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各位
                              2000年7月19日

                      社団法人 日本ネットワーク
                      インフォメーションセンター
                              (JPNIC)
                      ドメイン名の紛争解決ポリシー
                      に関するタスクフォース
                              (DRP-TF)

            タスクフォースレポート
      「JPドメイン名紛争処理方針」に関する最終答申について


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目次

 1.要約
 2.第一次答申以降の主な議論
 3.一般からのコメントと DRP-TF からの回答
 4.処理方針・手続規則と登録規則との関係について
 5.紛争処理機関の認定について
 6.実体法整備の必要性について
 付録1:タスクフォース・メンバー一覧
 付録2:関連文書
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1.要約
--------

 昨今のインターネット人口の急増とサイバースペースにおける電子商取引の広
がりとともに、ドメイン名と商標との衝突・紛争が発生しており、ここ数年、そ
の問題解決についての議論が続けられてきました。なかでも WIPO(世界知的所
有権機構)によって1998年7月に開始されたインターネット・ドメインネーム・
プロセスは非常に網羅的なものであり、三度に渡るコメント要請と世界各地で開
催された公聴会の結果を受けて、1999年4月、最終レポートが ICANN 理事会に提
出されました。

 ICANN は、このレポートを受け、同年10月、.COM、.NET、.ORG(以下「gTLD」)
における紛争解決を目指して「統一ドメイン名紛争処理方針」を策定。これらの
gTLD を取り扱う ICANN 認定レジストラは12月1日より同処理方針を採用しまし
た(ネットワークソリューションズ社を含む一部レジストラは、2000年1月1日よ
り採用)。合わせて、12月1日より ICANN 認定紛争処理機関の第1号として WIPO
仲裁調停センターが紛争処理業務を開始し、その後、ICANN 認定紛争処理機関は
本日現在で4機関となっています。

 日本ではこの種の紛争はそれほど顕在化しておりませんが、問題と思われる事
例が幾つか報告されており、解決が待たれております。また、日本でこの種の紛
争が少ないのは、JPNIC が採用している「一組織一ドメイン名」「ドメイン名の
移転禁止」などの原則によるところが大きいと考えられますが、これらの原則も
日本社会におけるインターネットの急速な拡大とともに、その緩和・撤廃が検討
されているところです。これらの原則は、これまで、不正の目的によるドメイン
名の登録・使用を抑制する効果をもっていたため、その緩和・撤廃に当たっては、
JPドメイン名のための紛争処理方針の策定が前提となります。

 JPNIC では、昨年12月15日に「ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスク
フォース」(以下「DRP-TF」)を設置し、JPドメイン名に係わる紛争処理に関す
る規約である「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「処理方針」)、およびその
処理手続について定めた「JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則」(以下
「手続規則」)の策定に向けて検討を進めて参りました。

 4月26日、DRP-TF は、第一次答申案をとりまとめ、JPNIC 運営委員会に提出。
運営委員会はその答申を受領・承認し、5月8日、一般に公開されるとともにコメ
ント募集の手続が開始されました。第一次答申の内容につきましては、次のペー
ジをご覧下さい。

 「JPドメイン名紛争処理方針」に関する第一次答申について
  < http://www.nic.ad.jp/ja/drp/jp-drp/tf-report.html >

 6月11日、一般からのコメント募集が締め切られ、これを受けて、DRP-TF でさ
らなる議論が進められました。一般からのコメントの内容、並びに DRP-TF での
議論のポイントにつきましては、以下本レポートにとりまとめた通りです。

 7月10日、DRP-TF は、これまでの議論を最終答申案としてとりまとめ、JPNIC
運営委員会に提出。運営委員会はその答申を受領し、併せて理事会の承認が得ら
れました。

 今回策定した紛争処理方針の大きなねらいは、明らかに不正の目的によると思
われるドメイン名の登録・使用(例えば、ドメイン名を先取りし、権利者に対し
て高額で転売しようとする行為、他人が持つ商標と同一または類似のドメイン名
を使用したウェブサイトを開設し、ユーザーの誤認混同を目論む行為など。正確
な類型の記述については、処理方針第4条b項を参照のこと。)を権利者の申立
に基づいて速やかに取消または移転をしようとするものです。

