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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.889【特別号】2011.9.22 ◆
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◆ News & Views vol.889 です
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『ネトボラ宮城』は、宮城県を中心に、被災地での「ネトボラ=ネットボラ
ンティア」を行う団体です。本号では、ネトボラ宮城で活動する筆者が、津
波の被害が大きかった宮城県本吉郡南三陸町を訪問した際のレポートをお届
けします。

なお、ネトボラ宮城活動レポートのバックナンバーについては、以下のURLか
らご参照ください。

□ ネトボラ宮城活動レポート
   ○[第1回] 「ネトボラ宮城」のご紹介 (vol.853)
     http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2011/vol853.html
   ○[第2回] パソコンのセットアップは虎の穴 (vol.861)
     http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2011/vol861.html
   ○[第3回] 季節は巡る (vol.867)
     http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2011/vol867.html
   ○[第4回] 人力アグリゲーション(vol.875)
     http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2011/vol875.html
   ○[番外編] あれから半年(vol.885)
     http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2011/vol885.html

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◆ ネトボラ宮城活動レポート [第5回]
   ~南三陸町訪問レポート~
                                  ネトボラ宮城代表/東北大学病院 佐藤大
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震災からちょうど半年となる2011年9月11日(日)から1泊2日で、津波で大きな
被害を受けた南三陸町に行ってきました。この日を南三陸で体感するための
合宿で、ネトボラ宮城と同じく仙台で活動している「ITで日本を元気に!」
(*1)が企画したものです。総勢30名以上が参加し、その約半数は東京など被
災地域外からの人達でした。南三陸町の被災者の方々が暮らす仮設住宅を訪
問して、現在抱えている問題点などを聞き、また仙台からの往復の間も津波
被災地の状況を確認しながら移動するという、とても密度の高い2日間でし
た。

(*1)「ITで日本を元気に!」
    http://revival-tohoku.jp/it/

9月11日のお昼時に南三陸町に到着し、歌津地区にあるボランティア運営の仮
設飲食店「あおぞら食堂」(*2)(客席は文字通り青空の下です)での昼食の後、
3班に分かれて歌津・志津川・南方の各地区に向かいました。私が行った歌津
地区では、仮設住宅の現状を見て回りました。

(*2)「あおぞら食堂」
    http://united-earth.jp/minamisanriku/2011/09/post-102.html
    http://ja-jp.facebook.com/pages/歌津-あおぞら食堂/204394366280494/

歌津地区で最大の、平成の森仮設住宅(246戸)では、この地区の仮設住宅の運
営を支援する「すばらしい歌津をつくる協議会」(*3)の方からお話を伺いま
した。最大の課題は、仮設住宅内のコミュニティ作りとのことでした。公平
を期して仮設住宅への入居は抽選だったのですが、結果的にあちこちの集落
から少しずつの世帯を寄せ集めた形になってしまいました。昔からの知り合
いコミュニティが分解された状況で、新たなコミュニティを作り上げる必要
があります。しかし現状では、自治会すら立ち上げられずにいる仮設住宅も、
まだまだ多いとのことでした。

(*3)「すばらしい歌津をつくる協議会」
    http://utatsu.jimdo.com/ 

また歌津地区の仮設住宅には集会所が無く、人が集まれる場所を確保する必
要があります。現在は、仮設住宅周辺の空き地を探して、集会所を建てさせ
てもらえないか交渉するという段階とのことでした。また吉野沢仮設住宅
(81戸)では、運動会で使うようなテントの中にテーブルや椅子、本棚などを
置いた集会所「福幸茶論」がありました。我々が前を通るとテントの中から
「煎餅食わねが? ほれ、うめぞ?」などと声を掛けてくれました。

歌津中学校の校庭には35戸の仮設住宅があります。またすぐ隣にある伊里前
小学校の校庭は津波の際に1メートルほど浸水しましたが、ここにも仮設住宅
が25戸あります。これらの仮設住宅にも集会所はありませんでした。歌津中
学校の教室は、授業再開以前は、歌津地区をサポートする「ビジョンネット」
(*4)の拠点として使われていたそうです。

