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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1090【定期号】2013.5.15 ◆
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詳細はこちら → https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20130510-01.html
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◆ News & Views vol.1090 です
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本号では、2013年4月7日(日)~11日(木)に中国の北京にて開催された、第46
回ICANN会議のレポートをお届けします。

今回のICANN会議についても恒例となった報告会を、IAjapanとの共催で5月
23日(木)に開催します。ご興味をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

第36回ICANN報告会開催のご案内
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20130510-01.html

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◆ 目次
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【 1 】特集 「ICANN北京会議報告」
【 2 】News & Views Column
       「デジタルネイティブ世代への雑感」
        株式会社ビーコンエヌシー  國武功一氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「Uniform Rapid Suspension (URS)とは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 1 】特集 「ICANN北京会議報告」
                            JPNIC インターネット推進部/IP事業部 奥谷泉
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2013年4月7日(日)~11日(木)に開催された、第46回ICANNミーティングの開催
地は、中国の北京でした。

CNNIC (China Internet Network Information Center)、CONAC (China
Organizational Name Administration Center)、ISC (Internet Society of
China)が共同でローカルホストを務め、会議全体の参加者は約2,600名と、過
去最大の参加者数ということです。このうち、ホスト国である中国からの参
加者は700名と発表されており、実際に見た感じでは約4分の1も現地参加者が
いた印象はありませんでしたが、これだけの登録数に至ったことは、ローカ
ルホストの貢献が大きかったと言えそうです。

またオープニングセレモニーにて、ICANN、CNNIC両者の幹部が前に出て地球
を模した巨大な球体を囲む一幕とともに、ICANNがアジアで初となる
「Engagement Center」と呼ばれるローカルオフィスを設立することが発表さ
れました。オフィスはCNNICのホストにより、北京に設立されるとのことで
す。


■ ICANN北京会議での主な議論・動向

今回の会議で最も着目されていたトピックは、過去数回の会議に引き続き、
やはり新gTLDであったように思います。

北京会議は、新gTLDにおいて申請に対する初回審査結果の発表が行われ、商
標保護を目的に新gTLD共通で参照する、商標データベースの運用が開始され
たタイミングでの開催であり、これから施行に向けて本格的な準備を進めて
いく段階に入っています。今回は、新gTLDに関するテーマで合計6セッション
が設けられました。

特筆点としては、新gTLD申請者向け契約および2013年版のレジストラ契約な
ど、新gTLDに向けた契約の施行が、ステークホルダーからの強い懸念を受け
て当初予定していた2013年4月23日(火)から延期となったことと、GAC勧告(新
gTLDプログラムで定められている政府諮問委員会による勧告)が会期中の4月
11日(木)に発表されたことが挙げられます。

また、新gTLD以外にも、WHOISの在り方に関する検討や、DNS技術やIPv6に関
するセッションも一定数開催されており、これらのセッションにはアドレス
管理のフォーラムでもお馴染みの顔ぶれが多く参加していました。会議全体
の中では新gTLD関連の話題ほど注目度は高くありませんが、それぞれの分野
において以降に記載する通り、重要な情報が共有されていました。


■ ICANN本部機能の地域化に向けた戦略

2012年9月のFadi Chehade氏によるCEO着任後、ICANNは米国中心ではなく、そ
れぞれの地域に身近な存在となることを強く意識しており、これは非常に新
しい動きです。

前回のトロント会議以降、「ハブ(Hub)」と呼ばれるICANNの本部機能を持つ
拠点を世界の3都市に置き、それぞれのハブは同等の重みを持った上で担当す
る地域と関わっていくことが発表されました。現在の米国ロサンゼルスオフィ
スを北米・南米の拠点とし、ヨーロッパ・中近東・アフリカ地域の拠点をト
ルコのイスタンブール、アジア太平洋地域の拠点をシンガポールに新設する
形で、本部機能を持つ三つのハブが設けられます。

