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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1809【定期号】2020.11.16 ◆
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◆ News & Views vol.1809 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。

本号の特集は、10月中旬から2週間にわたりオンライン開催された、第69回
ICANN会議についてお伝えします。第67回以降オンラインのみでの会議が続
いていますが、その中では今回は過去最高の参加者数であったそうです。

News & Views Columnでは、Internet Week 2020のプログラム委員を務める
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の小林裕士氏に、今後もさらに「わくわ
く」するインターネットとなるようにするための心得についてお書きいただ
きました。

また、インターネット用語1分解説では、トップレベルドメイン(TLD)で国際
化ドメイン名(IDN)を利用する際に、ドメイン名として利用できる文字列を規
定するためのルールである「ルートゾーンLGR」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「第69回ICANN会議報告」
【 2 】News & Views Column
        「「わくわく」するインターネット」
          独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター
          サイバー技術研究室  小林裕士氏
【 3 】インターネット用語1分解説
        「ルートゾーンLGRとは」
【 4 】統計資料
          1. JPドメイン名
          2. IPアドレス
          3. 会員数
          4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「第69回ICANN会議報告」
                                      JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2020年10月13日(火)から15日(木)、19日(月)から22日(木)の2週間にかけて、
オンラインのみで第69回ICANN会議(以下「ICANN69」)が開催されました。今
会合は年次会合と位置付けられており、オンラインのみでの年次会合は初め
ての開催となります。さらに初日の前週、5日(月)から8日(木)までは準備週
ということで、ポリシー策定状況報告オンラインセミナーなどが開催されま
した。

元来ICANN69はドイツ・ハンブルクで開催される予定でしたが、ICANN68に引
き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、全面オンラインで
開催されることとなりました。開催時間は中部欧州夏時間(UTC+2)だったため
日本時間と時差が7時間となり、遅い時間のプログラムは日本の夜遅い時間帯
での開催となりましたが、ほぼすべてのセッションが深夜から早朝となる米
国西海岸などに比べると、まだ視聴が容易だったと言えるでしょう。

参加者数は157の国と地域から1,616名もしくは1,792名(*1)ということで、
バーチャルのみの会議としては過去最高の参加者数となりました。セッショ
ン数は計113 (ソーシャルイベント含む、中止になったもの除く)(*2)となり
ました。以下、セッションのうち関心が高かったと思われるものを、いくつ
かご紹介します。

(*1) ICANN事務局が公開したブログ記事に記載された登録者数およびスケ
      ジュールサイトへのアクティブユーザー数
      https://www.icann.org/news/blog/thank-you-for-a-successful-icann69

(*2) ICANN69のプログラムページで数えた結果
      https://69.schedule.icann.org/agenda


■ EPDPフェーズ2進捗状況

gTLD登録データに関する迅速ポリシー策定プロセス(EPDP)チームは、2019年
5月にフェーズ1の検討が完了して以来、フェーズ2として以下の点について検
討してきました。

1. 非公開登録データへの標準化されたアクセス/開示システム(SSAD)

2. gTLD登録データに関する暫定仕様(TempSpec)の、コミュニティの決定に関
    する付属文書(*3)に記載された事項の検討(以下は主なもの)

    a. GDPRに適合した認証およびアクセスモデル
    b. 統一された匿名化メールアドレスの実現可能性
    c. 最終的な認証およびアクセス機構が完成するまでの間に正当な目的を
      持った利用者が非公開データを含む登録データにアクセスする方法

3. フェーズ1から先送りされた検討事項:

    a. WHOIS登録において法人と個人を区別するかどうか
    b. WHOIS中の(登録者が居住する)都市名項目

(*3) https://www.icann.org/resources/pages/gtld-registration-data-specs-en/#annex

EPDPチームは、2020年7月31日にGNSO評議会に対してフェーズ2の最終報告書
を提出し、GNSO評議会は9月24日に最終報告書を採択し理事会に送付しまし
た。ICANN69会期中に開催された理事会の議題にはEPDP関連のものはなく、今
後の会合で検討されると思われます。会期中10月21日に開催されたGNSO評議
会では、EPDP関連の残課題について検討されました。


■ 次期新gTLD申請手続きポリシー策定WG進捗状況(SubPro)