 また、紛争処理手続が始まる前提として、JPNIC に JPドメイン名を登録した
者(本処理方針の実施に伴い、これまでのすべての JPドメイン名登録者が該当
します)は、第三者から申立があった場合、紛争処理機関による紛争処理手続に
必ず付託(手続に参加し、裁定に従う)しなければならないという点も大きな特
徴となっています。

 具体的な紛争処理の手続は、JPNIC が認定する紛争処理機関が行います。その
手続の特徴は、裁判よりも迅速であること(最長でも55日で裁定が出されます)、
裁判に比べて低費用であること(料金は紛争処理機関によって定められます)、
当事者が実際に紛争処理機関に出向くことはなく、提出書類に基づいて手続が行
われること、裁定結果に不服の場合には裁判所に提訴できること(裁判外紛争処
理の一つである仲裁の場合、裁定結果に不服であっても裁判所への提訴はできま
せん)、などです。

 これら紛争処理方針の実昭租・僻獣粘霆燹∧造咾法∧響莉萢亮蠡海瞭団Г砲・
いては、昨年10月に ICANN が採択・承認した「統一ドメイン名紛争処理方針」
および「統一ドメイン名紛争処理方針のための手続規則」に準じており、DRP-TF
での作業は、これら ICANN の処理方針・手続規則を日本の法制度や調停・仲裁
のシステムを十分配慮した上でローカライズするという形で進められました。し
たがって、今回 JPNIC で策定した紛争処理方針は、JPNIC とすべての JPドメイ
ン名登録者との間における自主的ルール(契約)ではありますが、その判断基準
・実施形態に関しては国際的な動きと歩調を合わせた形となっております。

 なお、今回策定された処理方針および手続規則は、次のスケジュールにて公開・
実施することになります。

 ・2000年 7月19日 : JPドメイン名紛争処理方針の公開
 ・2000年10月19日 : JPドメイン名紛争処理方針の実施

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2.第一次答申以降の主な議論
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  第一次答申以降、DRP-TF で話し合われた主な議論は次の通りです。

(1) 申立の根拠は「商標」のみで良いか

 第一次答申では、申立の根拠を「商標」のみとし、未登録商標をどの範囲まで
 認めるのか、長年にわたり使用されていない登録商標も保護されるのか、ある
 いは外国商標の保護の在り方等について、一般からの意見を募集しました。

  一般から寄せられたコメントの中には、申立の根拠について、「商標」のみに
 限定せず、不正競争防止法の保護対象となっている「営業表示・営業標識」も
 含むべきであるというというものが複数見られました。営業表示・営業標識を
 除外すると、不正な目的を持ったドメイン名登録・使用であっても、申立の根
 拠が商標でないということで適用対象からはずれてしまい、紛争処理方針の意
 義が損なわれるのではないか、というのがその理由として述べられています。
 同様に、人名についても保護の対象とするべきであるという意見も寄せられま
 した。

 また、ICANN の統一紛争処理方針では、申立の根拠は「商標(trademark or
 service mark)」となっていますが、これまでに出されたドメイン名紛争に関
 する裁定のなかには、有名な女優や歌手の名前で登録されたドメイン名につい
 て、コモンロー上の商標権、または「passing-off」(詐称通用)を認め、移
 転裁定を下したケースが報告されております。

  このような状況を受け、再度 DRP-TF 内で議論を行った結果、申立の根拠を
 「商標その他表示」とし、日本の商標法における「商標」よりも若干緩やかに
 することにいたしました。

 なお、適用対象となる紛争は、あくまでも以下の三項目すべてを満たすことが
 条件になっております。当初、紛争処理手続を短期間で終えることを考慮に入
 れ、申立の根拠を比較的判断のつきやすい「商標」に限定しておりましたが、
 最終的には、(iii) の「不正の目的」の判断がより重要であるとのことから
 (i) を若干緩やかにしてもよいのではないかという結論に至りました。

 (「処理方針」第4条a項より)

 >  (i)  登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商
 >     標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること
 >  (ii) 登録者が、当該ドメイン名の登録についての権利または正当な利益
 >        を有していないこと
 >  (iii) 登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されてい
 >        ること

(2) 不正の目的のための登録・使用についての判断基準は法的に妥当か

 本件に関する DRP-TF の考えは、第一次答申と変わりはありません。なお、こ
 の件につきましては、最終的には実体法の整備をもって解決されることが望ま
 しいと考えており、その必要性については後段「6.実体法整備の必要性につ
 いて」にて述べております。