今回の北京会議期間中に開催された4月11日(木)の理事会では、イスタンブー
ルハブのためのオフィス設立が承認されました。また、これらの三つのハブ
に加え、主要な地域・都市でのローカルオフィスの設立も進めており、5月3
日(金)に発表された、ウルグアイでの南米におけるEngagement Center設立
や、北京会議中に発表された北京でのEngagement Centerの設立もその一環で
す。ICANNでは東京オフィスの設立も検討しています。

それぞれの拠点でどういった地域連携を行うのかはまだ見えていませんが、
今後具体的な効果を期待したいところです。


■ 新gTLDに関する動向

新gTLDに関するICANN北京会議でのセッションは以下の通りです。

・全体スケジュールの報告(New gTLD Program Status)
・商標保護データベース(Trademark Clearinghouse)
・委任前試験プロセスの検証(New gTLD Pre-Delegation Testing Process
  Review)
・新gTLDレジストリ契約、2013年レジストラ認定契約および登録者の権利と
  義務(New gTLD Registry, 2013 RAA, & Registrants Rights &
  Responsibilities)
・IDN異体字プログラム(IDN Variant TLDs Program)
・新gTLDにおけるセキュリティ・安定性・回復力の報告(New gTLD Security
  Stability & Resiliency (SSR) Update)

1. 会議での主な論点

今回は、商標保護データベースと、新gTLDレジストリ向けの契約およびレジ
ストラ認定契約の改定が大きな議論を呼びました。

どちらの議論にも共通しているのは、一部のステークホルダーから見ると、
自分たちの意見や権利がICANN事務局に考慮されていないとの懸念であり、
GNSO Councilにて議論喚起を目的とした、異議申し立ての提案が提出される
動きもありました。

会期中の4月11日(木)に発表されたGAC勧告で挙げられた懸念も含め、新gTLD
の現状としては「プログラム全体としての施行は決定したものの、個々の部
分に関する具体的な施行内容については、ステークホルダーとの意見のすり
合わせが完了していない部分も多い」というのが実情なのかもしれません。

2.  申請審査結果の発表

新gTLDの申請についての初期審査が2013年3月より開始されており、結果は以
下のURLにて随時公開されています。2013年8月までに全申請の初回審査を終
了する計画ということです。本項執筆時点では、約300件の申請が審査完了と
して公開されています。

  New gTLD Current Application Status
  https://gtldresult.icann.org/application-result/applicationstatus/viewstatus/

3. 新gTLD向けの契約

北京会議での意見も考慮した最終的な改定案が、レジストリ契約およびレジ
ストラ認定契約ともに、現在ICANNのWebサイトで公示されています。

  Proposed Final New gTLD Registry Agreement
  http://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-29apr13-en.htm

  Proposed Final 2013 RAA
  http://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-22apr13-en.htm

レジストリ契約については、公正な契約改定プロセスの明文化、守秘義務の
追記、レジストリがTLDの運用または促進に利用できるドメイン名の予約(上
限100ドメイン名)など、ドメイン名の予約に関する基準の明確化が、北京会
議等で表明された意見に基づき反映されました。

レジストラ認定契約については、北京会議で表明された意見の反映も含めた
2009年版レジストラ認定契約からの改定点が、以下のICANNの発表資料にまと
められています。

  Proposed 2013 Registrar Accreditation Agreement - Webinar, 6 May 2013
  http://www.icann.org/en/about/learning/webinars/proposed-raa-06may13-en.pdf

4. 商標保護データベース(Trademark Clearinghouse; TMCH)

これは新gTLDの導入に伴う商標保護対策として、保護したい商標を登録でき
るデータベースであり、2013年3月26日(火)より登録の受け付けを開始してい
ます。

TMCHの登録方法については、JPNICでも以下のURLでご紹介していますので、
ドメイン名における商標保護に関心のある方はぜひご一読ください。

  ICANNトピックス:
  ICANNが新gTLDにおける商標保護データベースを2013年3月26日に提供開始
  https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20130227-01.html

