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ニュースレターNo.62/2016年3月発行

第94回IETF報告 IETF会合に初めて参加して

今回のIETFは日本ということで、 参加しやすいミーティングだったのではないでしょうか? また、初めてIETFに参加する場としても、 よい機会だったのではないかと思います。 筆者もその1人です。

IETFでは、初回参加者向けに、 専用のオリエンテーションやイベントを用意するといった取り組みを実施しています。 本稿では、実際にIETFに初めて参加した筆者より、 初回参加者向けの各種企画へ参加した感想と、 初めて参加するWGとして選んだRDAP (Registration Data Access Protocol)関連の議論を行っている、Extensible Provisioning Protocol Extensions (EPPEXT) WGの報告をお伝えします。

事前の準備

今年は、Internet Society日本支部(ISOC-JP)とJPNICの共催で、 日本でもIETF勉強会が開かれるなど、 IETF 94横浜ミーティングに向けて準備の取り組みがありました。 勉強会そのものには、 残念ながら私は都合が合わず参加できなかったのですが、 豊富な資料が公開されていたので、空き時間に確認していました。 会期前後で自分と同じく日本からIETFに初めて参加される方と話をしたところ、 「この資料を参照することで安心して参加できた」という声を聞きました。

IETF勉強会の開催レポート

第94回IETFミーティング横浜開催に向けて
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2015/vol1323.html
IETF横浜ミーティングへの参加の前に
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2015/vol1348.html

IETF勉強会の資料

第1回IETF勉強会
https://www.isoc.jp/wiki.cgi?page=PreIETF93
第2回IETF勉強会
https://www.isoc.jp/wiki.cgi?page=PreIETF94

参加当日の状況

参加する前に迷ったのが、 当日に行う必要があるレジストレーションの詳細です。 「レジストレーションでは何をするのか?」ということ自体が謎でしたが、 参加経験者に話を聞くと、 単に自分の名前を名乗ってバッジをもらうだけとのことでした。 また、参加者数が1,000人を超す規模の大きなミーティングなので、 「当日は大行列の中に待つことになるのか?」といった疑問もありました。 こちらも参加経験者に話を聞くと、 特に準備をせず並ぶだけで問題無いとのことでした。 実際、当日レジストレーションに行ってみると、 1,000人が一斉に並んでいるということは無く、 数十名程度が何列かに分かれて並んでいるだけで、 それほど心配することはありませんでした。 受付で渡されたものはネームカードと、 初参加者であることを示すニューカマーバッジ(シール状になっており、 ネームカードの上に貼り付けるもの)でした。 なお各会場では、 机付きでPC用に電源のある席は前の方に数列しか無く、 大半の席は単に椅子が置いてあるだけなのですが、 参加者は特に問題にする様子は無く、 ラップトップPCを膝に置いて参加していました。

初日のオリエンテーション

IETF 94初日の11月1日(日)は、Newcomers' Orientationという、 IETF初参加者向けのセッションがありました。 日本語のオリエンテーションが併催され、 私は日本語のセッションに参加しました。 担当は、 株式会社レピダムの林達也氏とエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の小原泰弘氏で、 今回用いた資料は元々英語版で作成されていたものを、 日本語版に直したものとのことでした。

Newcomers' Orientation 日本語版資料URL

http://wiki.tools.ietf.org/group/edu/attachment/wiki/IETF94/94-newcomers-japanese.ppt?format=raw

オリエンテーションの演題は「IETFの構造とインターネット標準の標準化プロセス」というもので、内容は、 IETFがどういった団体でどのように運営されているのか、 また、RFCなどインターネット標準となるIETF文書がどのようなプロセスで策定されているのかが、 わかりやすく解説されていました。

写真: Newcomers' Orientationの様子
● Newcomers' Orientationの様子

IETFの組織構造に関しては、 IETFで扱う技術分野は多岐にわたることから、 分類としてまず大きく技術分野をエリアというくくりで分け、 さらにエリア内にワーキンググループ(WG)を置いて管理している構造になっています。 初参加者は、 自分が興味のある技術分野がどのエリア・WGで扱われているのか、 確認するところから始める必要があると感じました。

ほかに、オリエンテーションの中で、 ハム(Hum)という賛同を示す発声方法の練習をしたり、 オープンマイクで話すときの注意点を聞いたりしました。 IETFでは、ある議論について賛成の意思表示をするため、 ハム(Hum)という口を閉じて、 唸り声を出すような方法を採ることがあるということでした。 また、オープンマイクで話すときは、 議事メモを残す都合や遠隔参加者への配慮のため、 必ず名前を伝えてからマイクで発言するようにとのことでした。 それに加えて、セッション参加中にはブルーシートという、 所属と名前を記入する紙が回されるので、 適宜記入する必要があるという案内もありました。 こうした諸案内により、私はセッションに参加した際に、 作法的な面で戸惑うことはありませんでした。