(3) 「合意裁判管轄」を限定すべきか否か

 最終答申の手続規則において「合意裁判管轄」の規定は次のようになっていま
 す。

 (「手続規則」第1条より)

 >  (f) 「合意裁判管轄」とは、
 >        (1) 東京地方裁判所、または
 >        (2) 申立人が、紛争処理機関に申立書を提出したときに、当センタ
 >            ーのドメイン名登録原簿に記載されている登録者の住所におけ
 >            る管轄裁判所
 >    をいう。

 DRP-TF の議論では、特許に関する裁判と同様、裁判所内に知的財産担当部門
 のある東京地方裁判所と大阪地方裁判所に「合意裁判管轄」を限定すべき、あ
 るいは、東京地方裁判所1カ所に限定すべきとの意見も出されましたが、この
 部分は ICANN の方針に則り変更しないこととしました。

(4) 裁定が出された後、登録者・申立人が提訴する場合の「合意裁判管轄」への
  拘束について

 裁定が出された後の「合意裁判管轄」については、ICANN の処理方針・手続規
 則では、負けた登録者を拘束することに力点がおかれています。これは、登録
 者側が裁定結果を故意に実施させないようにするために、登録者に都合の良い
 不特定の国内外の裁判所に提訴することを防ぐねらいがあります。具体的には、
 申立人が申立書の中に「合意裁判管轄」を選択する項目があり、紛争処理手続
 により登録者が負けた場合(ドメイン名の取消・移転という裁定が出された場
 合)、処理方針「第4条 k. 裁判所への出訴」に則って裁定結果通知後10日
 以内の出訴における「合意裁判管轄」を予め限定するという形になっています。
 他方、紛争処理手続により申立人が負けた場合の「合意裁判管轄」についての
 特段の規定は設けられていません。

 第一次答申においては、両当事者の裁定が出された後の提訴におけるバランス
 を考慮し、申立人が負けた場合の「合意裁判管轄」についても拘束する内容と
 なっておりましたが、その後の議論から、ICANN の処理方針・手続規則と同様
 の規定にするという結論になりました。

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3.一般からのコメントと DRP-TF からの回答
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  上記3で紹介したコメントの他に、様々なコメントが寄せられました。以下に
その主なものをとりあげ、それに対する DRP-TF の回答を加えたいと思います。

(1) 処理方針・手続規則 全体に対するコメントと回答

(1-1) 用語等について

  コメント:
   処理方針・手続規則は、ICANN の処理方針・手続規則の翻訳に近く、冗長な
  部分が多すぎるように感じられます。日本語で規則を定めるにはもっと日本
  語がこなれている必要があるのではないでしょうか。

  回答:
   ICANN の処理方針・手続規則の和訳をもとにローカライズ作業を行ったため、
  ご指摘の点は否定できません。日本語としてわかりにくい部分につきまして
  は、一部改善を試みました。(処理方針第4条b項(i)、同第4条c項(iii)、
  同第8条(ii)、手続規則第6条 (e)、同第19条(e) など)

(1-2) 条文と章立について

  コメント:
   アメリカ流の条文構成をとり入れていますが、日本の法律家の利用を前提と
  するのであれば、日本の法律条文構成に習うべきではないでしょうか。

  回答:
  今回の処理方針・手続規則の策定は、ICANN の処理方針・手続規則をローカ
  ライズするという形をとりました。DRP-TF としては、条文構成を ICANN の
  ものと同じにすることにより、ICANN の処理方針・手続規則のどこを採用し、
  またどこを日本の状況に合わせてローカライズしたかを比較する上でメリッ
  トがあると考えております。また、今後、裁定結果の比較を行う機会も出て
  くるものと考えておりますが、そのような観点からも条文構成は ICANN の
  ものに準じる形が良いと考えております。

(1-3) 登録規則との関係

  コメント:
   登録者がこの紛争処理方針に従うことに同意する旨は登録規則に定めるのが
  適切ではないでしょうか。また、登録に当たっての告知義務や他の紛争処理
  手段、センターの紛争への不関与も登録規則に定めるのが適切ではないでし
  ょうか。

  回答:
  今回、登録規則の改訂も合わせて行い、登録者がこの紛争処理方針に従うこ
  とに同意する旨は登録規則にて次のように定めることにいたしました。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第10章  紛争処理
 >
 > 第40条(紛争処理)
 >  登録者は、その登録にかかるドメイン名について第三者との間に紛争がある
 > 場合には、紛争処理方針に従った処理を行うことに同意する。