本WGでは2016年2月に検討を開始し、初回報告書が2018年7月、5項目にわたる
事項について議論した結果である追加報告書が同10月に発行されており、地
理的名称に関する追加報告書が2019年10月に発行されています。最終報告書
案は、2020年8月20日に公開され9月30日まで意見募集が行われ、50件以上の
意見提出があったとのことです。

ICANN69では、10月14日に2回セッションが開催され、次の2点について検討さ
れました。

・申請者サポート:経済的な必要性を示す新規gTLD申請者に経済的な支援を
                  提供し、プロボノ(専門家が知識やスキルを無償提供する
                  社会貢献活動)サービスプロバイダを紹介するプログラム
・コミュニティ申請:コミュニティ優先評価(CPE)に関連する規則とプロセス

ICANN69に引き続き、WGはそのチャーターに含まれる約40のトピックに関する
提出意見のレビューを継続しています。その際、WGは最終報告書向けの勧告
にどのような変更が必要かを決定することになっています。


■ gTLDにおける権利保護機構の評価

2016年2月に「すべてのgTLDにおけるすべての権利保護機構の評価」ポリシー
策定プロセスが開始して以来、フェーズ1としてUDRP以外のTM-PDDRP、URS、
TMCH、サンライズ、Trademark Claimsについて検討が行われてきました。
フェーズ1の初回報告書は2020年3月に公開され、5月上旬まで意見募集がなさ
れました。

2020年9月初旬までに、WGは55名から寄せられた初回報告書に対する意見の審
議を終えました。その後、WGは受け取った意見を検討して、第1段階の最終勧
告を策定することに焦点を当てました。さらに、同WGは商標権保護メカニズ
ムに関連し、Uniform Rapid Suspension (URS)紛争手続きの変更の可能性に
関するEPDPフェーズ 1 勧告 #27 についての、ICANN事務局によるWave 1
Reportから参照されている、競争・消費者信頼・消費者選択レビューチーム
(CCT-RT)が策定した勧告についても議論しました。

ICANN69の期間中、WGは10月13日に二つの作業セッションを開催し、URS手続
きが行われるべきということに関する言い回しについての勧告テキスト、お
よび今後のgTLD拡大ラウンドにおける「承認された開始プログラム(Approved
Launch Program)」を改善するための提案を含む、最終勧告案の検討結果につ
いてまとめました。WGは、最終報告書草案のレビューも開始しました。

ICANN69の後、WGは最終報告書草案の残りセクションのレビューを完了するこ
とが期待されています。その後、フェーズ1の最終勧告35件すべてについて、
必要なコンセンサス要求が行われる予定です。WGは、フェーズ1最終報告書を
2020年11月下旬に、GNSO評議会に提出することをめざしています。


■ DNS Abuse関連セッション

プレナリー(全員出席する本会議)セッションとして、「DNS Abuse:課題の検
討」と称したセッションが10月20日に開催されました。モデレーターはドイ
ツのインターネット業界団体ecoの、Thomas Rickert氏が務めました。

最初にICANN CTOのDavid Conrad氏がDNS全般の悪用行為の傾向を示したのち、
Jeff Bedser氏がSSACのDNS Abuse作業グループにより、今後提出される予定
の報告書の事前紹介を行いました。次に商用ステークホルダーグループ(SG)
のMason Cole氏より、DNSおよびDNS関連のステークホルダーのコミュニティ
における全世界的な公益を維持するため、悪用者およびその振る舞いに焦点
を絞ることの重要性が主張されました。

GACの公共安全作業部会(PSWG)からは、Chris Lewis-Evans氏が登壇し、教育
と適時性を重視し、エスカレーションパスを提供する共通のファシリテーター
による、エコシステム全体における対応の必要性を指摘しました。GNSO契約
者会議のJames Bladel氏からは、契約当事者の権限が限られていることを指
摘し、DNSの不正利用をコンテンツ固有の不正利用と区別しました。さらに、
業界では、50名以上の署名者が参加しているフレームワークなど、緩和の取
り組みが進められていることについても触れられました。