一方、商標保護の対象と見なされる基準の適性、商標権を侵害された場合の
申立期間などについて、引き続き課題として検討が続けられており、登録後
の対応についてはまだ整備が必要との印象を受けました。

5. 名詞の単数複数問題

新gTLDの申請において、"Car"と"Cars"等、同一の名詞の単数と複数を異なる
ドメイン名として取り扱うことが判明し、消費者の混乱を招くとの強い懸念
がGNSOの一部メンバーから表明されました。GAC勧告でも同様の懸念が取り上
げられており、CEOのChehade氏も問題視しているとのことなので、今後何ら
かの対応が取られる可能性が高そうです。

6. GAC勧告

公共性や消費者保護の視点からの課題がまとめられており、新gTLDで申請さ
れている具体的な文字列にも言及しています。新gTLDの導入にあたり、それ
らの課題にどう対応していくのか、ICANNとして回答が求められています。

新gTLDの申請については主に、申請されている中で特定の文字列を持つgTLD
への懸念や、消費者保護などの観点からさらなる検討を必要とする課題、前
述の名詞の単数複数問題等、多岐にわたる課題と勧告を挙げています。

一例を挙げると、ダーバン会議にてGACでさらなる検討を進めるために、以下
の文字列については初期審査以上に処理を進めないよう勧告をしています。

.深セン(中国語IDN、センは土偏に川)、.persiangulf、.広州(中国語IDN)、
.amazon(および中国と日本語のIDN)、.patagonia、.date、.spa、.yun、
.thai、.zulu、.wine、.vin

また勧告では、新gTLD契約の施行までの、2013年レジストリ認定契約の取り
まとめ、新gTLDのWHOISへのGAC原則(GAC Principles)反映、国際オリンピッ
ク委員会・国際赤十字・赤新月社運動に関する文字列の保護、公共性への誓
約(Public Interest Commitment:PIC)についても言及しています。

本勧告に対するICANNの対応については、以下のURLで意見募集が実施されて
いました。

  New gTLD Board Committee Consideration of GAC Safeguard Advice
  http://www.icann.org/en/news/public-comment/gac-safeguard-advice-23apr13-en.htm

7. SSAC(セキュリティと安定性に関する諮問委員会)によるセキュリティ勧告

SSAC勧告SAC057では、新gTLDで申請されているドメイン名に対して、内部向
けCA(認証局; Certification Authority)証明書の仕組みを利用して、申請者
以外が証明書を発行できるセキュリティの脅威があったことが報告されてい
ます。これは対策を採らなかった場合に脅威が非常に大きいものであったこ
とが強調されながらも、既にCA Security Councilと連携して必要な対策は取
られているため、現在大きな問題はないということです。

  SAC057 - SSAC Advisory on Internal Name Certificates
  http://www.icann.org/en/groups/ssac/documents/sac-057-en.pdf

8. 今後のスケジュール

新gTLDの導入開始に至るまで、今後は以下のプロセスが予定されています。

・2013年6月~      新gTLD委任にあたっての事前試験:Pre-delegation 
                   Testing
・2013年6月中旬~  新gTLDレジストリ契約の標準契約書提示
・2013年9月~      競合する文字列の処理
・2013年10月~     申請の最終審査


■ 新gTLD以外の動向

新gTLD以外においても、WHOIS、DNS技術、IPアドレス関連の分野で以下に挙
げる議論や情報共有が行われており、いずれもそれぞれの分野において、把
握しておきたい議論や情報でした。

1. WHOIS

WHOISについては、目的および情報登録や公開の在り方を一から見直す検討が
継続しており、検討結果によっては、登録代行(いわゆるプロキシサービス)
の廃止等、登録時にgTLDの登録者が提供する情報が、現行のものから変更さ
れる可能性も考えられます。

今回の会議では、今後を見据えた青写真の策定にあたり、WHOISの目的、収
集・公開すべき情報について、コミュニティからのインプットを求めること
が行われました。大きな焦点は、登録情報の信頼性向上につながる十分な情
報の収集および公開と、個人のプライバシー尊重とのバランスです。