なお、 先にレジストレーションデスクでもらったニューカマーバッジを付けていると、 それなりに先輩参加者が配慮して接してくれるので、 この機会に必要な挨拶・情報交換など交流をすると良いという話もありました。

オリエンテーションの良かった点としては、 初参加者向けに必要な情報が、 2時間程度でまとまって提供されることがあります。 IETFのWeb上に、 初心者向けのガイドが載っていて、 有益な情報が満載されているとは思うのですが、文章量が多いため、 初参加者がいきなりこれを読むよりは、 こういった口頭での導入があると助かると感じました。

Newcomers' Meet and Greet

オリエンテーションの後、 ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテルのBayview Roomという部屋で、初参加者向けの集まりがありました。 こちらではお酒が提供され、 懇親会のように歓談するスタイルとなっていました。 初参加者向けの配慮としては、 IETFのエリア・WG一覧の紙資料(5ページ程度)が入口で渡された点と、 室内に複数設置してあるテーブルにIETFのエリアを示すプレートがそれぞれ立てられており、 その近くにエリアディレクターやWGチェアがいて、 話ができるようになっていた点があります。 会場は大盛況で、 かなり大きな声で話さないと至近距離でも何を言っているのか聞き取りづらいほどでした。 また、先のオリエンテーションで話のあった、 ニューカマーバッジを付けていると先輩参加者が配慮してくれるというのはその通りで、 この集まりの最中に、 チェアの何人かがニューカマーバッジを付けている私を見つけて話しかけてくれ、 円滑にコミュニケーションを取ることができました。

参加したセッションの報告

ここまで書いたように、 筆者は今回の横浜会合がIETF会合初参加だったのですが、 初めて議論に参加するWGとして、下記のWGを選びました。

Extensible Provisioning Protocol Extensions (EPPEXT) WG

筆者が今回のIETFに参加した動機は、 各種技術の最新動向を追うことのほか、 RDAP (Registration Data Access Protocol)関連の動向について情報収集することにありました。 RDAPは、WHOISに置き換わるプロトコルとして、 WEIRDS (Web Extensible Internet Registration Data Service)というWGにおいて標準化が進められたもので、 RFC7480~7485において文書化され、 WEIRDS WGは2015年3月に活動を終了しました。 WEIRDS参加者用MLはその後も残っており、 RDAP関連の議論が散発的にされていたのですが、 EPPEXT WGの方でもRDAP関連の提案がされることがあり、 扱う技術が重複していました。 そのため、RDAP関連の議論を継続して行う場として、 WEIRDS WGとEPPEXT WGを統合した、 REGEXTという新たなWGを発足させることをML上で議論していました。 今回のIETF横浜では、 まずはEPPEXT側の残課題について確認と議論がされた後、 新WGのマイルストーンについて議論がされました。 チェアの提示したマイルストーンについて異論は無く、 新しいWGのチャーター(設立趣意書)の作成を別途進めていくということになりました。

IETF 94参加者向けML

会期前後を通じて、IETF 94参加者向けMLにも登録していました。 MLには2種類あり、初参加者向けの[94-1st-timers]と、 IETF 94参加者全体向けの[94attendees]とがありました。

初参加者向けの[94-1st-timers] MLはあまり流量は無かったのですが、 会期1週間ほど前に初参加者向け情報がまとまって投稿され、 まずはそのメールを見て活動計画を立てれば良いという点で役立ちました。

IETF 94参加者全体向けの[94attendees]のMLはとても活発に投稿があり、 主に海外から参加した人の疑問と、 それに対する回答がされていました。 内容は、空港から会場への移動方法の詳細や、 日本でのお金や通信のことといった現地滞在の基本的なノウハウから、 各種観光情報のやりとりなど多岐にわたっていました。 私は余裕が無く、 海外参加者に回答をすることはできなかったのですが、 日本人の参加者がボランティア精神を発揮して、 積極的に回答されていました。

会期終了後の[94attendees]では、 「横浜開催のIETFに参加できて良かった」という、 海外からの声が多く投稿されていました。 参加経験者に話を聞くと、 他の開催地ではあまりそういった感想は無いようで、 日本的な社交辞令の範囲でなく、 実際に日本人のおもてなしに満足いただいた方が多くいらっしゃったのではないかと思われます。 もちろん、私も今回の参加に満足した1人です。 初参加者向けに、 さまざまな取り組みをしていただいた皆様に感謝いたします。

写真: IETF初参加者を示すバッジ
● IETF初参加者を示すバッジ

(JPNIC 技術部 澁谷晃)

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