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ニュースレターNo.60/2015年7月発行

新gTLD導入状況最前線

1998年のICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)設立以 来、3回目となる新gTLD(generic Top Level Domain; 分野別トップレベルドメイン)の募集が 2012年に行われ、2013年10月23日に最初の四つがルートゾーンに追加されました。それ以降、順次 gTLDの追加が行われていますが、2015年5月時点でのgTLDの総数は600を超えています。本稿で は、これら新gTLDに関する、最新の状況をご紹介したいと思います。

新gTLD大量追加の背景にある「新gTLDプログラム」

このように大量にgTLDが追加されることになった背景には、ICANNが2012年から実施した「新gTLDプログラム」と呼ばれる、従来とは異なるgTLDの募集方式があります。

そもそも、「新しいgTLDの追加」はICANNの設立目的の一つでもありますが、それでも2000年と2003年の過去2回実施された募集では、それぞれ七つと八つ、計15の追加にとどまっていました。これは2000年の募集が「概念の実証(proof of concept)」と呼ばれたことからもわかるように、将来の追加に向けてのあくまで限定的なものだったからです。しかし3回目となる今回の募集では、ICANNは過去2回の追加を検証した上で、それを元にあらかじめ募集要項と要件を文書化し、それに沿った申請であれば原則として登録を認める(これを「準則的な登録」と呼んでいます)方向へと方針を変更しました。その結果、大量の申請がICANNに寄せられ、それらの多くが認められることとなったため、従来とは桁違いの数のgTLDが誕生することとなりました。

1,930件もの大量申請

この新gTLDプログラムに基づいた初回募集が2012年1月から4月にかけて行われ、全部で1,930件もの応募がありました。その内訳は、表1の通りですが、地域別に見ると北米(約900件)とヨーロッパ(約700件)からの申請が全体の約80%を占めています。一方、アジアからの申請は300件ほどとなっていました。このうち、日本からの申請は71件です。申請が圧倒的に少なかったのは、アフリカや中南米で、それぞれ20件程度の申請にとどまりました。(グラフ1)

また、申請されたTLDの種類で見ると、申請にあたって特に制限の無い「スタンダードgTLD」の申請が、1,780件(申請全体の92%)と大半を占めました。このスタンダードgTLDには、「.photo」や「.email」と言った一般名詞、また、いわゆる「ブランドTLD」と呼ばれる「.ibm」や「.sony」といった企業名を用いた申請がこれに該当します。

JPNIC’s RPKI mascot "Keiro-chan"

一方、今回の新gTLD募集では、申請にあたって特定の共同体またはコミュニティでの利用を前提とした、「コミュニティベースgTLD」と呼ばれるgTLDと、各国の都市名などを対象とした「地理的名称gTLD」と呼ばれるgTLDも募集対象でした。

例を挙げると、コミュニティベースgTLDは製薬業界などを対象とした「.pharmacy」、地理的名称TLDはみなさんもテレビのコマーシャルなどで目にされたこともある「.tokyo」などが該当します。ただし、これらのgTLDは申請件数全体に占める割合としては少数派で、今回はコミュニティベースがgTLDが84件(4%)、地理的名称gTLDは66件(3%)の申請となりました。

さらに、今回の新gTLDプログラムでは、gTLDにおいてはじめて国際化ドメイン名(IDN; Internationalized Domain Name)による申請が可能となりました。IDNは、DNS (Domain Name System)による名前解決を行う際に、Punycodeと呼ばれるASCIIのみからなる文字列に変換することにより、従来のDNSの仕組みを大きく変えることなく、漢字やハングル、アラビア文字やキリル文字などをドメイン名として利用できるものです。このIDNの導入により、各国の多様な言語や文化をドメイン名の世界にも反映できるようになるとされています。今回の募集では、1,930件の申請のうち、116件(6%)がIDNの申請でした。

2015年5月までの新gTLD追加状況

2013年10月から追加が開始された新gTLDですが、本稿を執筆している2015年5月20日時点までに委任され、ルートゾーンに追加された総数は631となっています。この631のgTLDについて、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

地域別に見たgTLD追加数

631件を申請者の地域別に分類した場合、次の表の通りとなります。(表1)

表1:申請の地域別分類

件数 国・地域
307 米国
41 ケイマン諸島
38 日本
31 ドイツ
19 英領バージン諸島、中国
18 アイルランド、イギリス
16 スイス
15 フランス、オーストラリア
14 ジブラルタル
10 香港
7 ロシア、スペイン、アラブ首長国連邦
4 オランダ、インド、デンマーク、カナダ、ブラジル
3 南アフリカ共和国、韓国、ベルギー
2 台湾、シンガポール、スウェーデン、メキシコ、
オーストリア
1 ウルグアイ、タイ、サウジアラビア、カタール、
ニュージーランド、ノルウェー、ルクセンブルク

