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ニュースレターNo.61/2015年11月発行

資源管理を中心とするインターネットの歴史編纂活動についてのご紹介

JPNICでは2010年頃よりインターネットの歴史編纂に関する活動を行っています。本稿では、この活動についてご紹介するとともに、日本におけるインターネット資源管理に関する歴史を、海外の方々にも知ってもらうための取り組みについてご紹介します。

「日本におけるインターネット資源管理の歴史」英語版ができました

はじめに

ご存じの方も多いかもしれませんが、JPNICでは2010年頃から足かけ5年、資源管理を中心としたインターネットの歴史を編纂して、とりまとめた成果をインターネットで公開する活動を行ってきました。細々とではありますが、この歴史編纂活動を5年行ったことで、大きく分けて、次の二つのコンテンツをそれぞれ日本語と英語で公開することができました。

(1)インターネットの歴史年表(年表)

日本語版: https://www.nic.ad.jp/timeline/
英語版: https://www.nic.ad.jp/timeline/en/

(2)日本におけるインターネット資源管理の歴史(読み物)
〜ドメイン名とIPアドレスを中心とした日本のインターネットの歩み〜

日本語版: https://www.nic.ad.jp/timeline/20th
英語版: https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/

このうち(2)は、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)と協働して作ったもので、その英語版は、JPNICとJPRSとでなる「歴史編纂チーム」の集大成として、2015年5月7日に発表したものです。

今まで歴史編纂の活動の内情について、特にお知らせすることはありませんでしたが、(2)の英語版の完成をもって、活動には一区切りつきました。しばらく大きな活動もなくなると考えられるため、本稿では、この歴史編纂活動と、(2)の読み物作成についてご紹介します。

「日本におけるインターネット資源管理の歴史」編纂のきっかけ

なぜこのような活動をすることになったかというきっかけは、JPNICが2011年に前身であるJNICの時代から数えて20年、2013年にJPNICという名前になってから20年を迎えるにあたり、「そもそものインターネットの成り立ちや、その中でなぜJPNICが資源管理をすることになったのかという背景を知らない方が増えてきている」と感じていたことにあります。

背景を知らないからと言って、インターネットの利用に直接的な支障が出るわけではまったくありません。しかし、インターネットがインフラの一つと数えられるようになって以降、その上で何か問題が起こる度に、その問題がインターネットの特性や成り立ちに起因するものなのか、グローバルであるがゆえに起こることなのか、それともデジタルであるがゆえのことなのか、はたまた利用者個人の利用法などに起因するものなのか等々、整理して議論されていないことも散見されてきました。

そのため、そもそもインターネットとは何か、どのように発展してどう動いている(誰がどう動かしている)のか、自律・分散・協調の考え方等の、インターネットの特性、理念や思想のようなものについて、それに関わるエンジニアはもちろんのこと、一般のユーザーの方々にも共有されれば、インターネット上で身近に起こる問題の整理や解決に少しは役立つだろうという期待がありました。

また折しも20年という節目を迎えるにあたって、そろそろ今までの経緯をまとめておかないと、急なことで当事者にコンタクトが取れなくなったり、貴重な資料がなくなってしまうことがあるという思いも関係者の中では生まれていたようです。

こうして、この活動が始まりました。

「インターネットの歴史年表」と、読み物「日本におけるインターネット資源管理の歴史」ができるまで

歴史編纂をはじめたきっかけや目的、そしてその難しさや迷いについては、2013年に発行したメールマガジンでもお知らせしました。そこに書いた通り、やり始めてわかったことは、ある一つの出来事をとっても、それを誰がどう捉えるかによって、まとめようが何通りにもなるという現実でした。認識は十人十色にもなり得る中で、誰か1人の主観を代弁する編纂では意味がありません。しかしそれをどうにか乗り越えるにしても、チームの知識も力量も圧倒的に不足していました。そのため、いろいろな情報が散逸してしまう前に、まずは客観的な事実だけでも取りまとめて整理しようと、年表という手段を選択し、作成に着手しました。その成果として、さまざまな情報を整理し、事実を時系列順に並べ、カテゴリ別に眺めることができるようにしたのが、2013年に公開した「インターネットの歴史年表」です。この年表作成は、結果としてメンバーの知識レベルを上げることにも大きく役立ちました。

この年表は公開時に大きな反響も呼び、多くの方から「大変役に立った」というありがたいコメントを本当にたくさんもらいましたが、実は、あの年表が出来上がったことで一番ありがたかったのは私たち自身だったように感じています。

年表作成を通じて過去の歴史についてもある程度整理がつき、また具体的な見通しも立ったため、いよいよ、JPRSと共に読み物を作る活動に着手しました。手軽に読んでもらえることを目指し、読み物の作成にあたってはブックレットの形式としました。通常このような文書には、年代順で説明した編年体のスタイルもありますが、すべてを年代順にするとわかりにくくなるため、トピックスに分けてそれを年代順に解説する形式にしました。順番に読んでも、興味のあるところだけ読んでもよい形式となっています。

この読み物は当初、「JPNIC20年の歩み 日本のインターネットとともに」という題で紙媒体(ブックレット)として作成し、JPNICの20周年パーティなどでお配りしました。しかしより多くの方に読んでもらいたいこと、また紙面の都合で書き切れなかったこともあったために、エピソードやリファレンスを追記し、さらに時間を掛けて増補版として作ったのが、10章立ての「日本におけるインターネット資源管理の歴史 〜ドメイン名とIPアドレスを中心とした日本のインターネットの歩み〜」です。