Rickert氏はICANNコミュニティに対し、DNS Abuseの共通定義についての合意
を促し、DNS Abuseに関する共通データを参照し、DNS Abuseに対して集団的
かつ積極的な行動をとるよう促しました。


■ GDPRを受けたWHOISの変遷

10月21日にプレナリーセッションとして、「GDPRを受けたWHOISの変遷:エン
ドユーザーへの影響と公共の安全」が開催されました。欧州連合の一般デー
タ保護規則(GDPR)に適合させるための、gTLD登録データ暫定仕様(TempSpec)
実装以来の、WHOISの変遷について探究する内容となっています。米国の法執
行機関からは、連邦取引委員会(FTC)よりLaureen Kapin氏が、一般の人々に
よるWHOISの利用のされ方、および特筆すべき苦情について発表があり、連邦
捜査局(FBI)のGabriel Andrews氏からは、捜査の観点から時機を得た、正確
なデータの入手の必要性について言及されました。

GNSO非商用SGで活躍されているMilton Muller氏は、ドメイン名登録者は個人
を特定できる情報を黒塗りにすることができる権利について主張し、さらに
WHOIS非開示情報へのアクセスシステム(SSAD)はGDPRに準拠する一方、標準化
され、中央管理され、効率的な方法であると述べました。

レジストラSGのOwen Smigelski氏からは、契約者会議からの視点として、デー
タ要求の傾向、データ開示に関するセキュリティの方策などについて発表が
なされました。


■ 理事会・GNSO評議会体制変更

設立以来7年にわたりccNSOの議長を務め、その後9年にわたって理事を務めた
Chris Disspain氏が今回理事を退任しました。さまざまな人にとって思い入
れが深かったためか、会期中に送別セッションが設けられ、理事長および事
務総長からのはなむけの言葉の後に、Disspain氏本人の思い出話がICANN事務
局コミュニケーションディレクターのBrad White氏との対談形式で続きまし
た。一方、新たにccNSO選出の理事として、チリ大学教授のPatricio Poblete
氏が理事会に加わりました。Poblete氏は理事になる前には、ccNSO副議長を
長く務めていました。

ICANN69をもって、GNSO評議会議長Keith Drazek氏(レジストリSG/契約者会
議選出)と副議長2名のうちRafik Dammak氏(非商用ユーザー部会/非商用SG/
非契約者会議選出)が退任し、後任にはISP部会/商用ユーザーSG/非契約者
会議選出のPhilippe Fouquart氏が議長に、非商用ユーザー部会/非商用SG/
非契約者会議選出のTatiana Tropina氏が副議長に選任されました。Dammak氏
は日本在住であり、ICANN報告会でお馴染みの方も多いと思います。もう1名
の副議長(レジストラSG/契約者会議選出)である、Pam Little氏は続投さ
れています。


■ 最後に

今回のICANN69も、前回に引き続きDNS Abuseが中心課題だったように思いま
す。GNSOにおいては、EPDPに関しては実装プロセスが開始するまでにまだ課
題が残されているようです。またSubProについてもまだしばらくかかりそう
で、gTLDにおける権利保護機構の評価についても、フェーズ2のUDRPの見直し
を開始するには時間がかかりそうと、いずれも長い道のりとなりそうです。

次回ICANN70は、元々の予定ではメキシコ・カンクンで開催されることになっ
ていますが、新型コロナウイルス感染症の状況次第では、オンラインに切り
替えられる可能性がありそうです。

ICANN69の内容を皆様に共有する、第59回ICANN報告会は12月3日(木)午後に開
催予定です。詳細は追ってお知らせします。


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  ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
  ┃良かった                                                          ┃
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  ┃悪かった                                                          ┃
  ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1809/51ffaaab21d43282cf63e43a973166b7 ┃
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【 2 】News & Views Column
        「「わくわく」するインターネット」
          独立行政法人情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター
                                            サイバー技術研究室 小林裕士
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筆者の所属を見て「産業サイバーセキュリティセンター」(*1)が何をしてい
るところであるか、「サイバー技術研究室」(*2)が何をしているかについて
気になった方がいらっしゃると思いますので、簡単に説明をしたいと思いま
す。