次回ダーバン会議までに、両者の必要性をどの程度考慮した案が策定される
のか注目したいところです。

2. DNS技術

DNSSECのワークショップは、IETFの立場でのSteve Crocker氏をはじめ、第一
線で活躍している講師陣ばかりを集め、また内容も多岐にわたり、日本から
の実例の紹介なども含まれた、実践的で大変充実した構成でした。動画と資
料も公開されていますので、興味のある方はご覧になってみてください。

  DNSSEC Workshop
  http://beijing46.icann.org/node/37125/

3. IPアドレス関連

ASO Workshopでは、ITU(国際電気通信連合)で以下のトピックスへの対応を検
討する動きがあることが紹介されました。

・Issue1: スパム対応
・Issue2: IPv4アドレスに関する国際ポリシー
   (a)利用されていないレガシーIPv4アドレス
   (b)IPv4アドレスの地域間移転
・Issue3: インターネットの普及に関する側面

既存の運用の在り方、アドレス管理を疑問視する声が一部の政府関係者から
上がっているとの話もあるそうです。なおITUでは、ITU理事会のインター
ネット作業部会による意見募集が2013年8月1日(木)まで行われています。こ
の意見募集には、ITUメンバーに限らず誰でも意見提出が可能です。

  CWG - Internet: Online Consultation
  http://www.itu.int/en/council/Pages/consultation.aspx


■ 日本におけるこの北京会議の報告会開催について

2013年5月23日(木)に開催予定の、第36回ICANN報告会(東京、シスコシステム
ズ合同会社 東京本社会議室)でも、北京会議の詳細についてご報告いたしま
す。ご興味のある方はぜひご参加ください。

  第36回ICANN報告会開催のご案内
  https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20130510-01.html


■ 次回の会議

次回のICANN会議は、2013年7月14日(日)から18日(木)にかけて、南アフリカ
共和国のダーバンで開催されます。

  http://meetings.icann.org/ICANN47/


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 ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
 ┃良かった                                                          ┃
 ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1090/ded4266f8c25cdf9bfb4fd66d02f5e17┃
 ┃                                                                  ┃
 ┃悪かった                                                          ┃
 ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1090/391f8c2749250e083c4f5b1646eb489f┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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【 2 】News & Views Column
       「デジタルネイティブ世代への雑感」
                                     株式会社ビーコンエヌシー 國武功一
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

つい先日生まれたと思っていた娘も、そろそろ4歳です。iPadでお絵描きをし
たり、ゲームに興じたりと、いわゆるデジタルネイティブ世代になるのでしょ
う。街角で見かけるサイネージを触ってみたときに、反応しないものがある
ことが不思議らしく、おもちゃを手に取った娘に画面を叩かれて、うちのテ
レビは傷だらけです。

この世代は、ブラックボックスをブラックボックスのまま使えるから、新し
いデバイスへの順応が容易なのだという人もいるようですが、ではブラック
ボックスのままではいられなくなったとき、どうすればいいのだろうと、ふ
と考えます。娘には、必要最低限のリテラシーを身に付けて欲しいと願うも
のの、一体何をすべきなのかというのは、今から悩ましいです。それなのに、
もし娘が、ネットワークやOSについて詳しく教えて!などと言ってくる日が
来たとしたら、一体何ができるだろうかと考えると、途方に暮れます。

普段の仕事でも、とかく人を育てることは難しいです。わざと憎まれ役を買っ
て出て、結果、憎まれただけで終わったであろう苦い経験もありますし、ほ
とんど何もしなくても立派なエンジニアに育っていく人も見ました。