   なお、登録に当たっての告知義務の条項は、今回、処理方針は登録規則から
  参照され一体となることとしましたので、効果的には問題のない形になって
  いると考えております。ただし、登録規則で規定すべしというご指摘は妥当
  であり、今後の規則改訂における検討項目とさせて頂きたいと思います。

(1-4) 必要と思われる規定について

  コメント:
   仮手続、申立の取下げ、パネリストの受諾に関する規定が必要ではないでし
  ょうか。

  回答:
   仮手続については、本方針は十分に迅速な手続を目指しているものであり、
  仮手続は不要であるとの結論になりました。

   申立の取仮爾欧砲弔い討蓮△環鶲督困?泙靴進絃呂鮓気某靴燭傍・蠅靴泙靴拭・
  (手続規則第17条)

   パネリストの受諾に関する規定は、紛争処理機関の補則で定められるもので
  あると考えております。したがって、本処理方針・手続規則では特に規定し
  ないことにしました。

(2) 処理方針の各条文に対するコメントと回答

(2-1) 契約上の権利義務関係(第2条)

  コメント:
   紛争処理手続で解決が計れず、裁判にまで持ち込まれた場合を考えると、紛
   争解決の合意のレベルだけでなく、実体問題のレベルにおいても、第三者を
   巻き込んだ契約上の権利義務関係が形成されるように工夫する必要があるの
   ではないでしょうか。

  回答:
  今回の処理方針・手続規則に基づく契約上の権利義務関係が及ぶ範囲は、あ
  くまでも「JPドメイン名紛争処理手続」に限定されるものであると考えます。
  実体レベルにおける権利義務関係は、実体法で取り扱われる範囲のものであ
  り、早急な実体法整備が必要であると考えます。

(2-2)「登録者が知る限りにおいて」の意味(第2条(b))

  コメント:
   「登録者が知る限りにおいて」とはどのような意味合いでしょうか。商標調
   査などを必要とするのでしょうか。

  回答:
   「登録者が知る限りにおいて」とは、「不正の目的」に該当しない範囲内で
  の自己責任を負うことの宣言という意味合いになると考えています。

(2-3) 優劣関係の明示(第3条)

  コメント:
   第3条については、(a)(b)(c)がそれぞれ矛盾する内容をはらむ可能性があ
  るので、優劣関係を明示した方がいいのではないでしょうか。

  回答:
   3つの項目に優劣はないと考えております。

(2-4)「不正の目的」とその要件(第4条b項)

  コメント:
   周知・著名商標を含むドメイン名については、正当な商標権者が取消・移転
  申請が可能となるよう、「不正の目的」の要件の緩和をお願いしたいと思い
   ます。

   また、第4条b(iii)は、現実の使用を必要とするのでしょうか。

  回答:
   「不正の目的」の判断については、「ただし、これらの事情に限定されない」
   との記述がありますので、特に要件の緩和はここでは行わないことにいたし
  ました。

   第4条b(iii) につきましては、「現実の使用の有無」も含めて、基本的に
  はパネリストがケースバイケースで判断を行っていくことになると考えてお
  ります。

(2-5) 併合審理に関する規定(第4条f項)

  コメント:
   第4条f項は、複数の紛争が別々のパネルに係属している状態を前提にして
  いますが、併合審理となることによって係属が失われるパネルがどうするの
  か、明確になっていないと思います。

   また、同一当事者間で複数のドメイン名紛争があった場合、同一手続で審理
   出来ることは明確ですが、異なる当事者間の申立を併合することの可否や、
   反訴の可否についても明確になっていません。

  回答:
   併合審理については、先に成立しているパネルに併合するか否かの決定権が
   あり、あとから成立したパネルについては、審理手続を行う必要がなくなる
  だけという形になります。

   異なる当事者間の申立を併合することは出来ません。これはそれについての
  記述がないことによりその旨を表しております。また反訴につきましては、
  本処理方針・手続規則に基づく紛争処理が短期間で完結することを目指して
  おり、また、他方裁判所への提訴も認めていることから反訴は出来ない前提
  となっております。

(3) 手続規則の各条文に対するコメントと回答

(3-1) メールの送受信に関する問題(第2条(a)、第4条(c))

  コメント:
   日本では、送付側/受領側のシステムの不具合などにより、「メールの文字
   化け」という問題があるように思われます。手続開始日との関係などで、考
   慮する必要があるように感じました。