「産業サイバーセキュリティセンター」は、独立行政法人情報処理推進機構
内に設置された組織です。

日本における社会インフラを支える情報(IT)システム、産業制御(OT)システ
ムにおけるサイバー攻撃に対する防御力を抜本的に強化することを目的に、
実システムを模擬した演習環境を用いてサイバー攻撃防御やBCPの観点を取り
入れた対応策の検討等の実践、最新のサイバー攻撃動向の調査分析、業界を
横断したネットワーキングを通じて「社会インフラ」のサイバーセキュリティ
リスクに即戦力として対応できる人材育成や技術開発を実施しています。

「サイバー技術研究室」はホワイトハッカーを集めて「サイバー攻撃の調査
分析」を主事業とし、それに関連する技術開発やサイバー技術者のコミュニ
ティ形成等を実施している同センター内に設置された組織になります。

同センターは社会インフラを支えるサイバーセキュリティ人材育成を主事業
としている組織ですが、「サイバーセキュリティ」は太平洋より広く、エベ
レストより高さがあり日本海溝より深さがあるため提供している1年間のプロ
グラムではすべてを理解することは不可能です。

そこで同センターではサイバーセキュリティを前提としつつ「知らない技術
に出会ったときにそれを理解しようとするマインド」「理解するための適切
な調べ方」「理解できないときに聞くことのできる仲間」を持ち技術を真に
理解できるアーキテクトであり、レイヤ9(*3)セキュリティの視座を持つ人材
の育成をめざしています。

これはサイバーセキュリティにおいてインシデントレスポンス(事後対応)が
重要であり、これが前提という考え方が当たり前になりつつある昨今におい
てもシフトレフト(*4)の考え方も取り入れながら両輪でサイバーセキュリティ
対策を進めていかないと今後のサイバー攻撃に対抗できなくなることを危惧
してのものです。

筆者の所属する組織について興味を持たれた方はWebサイト(*1)で活動内容の
詳細を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

サイバーセキュリティの視点から技術を真に理解することのできる人材の重
要性を述べたところですが、インターネットにおいても同様のことが言え、
そのような方々がインターネットを作り上げてきたと言えます。

他方で目立たない多くのエンジニアの方々の活躍がインターネットを支え発
展してきたことを忘れてはなりません。

現在のインターネットは安定的に使えて当たり前となっており、これは今日
までに多くのエンジニアが尽力してきた賜物であると言えますが、1990年台
にインターネットが身近なものとなったときの「わくわく」感は薄れてきた
ように感じています。

昨今では高いレイヤ(*5)に興味を持つ若手エンジニアが増えており、これは
低いレイヤの技術が枯れて変化が少なく安定的なものになっているからと言
えますが裏腹に若手エンジニアが「わくわく」できる環境になっているとは
言えません。

若手エンジニアに「わくわく」してもらうためには低いレイヤの分野に興味
を向けてもらい、そこで"失敗体験"を体感してもらうことが重要と考えます。

これを実現するにはこれまでに低いレイヤで尽力してきたエンジニアの方々
と共にあった失敗できる"遊び環境"と同じものを若手エンジニアに提供する
ことが必要です。

臆することなく失敗できる"遊び環境"で、失敗するか、成功するかの結果を
気にせず挑戦し、その結果を体感し、その積み重ねが知恵となることが、
「わくわく」の源泉となります。

昨今ではインターネットが社会インフラとなり、"遊び"がしにくくなってき
ていて、筆者はPIアドレス(*6)やAS番号を取得してISPや組織から独立してイ
ンターネット"遊び"を趣味の一つにしているところですが、これは誰もがで
きることではありません。

"遊ぶ"には遊び方を知っていなければできませんので、これは遊び方を知っ
ている先輩エンジニアの方々の協力が必要不可欠です。

先輩エンジニアは若手エンジニアにその遊び方(知恵)や"遊び場"を伝承しつ
つ各々が単独ではなく、インターネットは過去と未来が連続してインターネッ
トであることから先人と後人が両輪となり協力していくことで、この"遊び"
が「わくわく」を生み、今後においてもインターネットを発展させつつも信
頼を維持し続けられる要であると筆者は考えています。

近い将来にエンジニア同士の縦の連携のみならず横の連携が強固なものとな
り今後もさらに「わくわく」するインターネットになるよう筆者もインター
ネットに携わるエンジニアのひとりとして"遊び"を提供できるように努めて
いく所存です。