人はいわゆるプロと呼ばれるようになるには、おおよそ1万時間掛ける必要が
あるそうです。1日8時間として、4年ほどでしょうか(はい、当然計算に休日
も入れてます)。十分条件ではないにしても、確かに技術的に優れていると思
う人は、おおむねそれに見合うだけの時間を掛けているように思えます。こ
の膨大な時間を一つのことに費やすには、その分野への強い知識欲なり、情
熱を持っていなければ難しいでしょう。結果、人を育てるというのは、いか
に動機付けをできるか、またモチベーションを維持させられるかということ
なのでしょう。それこそ非常に難しい。デジタルネイティブ世代といえども、
この前提は変わることがないでしょう。

今まで、いろいろな人に迷惑を掛け、また助けられて、どれほどのことがで
きているのか赤面することしきり。あんなエンジニアにはなるまいと反面教
師になっていることの方が多いかもしれませんが、せめてそんな人のモチベー
ションを削がないように心掛けよう。そんなことを考えながら、娘のオママ
ゴト(最近はドーナツ屋さん)に付き合わされる今日この頃です。


■筆者略歴

國武 功一(くにたけ こういち)

株式会社ビーコンエヌシー在籍。1997年三菱電機情報ネットワーク株式会社
入社。株式会社ドリームトレインインターネットへの出向、グルーオンパー
トナーズ株式会社、株式会社ネットワーク技術研究所(RINT)、アンカーテク
ノロジー株式会社を経て、現職。データセンタの運用などを行う。IPv4アド
レス枯渇対応タスクフォースにて、テストベッドWGや、教育WGのメンバーと
して活動。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「Uniform Rapid Suspension (URS)とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「Uniform Rapid Suspension (URS; 統一早期凍結)」とは、2013年から「新
gTLD (generic Top Level Domain; 分野別トップレベルドメイン)」が追加
されることを受けて、その新gTLDを使ったドメイン名をユーザーがセカンド
レベル以下へ登録するにあたり、企業などが持つ商標権を守るための仕組み
です。新gTLD共通で参照する商標保護データベースであるTrademark 
Clearinghouse (TMCH)(*1)」とともに導入されます。

TMCHが、商標文字列がドメイン名として他者に登録される前に対応するため
の事前対処的な仕組みなのに対し、URSはgTLDで従来利用されてきた紛争処理
策である「UDRP (Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy; 統一ド
メイン名紛争処理方針)(*2)」と同様に、ドメイン名登録後の事後的対処のた
めのものです。各新gTLDでの登録受付開始後に、商標権を侵害する文字列が
ドメイン名として登録された場合は、TMCHではなくUDRPやURSを利用して問題
の解決を図ることになります。

URSでは、申請受領後の事務的なチェックが済み次第、24時間以内にドメイン
名の登録内容がロックされ、ドメイン名の移転やレジストラ変更等ができな
い状態になります。その後、裁定で申請者の主張が認められれば、当該ドメ
イン名の利用が差し止められ、そのドメイン名を持つWebサイトなどにアクセ
スしても、利用差し止め中である旨を表示する紛争処理機関のWebサイトにリ
ダイレクトされるようになります。

ただし、UDRPと比べてより簡便な手続きであることから、裁定はいわゆる仮
処分的なものであり、URSで認められるのは恒久的ではなく、一時的な利用の
「差し止め」(当該ドメイン名の登録期限までですが延長は可能とされていま
す)だけです。ドメイン名の「移転」や「取り消し」はできず、その場合は
UDRPを利用することになります。

UDRPも対象を限定し、書面による1回のみの審理とすることで、裁判などに比
べ十分簡易・迅速な手続きを実現していますが、URSはさらに簡便かつ安価な
手続きであることがその特徴です。新gTLDの導入に伴いより多くの紛争発生
が予想されたことから、今回新たにURSが導入されました。URSの主な利用目
的としては、問題のあるドメイン名をまずは利用できない状態にした上で、
その間にUDRPや訴訟の準備をするなどが考えられます。また、「移転」や
「取り消し」までは求めず、「差し止め」ることを目的とする場合にも有効
です。

URSの申請費用は各紛争処理機関が決めることになっていますが、2013年5月
時点ではThe National Arbitration Forum (FORUM)とAsian Domain Name 
Dispute Resolution Centre (ADNDRC)が紛争処理機関に認定されているもの
の、費用は未定です。平均してUSD 1,500~3,000前後かかるUDRPよりは安価
になるはずですが、当初予定されていたUSD 300は上回る見通しです。