まず、申請地域別に見た場合、もっとも多く新gTLDが登録されたのは米国の307件です。これは申請の時点で全体の半数近い900件ほどの申請があったことから考えると、ある意味当然の結果とも言えます。

また、2番目に多いケイマン諸島ですが、西インドにあるイギリスの海外領土であるこの島は、いわゆる「タックス・ヘイヴン」で有名です。今回の申請でケイマン諸島からの申請が多かった理由には、この恩恵を受けるために申請組織をケイマン諸島に置いているところが多いことによるのではないかと推測されます。

そして、現時点で3番目に多く新gTLDが委任されている地域は何と日本です。これは意外に思われる方も多いのではないでしょうか? 実際、申請件数ベースで見れば全体の3%ほどであるのに対して、委任済みベースで見れば6%と倍増しています。これは、日本からの申請の多くが企業名やサービス名などのいわゆる「ブランドTLD」であり、他者との競合などが発生せず、比較的早期に処理が完了する例が多かったためと考えられます。

種類別から見たgTLD追加数

先ほど説明した、「スタンダードgTLD」、「コミュニティベースgTLD」、「地理的名称gTLD」別に見た追加数は、次の通りとなっています。(グラフ2)

JPNIC’s RPKI mascot "Keiro-chan"

コミュニティベースgTLDは84件の申請中28件(33%)、地理的名称gTLDは66件の申請中47件(71%)の処理が終わり、レジストリへの委任とルートゾーンへの追加が完了しています。一方、スタンダードgTLDは、1,780件中の556件(31%)について処理が終わっています。

これを見ると、地理的名称gTLDは申請に際して、関係政府や地方自治体の「申請を支持する」もしくは「申請に反対しない」という文書が必要なこともあって、比較的スムーズに申請が処理されていることがわかります。

文字列から見たgTLD追加数

次は、現時点までに追加された新gTLDを、文字列の内容から見てみたいと思います。追加されたドメイン名を構成する文字列をいくつかの要素から比べてみると、次のようになります。(グラフ3)

JPNIC’s RPKI mascot "Keiro-chan"

申請時点と同様に、文字列の種別で見ると従来のASCII文字列によるドメイン名が全体の90%を超えています。IDNの文字列は現時点では10%にも達していません。追加されたIDNによるgTLDを申請地域別にカウントすると、次のようになります。(表2)

表2:IDN申請の地域別割合

件数 国・地域
11 米国、中国
7 香港
3 ロシア、ケイマン諸島、アイルランド、スイス
2 ドイツ
1 台湾、シンガポール、サウジアラビア、オランダ、韓国、オーストラリア

もともと申請数が多い米国を除けば、やはり中国や香港といった漢字圏の国から多くIDNが申請されています。また、それ以外にも、ラテン文字圏であり従来はASCII文字列によるドメイン名を使ってはいても、自国語本来の表記でドメイン名を申請したいというニーズのある国から、IDNの申請があるようです。

なお、日本国内からはIDNの申請は1件もありませんでした。漢字のTLDだけでなく、ひらがなの「みんな」なども、すべて米国や中国、香港など他国からの申請です。

一方、文字列が持つ意味合いから追加されたgTLDを見た場合には、次のようになります。(グラフ4)

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追加された新gTLDの文字列について単語としての意味を見ると、申請時点の件数を反映して、一般的な名詞や形容詞などといった文字列からなるドメイン名が全体の約70%と大半を占めています。

また、今回の新gTLDプログラムでは、企業が社名やサービス名などをドメイン名として登録するケースも多く、そういった登録が20%ほど発生しています。

なお、地理的名称はこのグラフでは47件となっていますが、今回の募集要件には該当せず地理的名称gTLDとして申請はされていないものの、スタンダードgTLDに分類されている中にも地域を強く意識したドメイン名が存在しています。そのため、もう少し広い意味での地理的なドメイン名ということだと、もう数件ほどは増えることになりそうです。

日本国内での新gTLD追加状況

2015年5月20日までに、日本国内からの申請に基づいて追加されたgTLDは全部で38件あり、その文字列は次の通りとなっています。(表3)

表3:日本国内からの申請で追加されたgTLD一覧

種別 ドメイン名 件数
企業名・
サービス名前等
dnp、gmo、nhk、suzuki、otsuka、ggee、kddi、lotte、jcb、ntt、toshiba、canon、goldpoint、yodobashi、epson、goo、mtpc、infiniti、datsun、nissan、komatsu、sony、honda、bridgestone、 toray、hitachi、nec、brother 28件
地理的名称 tokyo、nagoya、okinawa、ryukyu、yokohama、osaka、kyoto 7件
その他 moe、nico、earth 3件
※枠内の記載はICANNによる委任日順

日本国内での状況で特徴的なのは、新gTLD全体では名詞や形容詞といった一般名称が大半を占めていることに対して、企業名やサービス名等のブランドTLDの追加が大半を占めていることが見て取れます。また、新gTLD全体と比較した場合には、地理的名称が占める割合も比較的多いと言えると思います。