来週からオンラインで開催される Internet Week 2020 「わくわく大作戦」
のプログラム委員としても活動させていただいております。「C41 日本のけ
しからん組織の人材がシン・テレワークシステムやSoftEther VPNのようなお
もしろICT技術を作る例が増えると各社で自然発生する正常な現象について」
を担当しており、こちらは大変有意義なセッションとなっておりますので、
ご興味のある方は是非ご視聴いただければと思います。

  C41 日本のけしからん組織の人材がシン・テレワークシステムや
  SoftEther VPNのようなおもしろICT技術を作る例が増えると各社で自然発生
  する正常な現象について - Internet Week 2020
  https://www.nic.ad.jp/iw2020/program/detail/#c41

  (*1) https://www.ipa.go.jp/icscoe/index.html
  (*2) https://www.ipa.go.jp/icscoe/activities/cyberlab.html
  (*3) OSI参照モデルの上位層としてレイヤ8(個人)、レイヤ9(組織)として
        定義されたもの
  (*4) アプリケーションソフトウエア開発において設計・開発段階からセ
        キュリティ機能を有することが推奨される概念
  (*5) OSI参照モデルにおけるアプリケーション層を指したもの
  (*6) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/pi-address.html
        https://www.nic.ad.jp/ja/ip/pi-application.html

■筆者略歴

小林 裕士(こばやし ひろし)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 産業サイバーセキュリティセンター
サイバー技術研究室所属。
JPCERT/CC にてインシデント対応の最前線で活動、東京大学にてサイバーセ
キュリティ人材の育成等の経験を経て、2016年より同センターの立ち上げに
参画し、2018年に同機構に入構。同室のサイバー技術者としてサイバー技術
の研究開発やサイバー技術者間のコミュニティ形成などに従事。

コミュニティ活動
・JANOG36・37・38・39・42でサイバーセキュリティに関するBoFを開催


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
          「ルートゾーンLGRとは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ルートゾーンLGR (Root Zone Label Generation Rules、ルートゾーンラベル
生成ルール)とは、DNSのルートゾーン、すなわちトップレベルドメイン(TLD)
空間に関するルールで、TLDで国際化ドメイン名(Internationalized Domain
Name, IDN)を利用する際に、ドメイン名として利用できる文字列(レベル)を
規定するためのルールです。

ICANNの新gTLDプログラムにより、gTLDでもIDNの利用が可能となりましたが、
すでに多くの実績がある日本語ドメイン名や中国語ドメイン名などといった
国や地域単位で利用されるccTLDでのIDNとは異なり、IDNを利用したgTLDでは、
さまざまな言語やスクリプト(用字、文字の種類)が混在することになります。
その中には、異体字と呼ばれる、文字の形は異なっているものの、言語的・
文化的には同じ文字として扱われるものが存在しています。

例えば、漢字の「国」と「國」は、日本語では異なる文字として扱われるこ
とが一般的ですが、中国語圏では同一の文字として扱われます。そのため、
ccTLDのIDNにおいては、日本語ドメイン名では「中国」と「中國」は別ドメ
イン名として扱われていますが、中国語ドメイン名では両者は同一のドメイ
ン名として扱われます。また、「机」と「機」、「葉」と「叶」などのよう
に、日本語では意味すら異なる文字が、中国語圏では同じ文字として扱われ
る例もあります。

このような扱いの違いはccTLDに閉じている間はそれほど問題になりませんが、
gTLDのようにあらゆる人々が利用する空間で使われる場合には、世界的に統
一されたルールがないと混乱が生じてしまいます。また、異なる文字種間な
どにおいて、例えばカタカナの「ニ」と漢数字の「二」のように、違う文字
なのに混同するくらい似た文字もあり、ラテン文字の「o」とよく似たギリシ
ア文字のオミクロンなど、TLDレベルではさらにその懸念がある組み合わせが
広がります。混乱を防ぐためには、文字種を混合して使わないなどのルール
を定めておく必要があります。さまざまな言語やスクリプトが混在する中で、
TLDの文字列(ラベル)として利用可能なものを規定するルールが、ルートゾー
ンLGRです。

