事業者の対応事例」の順に回答が多かったです。傾向としては昨年度と大きな変化はありませんでした。その他を選択した回答には、IPv4との比較や、IPv4の状況に関する情報を求める意見、IPv6の導入、運用コストに関する情報を求める意見がありました。

(複数回答あり)
2015年度 2014年度
IPv6に関する最新の技術情報 65 (47.1%) 115 (56.4%)
IPv6対応製品に関する情報 44 (31.9%) 76 (37.3%)
IPv6のセキュリティインシデントに関する情報 47 (34.1%) 104 (51.0%)
自社の対応に関する具体的な助言、アドバイス 35 (25.4%) 59 (28.9%)
他事業者のIPv6対応事例 60 (43.5%) 81 (39.7%)
国内のIPv6対応状況、動向 80 (58.0%) 148 (72.5%)
海外のIPv6対応状況、動向 38 (27.5%) 67 (32.8%)
IETFの標準化動向 16 (11.6%) 37 (18.1%)
その他 7 (5.1%) 10 (4.9%)
N=138 N=204

IPv6ハンズオンセミナーの利用意向

JPNICが開催している、ネットワーク管理者およびサーバ管理者向けのIPv6ハンズオンセミナーの受講意向を確認したところ、受講経験有りと回答した人が2014年度よりも大幅に増加していました。2015年度に実施したセミナーの地方開催などの取り組みによる影響だと考えられます。事業者種別の回答でも、IP指定事業者、IP指定事業者以外ともに、受講経験が増加しているほか、全体的に受講意向は増えていました。

2015年度 2014年度
受講したことがある 20 (14.5%) 9 (4.4%)
受講予定(申し込み済み) 2 (1.4%) 1 (0.5%)
現在開催が予定されている日程で受講してみたい 2 (1.4%) 0 (0.0%)
日程あるいは開催場所が合えば受講してみたい 74 (53.6%) 128 (62.7%)
受講するつもりはない 40 (29.0%) 66 (32.4%)
N=138 N=204

回答者属性

① IP指定事業者か否か
参考までにここでは、回答者のうち、IP指定事業者とそれ以外の割合を示しています。2014年度よりもIP指定事業者が割合として増加しました。

2015年度 2014年度
IPアドレス管理指定事業者 46 (33.3%) 47 ( 23.0%)
IP指定事業者以外 92 (66.7%) 157 (77.0%)
N=138 N=204
図:回答者属性 IP指定事業者か否かのグラフ

② 地域分布
2015年度のアンケートでは、回答者の地域分布を聞いています。東京の回答者が突出して多く、その他は、愛知、神奈川、大阪、広島の順で、おおよそIP指定事業者の地域分布に類似する形になっています。

図:回答者属性 地域分布のグラフ

まとめ

2014年度に引き続き2回目のアンケートで、回答者が少なめだったということもあり、期待通りにIPv6の対応が順調に進んでいるという結果にはなりませんでした。しかし、アンケートを参考にしてさまざまな施策を実施しながら、継続して状況を追いかけていくことで、IPv6の着実な普及を実感できるようになればと思います。

(JPNIC IP事業部 佐藤晋)

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