  回答:
   この件につきましては、具体的な処理手続上の問題であり、必要に応じて、
  紛争処理機関の補則に定めて頂く方向で考えております。

(3-2) 「逆ドメイン名強奪行為」(第15条(e))

  コメント:
   「逆ドメイン名強奪行為」という文言は、広く一般に意味が認識されている
  とは思われないため、分かりやすい表現に改めた方が良いのではないかと思
   います。

  回答:
   ご指摘の部分は、「処理方針を不正の目的で利用して登録者からそのドメイ
  ン名を奪いとろうとする行為」という形で分かりやすい表現に変更しました。

(3-3) JPNIC 指定事業者への通知(第16条(a))

  コメント:
   移転・取消という裁定が出された場合、当該ドメイン名の接続先の ISP(イ
  ンターネットサービスプロバイダ)にも裁定結果や実施日などを通知して頂
  きたいと思います。

  回答:
   移転・取消という裁定が出された場合には、そのドメイン名の接続承認を行
  っているJPNIC 指定事業者に対して通知をする形にしたいと考えております。

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4.処理方針・手続規則と登録規則との関係について
------------------------------------------------

 今回、処理方針・手続規則の新設と合わせて、登録規則の改訂を行いました。
また、「移転裁定」が出された場合であっても、登録規則に定められている登録
要件を満たさないときにはそのドメイン名を使用できない状況が生じることから、
処理方針・手続規則に新たな文言が加えられました。処理方針・手続規則と登録
規則との関係について検討された項目は次の通りです。

(1) 処理方針・手続規則における登録規則への言及

 現在 JPNIC では、これまでのドメイン名とは異なる登録規則に基づく新規の
 ドメイン名の登録サービスの開始を検討しております。これに伴い、これまで
 「ドメイン名登録等に関する規則」と呼んできた規則の呼称を「属性型(組織
 種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」と改めました。これによ
 り、処理方針・手続規則における登録規則への言及は次の通りとすることにい
 たしました。

 (「処理方針」第1条より)

 > 第1条   目的
 >
 > この「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「本方針」という)は、社団法人日
 > 本ネットワークインフォメーションセンター(以下「当センター」という)に
 > より採択されたものであり、当センターにドメイン名の登録をした者(以下
 > 「登録者」という)が従う「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録
 > 等に関する規則」(以下「登録規則」という)からの参照により、それと一体
 > になるものであって、登録者が登録したドメイン名の登録と使用から発生する、
 > 登録者と第三者との間のドメイン名に係わる紛争処理に関する規約を定めたも
 > のである。本方針の第4条で定めるJPドメイン名紛争処理手続は、「JPドメイ
 > ン名紛争処理方針のための手続規則」(以下「手続規則」という)、および当
 > センターにより認定された紛争処理機関(以下「紛争処理機関」という)が別
 > 途定める補則に従って、実施されるものとする。

 (「処理方針」第1条より)

 >    (g) 「登録規則」とは、当センターとドメイン名登録者の間の契約内容を
 >    規定した「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関す
 >     る規則」をいう。

(2) 登録規則における処理方針・手続規則への言及

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」では、新
 たに次の1章を設け、処理方針・手続規則への言及する形をとっております。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第10章  紛争処理
 >
 > 第40条(紛争処理)
 >  登録者は、その登録にかかるドメイン名について第三者との間に紛争がある
 > 場合には、紛争処理方針に従った処理を行うことに同意する。

(3)「JPドメイン名紛争処理手続」の裁定による取消・移転を可能とすることに
  ついての登録規則における規定

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」の改訂に
 より以下の通り「JPドメイン名紛争処理手続」の裁定による取消・移転を可能
 とすることにいたしました。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第29条(ドメイン名の移転登録)
 >    登録者は、ドメイン名の移転に関する登録者と第三者の合意がある場合、
 > 当センター所定の方式によって届け出て、その承認を得ることにより、ドメイ
 > ン名の移転登録をすることができる。
 > 2 この規則に特別の定めがある場合を除き、そのドメイン名の移転を受ける
 > 第三者について登録不承認事由がある場合には、ドメイン名の移転登録をする
 > ことができない。
 > 3 前項の不承認事由が第9条第1項による場合には、その第三者が移転の届
 > け出と同時に他のドメイン名について第26条による他のドメイン名について
 > 廃止届を提出し、その届け出が受理された場合には、登録不承認事由がないも
 > のとみなす。
 > 4 認定紛争処理機関で移転の裁定があり、当センターがその裁定結果を受領
 > してから10営業日(当センターの営業日をいう)以内に、登録者から、JPドメ
 > イン名紛争処理方針(以下「紛争処理方針」という)第4条k項に定める文書
 > の提出がされない場合、当センターは、その裁定にしたがって、ドメイン名の
 > 移転登録をする。この場合、第2項の規定は適用しない。
 > 5 当センターは、前項の裁定結果を受領した場合、ただちに、移転の登録を
 > すべき日を認定紛争処理機関、紛争の当事者に通知する。