ルートゾーンLGRの作成にあたっては、まずは各言語やスクリプトごとに、そ
れを用いるコミュニティごとに設立された生成パネル(Generation Panel, GP)
により、その言語や用字においてどの文字が利用可能かや、どの文字を異体
字にするかなどのラベル生成ルールを作成します。そうやって各GPによって
作られたルールは、ICANNの統合パネル(Integration Panel, IP)によって、
それぞれのルールが矛盾しないように整合性を持たせた形で統合作業が行わ
れ、最終的に単一の統合されたラベル生成ルールであるルートゾーンLGRとな
ります。

ICANNによるIPが2013年に設立された後、日本語ラベルのルールを検討するた
めの日本語生成パネル(Japanese Generation Panel, JGP)は、2015年2月に設
立、翌3月にICANNから承認されました。JGPでは、同じく漢字圏のGPである中
国語生成パネル(CGP)や韓国語生成パネル(KGP)、ICANN IPと連携しながら、
日本語ラベル生成ルール(日本語LGR)に関する検討を行っています。


■ 参考

  Root Zone LGR Project
  https://community.icann.org/display/croscomlgrprocedure/Root+Zone+LGR+Project

  日本語生成パネルWebサイト
  http://j-gp.jp/

  トピックス:日本語LGR提案書ドラフト(v0.15)をICANN関係者に共有
  http://j-gp.jp/topics/20201015-01


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2020年6月~2020年11月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO   GA     GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
  6/1|254 3684 433117 581 37619 12927 5778 5505 1891 2162 981728  92541  9575 1723 1589085
  7/1|254 3690 434370 590 37684 12919 5770 5522 1891 2160 985461  91654  9603 1669 1593237
  8/1|254 3693 435505 590 37773 12909 5763 5571 1891 2158 987631  91314  9619 1657 1596328
  9/1|254 3698 436409 592 37858 12891 5753 5626 1891 2157 990226  91095  9616 1673 1599739
  10/1|254 3702 437867 596 37922 12897 5735 5701 1891 2155 994648  90997  9626 1654 1605645
  11/1|254 3712 439378 608 37999 12879 5725 5786 1892 2152 998007  90811  9638 1643 1610484
--------------------------------------------------------------------------------------------

  GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
  GJ:汎用ドメイン名 日本語
  PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
  PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2020年5月~2020年10月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
    5 |        0 |        0 |   93300656
    6 |     1024 |        0 |   93301680
    7 |     2048 |     4096 |   93299632
    8 |     1024 |     1024 |   93299632
    9 |        0 |        0 |   93299632
  10 |     1024 |        0 |   93300656
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2020年10月13日 現在

  ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
  ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      0 |
  B会員     |      2 |
  C会員     |      3 |
  D会員     |     90 |
  非営利会員|      9 |
  個人推薦  |     29 |
  賛助会員  |     45 |
  ---------------------
  合計      |    181 |
  ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2020年11月9日 現在

    IPアドレス管理指定事業者数           466


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2020.11.2(月)~17(火)         IGF2020 (オンライン)
  2020.11.11(水)~12(木)        第20回迷惑メール対策カンファレンス
                                [後援] (オンライン)
  2020.11.16(月)~20(金)        IETF 109 (オンライン)
  2020.11.17(火)~27(金)        Internet Week 2020 (オンライン)
  2020.11.30(月)                第39回JPNICオープンポリシーミーティン
                                グ (オンライン)
  ---------------------------------------------------------------------
  2021.1.18(月)~25(月)         SANOG 36 (Federal Democratic Republic
                                of Nepal)
  2021.1.27(水)~29(金)         JANOG47 (福岡県、福岡国際会議場)
  ---------------------------------------------------------------------
  2021.2.8(月)~10(水)          NANOG81 (Atlanta, U.S.A.)
  2021.2.22(月)~3.4(木)        APRICOT 2021/APNIC 51 (オンライン)


      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
              https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
                  ◇              ◇              ◇
            メールマガジン以外でも、情報を発信しています!
              JPNICブログ  https://blog.nic.ad.jp/
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                YouTubeでは各種解説動画を公開しています
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      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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  JPNIC News & Views vol.1809 【定期号】

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