これについて、以下に各章の概要をご紹介します。ご興味のあるパートがあればぜひご覧ください。

第1章 資源管理とレジストリ
第1章では、IPアドレスとドメイン名に関して、そもそもIPアドレスとドメイン名には性質的にどういう違いがあるのかを踏まえた上で、その管理やレジストリの役割や業務の違いについて説明しています。なお、ドメイン名とIPアドレスそのものの説明は「付録」に記してあります。
第2章 JNIC発足前の資源管理とJPNICの設立
第2章では、JNIC/JPNICができる前、そもそもどのようにインターネットが日本に入り、TCP/IP導入当時の状況や、ドメイン名やIP アドレスがどう管理されていたのかに触れています。その後、JNICやJPNICの設立にも言及されています。
第3章 JPNICによる資源管理への本格的な体制整備
第2章のように始まった資源管理ですが、その仕組みが安定的に運営されるために、JPNICがどのように組織的な体裁を整えていったのか、どのように財政基盤を持とうとしたのか、そしてどうインターネットコミュニティの中心になることを目指したか、また名前の由来でもあるNetwork Information Centerとしての情報発信などが中心に記述されています。
第4章 ドメイン名における資源管理方針の変遷
第4章では、「ドメイン名」に焦点を当て、インターネットの広がりに応じたドメイン名空間の構築や、ポリシーや規則類をどう整備していったかを振り返ります。
第5章 本格的インターネット時代のIPアドレスポリシー
第5章では、「IPアドレス」に焦点を当てます。ドメイン名は、状況に応じて空間を広げることが比較的容易ですが、IPアドレスは、規格で上限数が限られた中での運用を余儀なくされます。インターネットの拡大により、経路が増え、またそれまでの分配方法ではアドレスが枯渇することも視野に入ってきました。
第6章 グローバルなIPアドレス管理体制の確立へ
第6章では、IPアドレス配布の一意性を守りながらも、IANAを頂点として、地域インターネットレジストリ(RIR)、国別インターネットレジストリ(NIR)、LIRという階層構造がグローバルに確立していく様子を中心に記載されています。
第7章 ICANNによるグローバルなドメイン名管理体制
インターネットの各種資源を民間主導で調整することを目指し、1998年に米国でICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が作られました。その設立までの背景と、ICANNが持つ特徴的な仕組み、日本からのICANNへの関与について述べています。このICANNを巡っては、今現在、「インターネットガバナンス」の観点でも大きく話題になっているところです。
第8章 汎用JPドメイン名とJPRSの設立
第8章では、JPドメイン名の登録管理業務が、それまで業務を実施してきたJPNICから、株式会社であるJPRSが設立されて移管されることになった経緯が書かれています。またこの移管と時を同じくして、「JPドメイン名紛争処理方針」「汎用JPドメイン名」なども次々導入されたことも紹介されています。
第9章 登録情報の「公開」と「開示」
ドメイン名とIPアドレスを管理するレジストリの役割は、「DNSの運用」と「登録情報の管理」に大別されます。この登録情報は、インターネットの初期は、運用の調整や有事の対応などを考えてすべてインターネット上で公開されていました。しかし、インターネットの普及に伴い、こうした登録情報の取り扱いに関する議論が起こり、また個人情報保護法への対応も迫られることになりました。この章では、これらの経緯が記されています。
第10章 IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6
インターネットの商用化とともにインターネットが広がり、そのためのアドレス確保に向けた設計として、CIDR(Classless Inter-Domain Routing)やIPv6の規格策定などがされたことは、第5章に述べられています。この章では、それ以降、現実感を増してきたIPv4アドレス在庫枯渇に向けた動きや、日本のIPv6推進に向けた努力等について述べられています。
画面: 日本におけるインターネット資源管理の歴史
● 章ごとに公開していますので、好きなところから読み始められます

英語版の作成

Webにこの「日本におけるインターネット資源管理の歴史」を公開したあとは、ラストスパートとして、これを英訳する作業に着手し始めました。

「日本の歴史なのに英語版が必要??」と意外に思われるかもしれませんが、歴史編纂の活動を行っていて特に気になっていたことは、こうした日本のインターネットの歴史を記した英語で読めるコンテンツがほとんど残されていないことでした。日本語では、断片的にでもいろいろな記録がまだまだネット上に残っています。しかし、それの英語で書かれたものとなるとその数がグッと減ります。それによって、1990年代から2000年代にかけてインターネット発展のパイオニアとして尽力した日本の功績が、グローバルに知られないのはもったいないという気持ちもありました。昨今、グローバルにも、インターネットの歴史を記した文書やWebサイトを作る組織も増えています。APNICでも次のドキュメントを公開しています。

History of APNIC
https://www.apnic.net/about-APNIC/organization/history-of-apnic

これらの中で、日本から見た観点の文書の必要性は明らかでした。英語版作成にあたっては、上記のAPNICの文書も作り上げた、元APNICのGerard Ross氏に、英語での言い回しなど、多大なるご協力をいただきました。この英語版は、「直訳しても意味が不明であろう」と思われるところを除き、原則的に日本語版が忠実に英語化されています。

おわりに

最後にこの「日本におけるインターネット資源管理の歴史」を作った、歴史編纂チームのメンバーをご紹介します。

リーダー 佐野晋
JPNIC 秋山智朗、是枝祐、佐藤香奈枝、佐藤晋、根津智子、前村昌紀
JPRS 宇井隆晴、森下泰宏、渡辺俊雄

冒頭でも書いたように、我々が行ってきたこの歴史編纂の活動については、今回の英語版の公開をもって、大きな活動としては一段落したと考えています。しかし、これからも資料の整理やアップデートなどは継続的に行っていかなくてはなりません。もしご要望や、お気づきの点がありましたら、ぜひhistory-comment@nic.ad.jp までお知らせください。お待ちしています。

(JPNIC インターネット推進部 根津智子)

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