URSは、実際に新gTLDのドメイン名登録開始後に始まるものであることから、
いまだ書面ではわかりにくい未知数なところも残されていますが、現時点で
のURSの規則や手続きの詳細、認定紛争処理機関などについては、URSのWebサ
イト(*3)をご覧ください。

(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/tmch.html
(*2) https://www.nic.ad.jp/ja/drp/udrp.html
(*3) http://newgtlds.icann.org/en/applicants/urs/


■ 参考

新gTLDのページ(JPNIC)
https://www.nic.ad.jp/ja/dom/new-gtld.html

JPNICニュースレター49号「2012年初頭の新gTLD募集」
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No49/0800.html

ドメイン名を中心としたインターネットポリシーレポート 2013年4月号
「新gTLDの商標権保護策について」
https://www.nic.ad.jp/ja/in-policy/policy-report-201304.pdf


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2012年12月~2013年5月)
------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO   GA     GJ    PA   PJ   TOTAL
------------------------------------------------------------------------------------------
12/1| 268 3535 355406 658 28881 15852 7299 4766 1835 2544 766239 121937 4913 1266 1315399
 1/1| 268 3537 355942 656 28948 15820 7281 4777 1836 2541 766263 122394 6537 1915 1318715
 2/1| 268 3534 356039 653 28996 15784 7257 4779 1838 2536 767691 122782 7325 2139 1321621
 3/1| 268 3535 356471 651 29084 15751 7242 4778 1838 2532 768791 123185 8502 2576 1325204
 4/1| 266 3539 357186 636 29223 15696 7228 4786 1838 2523 771360 123573 8862 2769 1329485
 5/1| 265 3546 358197 631 29378 15667 7210 4790 1838 2521 774078 124489 9099 2885
------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからの割り振りとJPNICへの返却ホスト数(2012年11月~2013年4月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
  11 |     1024 |        0 |   93017022
  12 |     1024 |        0 |   93018046
   1 |        0 |        0 |   93018046
   2 |     1024 |        0 |   93019070
   3 |    76800 |    72704 |   93023166
   4 |     1024 |        0 |   93024190
------------------------------------------


□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2013年5月14日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      1 |
  B会員     |      2 |
  C会員     |      2 |
  D会員     |    104 |
  非営利会員|     10 |
  個人推薦  |     33 |
  賛助会員  |     42 |
 ---------------------
  合計      |    197 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2013年5月13日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           411


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2013.5.13(月)~17(金)        RIPE 66 (Dublin, Ireland)
                               WSIS FORUM 2013 (Gennva, Switzerland)
  2013.5.15(水)                第97回通常理事会(東京、JPNIC会議室)
  2013.5.23(木)                第36回ICANN報告会(東京、シスコシステムズ
                               合同会社 東京本社会議室)
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  2013.6.3(月)~5(水)          NANOG 58 (New Orleans, U.S.A.)
  2013.6.9(日)~21(金)         AfNOG-14 and AfriNIC-18 
                               (Lusaka, Zambia)
  2013.6.11(火)~14(金)        Interop Tokyo 2013[後援]
                               (千葉、幕張メッセ)
  2013.6.18(火)                第24回JPNICオープンポリシーミーティング
                               (東京、アーバンネット神田ビル)
  2013.6.21(金)                第50回通常総会
                               (東京、ホテルメトロポリタン エドモント)
                               第98回臨時理事会
                               (東京、ホテルメトロポリタン エドモント)
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  2013.7.4(木)~5(金)          JANOG32(大阪、大阪国際交流センター)
  2013.7.14(日)~18(木)        ICANN 47 (Durban, South Africa)
  2013.7.28(日)~8.2(金)       87th IETF (Berlin, Germany)


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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 JPNIC News & Views vol.1090 【定期号】

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