一方、現時点までに追加された新gTLDのうち、ブランドTLDや地理的名称を除いたgTLDはわずか3件しかありません。新gTLD全体で見た場合には、特定のスポーツや職業、趣味などを表す名詞をgTLDとして登録して、「○○向け」などという触れ込みで新しい登録ビジネスを開始する企業などが多く見受けられますが、他国と比較した場合にはそのような登録は少なく、あくまで自社のブランドをドメイン名として登録するに留める申請者が多いようです。このような状況からすると、新gTLDの積極的な活用を目的とした登録だけでは無く、これまでの各TLDにおけるセカンドレベルへの多数のドメイン名登録などと同様に、あくまで防衛的に登録している申請者もいるのかもしれません。

 

新gTLDの登録状況

ここまで説明してきた新gTLDの追加件数や文字列は、ICANNにより承認され、TLDの委任とルートゾーンへの追加が行われたものを対象としています。

実際にこのようにルートゾーンへ追加されたドメイン名を、ユーザーが利用できるようになるためには、さらにもう少し時間がかかります。レジストリとして登録受付のための準備をすべて整えた後、サンライズと呼ばれる優先登録を経て、すべてのユーザーが先願登録(早い者勝ち)で登録できる、一般受付が開始されます。一般的なユーザーにとっては、この状態になってはじめて「登録できるドメイン名の種類が新しく増えた」と言えるでしょう。

2015年5月20日までに追加された631件の新gTLDのうち、実際にユーザーからの登録が開始されたものも出てきており、各レジストリからICANNに毎月提出されるレジストリレポートにより登録数を知ることができます。レポートの提出にはタイムラグがあるため、現時点での登録数ではなく数ヶ月遅れではありますが、ここで新gTLDの登録状況を簡単に紹介します。なお、登録開始直後や優先登録期間中のTLDなどについては、登録数が0のまま数ヶ月経過する例も多々ありますので、ここでは上位50のTLDに絞って取り上げます。(表4)

表4:新gTLDの登録数上位50(2015年1月時点)

順位

ドメイン名

登録件数 順位 ドメイン名 登録件数
1 xyz 763857 26 solutions 33848
2

网址

200533 27 center 29304
3 club 175869 28 expert 27140
4 berlin 156295 29 koeln 26427
5 wang 114828 30 red 26145
6 realtor 91049 31 bayern 26101
7 guru 80981 32 ninja 25892
8 nyc 69604 33 technology 23438
9 在线 64368 34 help 21907
10 tokyo 64244 35 directory 21648
11 公司 62823 36 hamburg 20776
12 link 58471 37 audio 19363
13 ovh 56147 38 москва 19014
14 london 55980 39 moscow 18937
15 photography 51847 40 sexy 18278
16 email 48350 41 photos 17747
17 top 48038 42 agency 17517
18 today 45974 43 gallery
16485
19 中文网 45869 44 international 16185
20 网络 45680 45 academy 15956
21 property 38620 46 land 15419
22 company 37987 47 click 15216
23 website 35322 48 systems 15184
24 tips 35008 49 clothing 15096
25 rocks 34064 50 diet 14739

最後に

ここ最近のニュースやWebなどで、「新しいドメイン名がどんどん増えている」という情報は目にされている方も多いかと思いますが、実際にどのようなドメイン名が新しく増え、またどのぐらい使われているのかまでは、なかなか知る機会がないのではないでしょうか?

新gTLDの申請文字列一覧や進捗状況、また委任された文字列の一覧、登録数などをまとめた各レジストリのレポートはICANNのページで公開されていますので、ご興味のある方はぜひ一度ご覧ください。また、JPNICでも新gTLDの動向をはじめとした各種ICANN関連の情報を発信しているほか、メールマガジンでも最新動向をお届けしています。定期的に報告会などのイベントも開催していますので、ぜひご参加ください。

(JPNICインターネット推進部 是枝祐)


■ 参考情報
[JPNICによる情報提供]

JPNIC Web - ICANN情報
https://www.nic.ad.jp/ja/icann/
JPNIC Web - 新gTLD
https://www.nic.ad.jp/ja/dom/new-gtld.html
メールマガジン - JPNIC News & Views
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/
ICANN報告会資料
https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/
JPNICニュースレター49号(2011年11月)
「2012年初頭の新gTLD募集」
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No49/0800.html
JPNICニュースレター56号(2014年3月)
「新gTLDの委任に関する最新状況とそれに伴う問題点」
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No56/0240.html

[ICANNによる情報提供]

申請された文字列の一覧および申請処理ステータス
https://gtldresult.icann.org/application-result/applicationstatus
委任済みの文字列一覧
http://newgtlds.icann.org/en/program-status/delegated-strings
Monthly Registry Report
https://www.icann.org/resources/pages/reports-2014-03-04-en

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