 > 第31条(登録の取消)
 >   下記各号の事由がある場合、当センターは、ドメイン名の登録を取り消す
 > ことができる。
 > (1)登録申請の不承認の事由があることが判明したとき
 > (2)登録者が第4条第2項の求めに応じず、もしくは第26条第2項または第
 >    28条に定める義務に違反したとき
 > (3)第三者から、登録ドメイン名の使用の差し止めを命ずるわが国において
 >    効力を有する確定判決、和解調書、調停調書または仲裁判断書もしくは
 >    これと同一の効力を有する文書の正本の提出があったとき
 > (4)そのドメイン名の登録が明白かつ現実的に社会的許容性を欠く状況が生
 >    じたとき
 > (5)認定紛争処理機関にて取消の裁定があり、裁定結果の通知から10日以内
 >       に、裁判所へ出訴したことの証明が登録者から提出されないとき

(4) 紛争中におけるドメイン名の移転の可否についての登録規則における規定

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」の改訂に
 より以下の通り「紛争中におけるドメイン名の移転の可否」を定めることにい
 たしました。

 (「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」より)

 > 第30条 紛争処理手続き開始の場合の特則
 >    第24条、第26条、第27条および前条の規定にかかわらず、紛争処理方針
 > 第8条によりドメイン名の移転ができない場合には、ドメイン名の変更、廃止
 > または移転に関して同条所定の期間が経過した場合または処理が行われた場合
 > を除き、当センターはその申請を受理しない。
 > 2 前項の実施に必要な事項、紛争処理手続き中の登録原簿の変更に関する処
 > 理その他紛争処理に付随する事項については、当センター所定の方法による。

(5) 「移転裁定」を出された申立人が登録規則に定められている登録要件を満た
  さないときの取り扱い

 「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」では、
 「一組織一ドメイン名」原則(登録規則第9条)、「ローカルプレゼンス」原
 則(JPドメイン名登録者は日本に住所がなければならない。登録規則別紙1)、
 並びに、組織種別による「登録資格」(登録規則第6条および別紙1)があり
 ます。

 これにより、「移転裁定」を出された申立人がこれらの原則・登録資格を満た
 していない場合、ドメイン名登録は移転されるものの、使用はできない(ネー
 ムサーバー設定されない)という状態が発生します。具体的には次のような場
 合が想定されています。

   a) 申立人がすでに属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名を登録して
    いる場合(「一組織一ドメイン名」原則に抵触)
   b) 申立人が、日本に住所を持たない場合(「ローカルプレゼンス」原則に
    抵触)
  c) 申立人が、登録資格を満たさない場合(例えば、株式会社が ORドメイン
    名の移転を受ける場合など)

 このため、処理方針に次の記述を加えることにいたしました。

 (「処理方針」第3条 第2文より)

 > 当センターは、さらに登録規則または他の法律上の要請に基づいて、ドメイン
 > 名登録の取消、移転の手続を行うことができる。ただし、移転がなされても、
 > 登録規則で定める登録資格・要件等が満たされないときには、当センターは当
 > 該ドメイン名のネームサーバ設定を行わない。

------------------------------
5.紛争処理機関の認定について
------------------------------

 「JPドメイン名紛争処理手続」を行う紛争処理機関については、現在国内外に
存在するこの分野を得意とする仲裁機関複数と協議を進めております。本処理方
針・手続規則が有効となる本年10月までには、いずれかの機関を紛争処理機関と
して認定させて頂き、その業務が開始されるよう JPNIC としても協力体制を整
えていくつもりでおります。