(*4)「ビジョンネット」
    http://www.visionnet.jp/

自転車置き場をブルーシートなどで囲って作った風呂「魚竜の湯」(*5)もあ
り、万人に開放されています。今は各方面からの寄付で運営されていますが、
自力で収入を確保してスーパー銭湯のような憩いの場を、校庭にある仮設住
宅の人達に提供できないかと、作戦を練っているとのことでした。

(*5)「魚竜の湯」
    http://september-23.sblo.jp/

これらの仮設住宅には、もう一つ共通の問題がありました。仮設住宅の建物
はいわゆるプレハブです。屋根も壁も鉄板でできています。つまり、電波を
非常に通しにくい作りになっているわけです。その結果、携帯電話も3Gモデ
ムも、窓際でしか使えません。震災後の情報収集でインターネットが目立っ
たせいか子供達も含めてインターネット環境に対するニーズは高く、仮設住
宅では半数近くの世帯が使用希望を持っているそうです。しかし、せっかく
ユーザーが密集しているにもかかわらず、無線LANで一気にインターネット環
境を提供するという方法がとれません。かといって有線のネットワーク環境
を整備するには、最大で2年間、実際にはいつ出て行くか分からないという、
仮設住宅の利用期間は短すぎます。今やワイヤレスが主流になりつつあるエ
ンドユーザー向けの通信環境を、いかに確保するかが各地の仮設住宅に共通
の課題なのです。

ところで仙台から南三陸町への往復では、各所の津波被災地の現状を見て回
りました。

蒲生(仙台市宮城野区)と門脇(石巻市)はどちらも比較的新しい住宅地でした
が、今は鉄筋建築の残骸がわずかに残るだけで、他は民家の土台ばかりです。
瓦礫はほぼ片付けられ、集積場にうずたかく積み上げられています。交差点
の信号機はいまだに点灯せず、大きな交差点では警察官が交通整理を行って
います。

南三陸町では、志津川地区でも歌津地区でも戸倉地区でも、入り江ごとにあ
る集落で同様の風景を繰り返し見てきました。また海岸沿いのJR気仙沼線の
線路は、至る所で路盤の盛り土ごと削られ、橋桁は流されています。崖の中
途に残るトンネルを見て、かつてそこに線路があったことに辛うじて思い至
るという状況でした。

帰路で立ち寄った吉浜公民館(石巻市北上地区)では鉄筋コンクリートの太い
柱が折られ、石巻市図書館分館や雄勝硯伝統産業会館(どちらも石巻市雄勝
町)の鉄骨がめくれ上がった屋上には、津波で打ち上げられたバスやトラック
が乗ったままでした。

新北上川河口から5キロメートル上流にある新北上大橋は津波で流されたまま
開通できておらず、さらに15キロメートル上流の飯野川橋に迂回しないと、
新北上川を渡ることができません。新北上大橋のたもとには、津波で多くの
児童が亡くなった大川小学校があります。学校の周りは瓦礫の集積場になっ
ており、時折遺族が訪れる多くの花が飾られた祭壇のすぐ脇を、トラックや
重機が盛んに行き来していました。

女川町では港の岸壁が流され、地面も削られたらしく以前の道路の位置は定
かではありません。石巻へ向かう国道もにわか作りの砂利道でした。周囲で
は鉄筋コンクリートのビルが土台ごと横倒しになっていました。

これらはいずれも被災直後の話ではなく、被災から半年が経過した今現在の
状況です。ここに暮らしていた人達は、今はどこか知らない土地にいるはず
です。同じ場所に町が戻ってくるかどうかは分かりませんが、以前のように
住み、食べ、働き、笑えるようになるその日まで、彼らの存在を忘れずにい
たいと思います。


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
       ネトボラ宮城の詳細については、http://netvol-myg.w3m.jp/
                                              もご覧ください。
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 JPNIC News & Views vol.889 【特別号】

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