------------------------------
6.実体法整備の必要性について
------------------------------

 JPドメイン名が、第三者の商標その他表示を害する不正の目的で登録・使用さ
れているときには、この第三者とドメイン名登録者間には紛争があることになり
ます。「本処理方針および手続規則」は、この紛争を簡易・迅速かつ適切な手続
で解決する手段を、新しく提供するものです。この手段の利用は、法律的には、
JPNIC とドメイン名登録者間の契約ならびに JPNIC・ドメイン名登録者と上記第
三者(すなわち、紛争の解決を求める申立人)間の契約によって可能となるよう
構成されております。一方、この契約の内容は、原則、自由に決定できるもので
はありますが、他方「本処理方針および手続規則」は、公正を期すために裁判所
への出訴を許容しているところに大きな特徴があります。

 「本処理方針および手続規則」は、現在、商標その他表示を規整している商標
法または不正競争防止法等の保護対象または実体要件とは一致しておりません。
よって、「本処理方針および手続規則」の裏付けとなるような実体法が整備され
れば、堅固なものになります。すなわち、ICANN の uDRP(統一ドメイン名紛争
処理方針)において採用されている紛争処理の対象や実体要件をカバーする法律
が、アメリカでは「反サイバースクワッティング消費者保護法」(略称、ACPA)
として制定されておりますが、日本でもこのような実体法が速やかに確立される
ことが、望ましい姿であろうと思料いたしております。

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付録1:タスクフォース・メンバー一覧
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(敬称略、50音順、肩書は1999年12月15日現在のもの)

 主査
   松尾 和子(中村合同特許法律事務所 弁護士・弁理士、(元) 日弁連
                 知的所有権委員会 委員長、(現) 日弁連 知的所有権委員会
                 意匠・商標小委員会 委員長、日本商標協会 常務理事)

  メンバー
   押本 泰彦(押本特許商標事務所 弁理士、弁理士会 (元) 商標委員長、
          日本商標協会 事務局担当常務理事)
   小田 久司(富士通株式会社 法務部、JEIDA・EIAJ・JBMA 情報家電委員会
         知的財産権分科会メンバー、JPNIC DOM-WGメンバー)
   加藤 幹之(富士通株式会社ワシントン事務所長、ニューヨーク州弁護士、
          ICANN DNSO Names Council メンバー)
   菊池 武  (新橋国際法律事務所 弁護士、工業所有権仲裁センター
         副センター長、国際商事仲裁協会理事)
   久保 次三((元) 日本知的財産協会 商標委員長、WIPO PANEL OF EXPERTS
         メンバー、JPNIC DOM-WGメンバー)
   小島 武司(中央大学法学部 教授、法制審議会 民事訴訟法部会 委員、
                 (前) 民事訴訟法学会 理事長)
   佐藤 恵太(中央大学法学部 助教授)
   則近 憲佑(財団法人ソフトウエア情報センター(SOFTIC) 専務理事、
         WIPO PANEL OF EXPERTSメンバー)
   丸山 直昌(JPNIC 副理事長)
   水谷 直樹(水谷法律特許事務所 弁護士・弁理士、日弁連 知的所有権
         委員会委員、財団法人ソフトウエア情報センター(SOFTIC)
                 特別研究員)
   室町 正実(東京丸ノ内法律事務所 弁護士)
   矢部 耕三(ユアサハラ法律特許事務所 弁護士、日本商標協会 法制度部会
         副部会長)
 メンバー兼世話人
   坪 俊宏 (JPNIC DOM-WGメンバー、グローバルコモンズ株式会社 代表
         取締役)
 オブザーバ
   通商産業省、特許庁、郵政省

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付録2:関連文書
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 ・JPドメイン名紛争処理方針
    < http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00816.html >

 ・JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則
    < http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00817.html >

 ・タスクフォースレポート:「JPドメイン名紛争処理方針」第一次答申について
    < http://www.nic.ad.jp/ja/drp/jp-drp/tf-report.html >

 ・『ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース』の設置について
    < http://www.nic.ad.jp/ja/topics/1999/19991215-01.html >

 ・「ICANN 統一ドメイン名紛争処理方針」(日本語訳)
    < http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/icann-udrp-policy-j.html >

 ・「ICANN 統一ドメイン名紛争処理方針のための手続規則」(日本語訳)
    < http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/icann-udrp-rules-j.html >

 ・「反サイバースクワッティング消費者保護法(米国)」(日本語訳)
    < http://www.nic.ad.jp/ja/translation/domain/acp-j.html >


 以上。

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