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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1313【臨時号】2015.6.9 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1313 です
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本号では、JPNICが数年にわたって行ってきた、資源管理を中心としたイン
ターネットの歴史を編纂する活動についてご紹介します。

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◆ 資源管理を中心とするインターネットの歴史編纂活動についてのご紹介
   ~「日本におけるインターネット資源管理の歴史」英語版ができました~
                                   JPNIC インターネット推進部 根津智子
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■はじめに

ご存じの方も多いかもしれませんが、JPNICでは2010年頃から足かけ4年、資
源管理を中心としたインターネットの歴史を編纂して、とりまとめた成果を
インターネットで公開する活動を行ってきました。細々とではありますが、
この歴史編纂活動を4年行ったことで、大きく分けて、以下二つのコンテンツ
をそれぞれ日本語と英語で公開することができました。

  (1)インターネットの歴史年表(年表)
       日本語版:https://www.nic.ad.jp/timeline/
       英語版:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/

  (2)日本におけるインターネット資源管理の歴史(読み物)
     ~ドメイン名とIPアドレスを中心とした日本のインターネットの歩み~
       日本語版:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/
       英語版:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/

このうち(2)は、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)と協働して作ったも
ので、その英語版は、JPNICとJPRSとでなる「歴史編纂チーム」の集大成とし
て、先月の2015年5月7日に発表したものです。

今まで歴史編纂の活動の内情について、特にお知らせすることはありません
でしたが、(2)の英語版の完成をもって、活動には一区切りつきました。しば
らく大きな活動もなくなると考えられるため、本号では、この歴史編纂活動
と、(2)の読み物作成についてご紹介します。


■「日本におけるインターネット資源管理の歴史」編纂のきっかけ

なぜこのような活動をすることになったかというきっかけはJPNICが2011年に
前身であるJNICの時代から数えて20年、2013年にJPNICという名前になってか
ら20年を迎えるにあたり、「そもそものインターネットの成り立ちや、その
中でなぜJPNICが資源管理をすることになったのかという背景を知らない方が
増えてきている」と感じていたことにあります。

背景を知らないからと言って、インターネットの利用に直接的な支障が出る
わけではまったくありません。しかし、インターネットがインフラの一つと
数えられるようになって以降、その上で何か問題が起こる度に、その問題が
インターネットの特性や成り立ちに起因するものなのか、グローバルである
がゆえに起こることなのか、それともデジタルであるがゆえのことなのか、
はたまた利用者個人の利用法などに起因するものなのか等々、整理して議論
されていないことも散見されてきました。

そのため、そもそもインターネットとは何か、どのように発展してどう動い
ている(誰がどう動かしている)のか、自律・分散・協調の考え方等の、イン
ターネットの特性、理念や思想のようなものについて、それに関わるエンジ
ニアはもちろんのこと、一般のユーザーの方々にも共有されれば、インター
ネット上で身近に起こる問題の整理や解決に少しは役立つだろうという期待
がありました。

また折しも20年という節目を迎えるにあたって、そろそろ今までの経緯をま
とめておかないと、急なことで当事者にコンタクトが取れなくなったり、貴
重な資料がなくなってしまうことがあるという思いも関係者の中では生まれ
ていたようです。

こうして、この活動が始まりました。


■「インターネットの歴史年表」と、読み物「日本におけるインターネット
   資源管理の歴史」ができるまで

歴史編纂をはじめたきっかけや目的、そしてその難しさや迷いについては、
2013年に発行したメールマガジン(vol.1106)でも一度お知らせしました。そ
こに書いた通り、やり始めてわかったことは、ある一つの出来事をとっても、
それを誰がどう捉えるかによって、まとめようが何通りにもなるという現実
でした。認識は十人十色にもなり得る中で、誰か1人の主観を代弁する編纂で
は意味がありません。しかしそれをどうにか乗り越えるにしても、チームの
知識も力量も圧倒的に不足していました。そのため、いろいろな情報が散逸
してしまう前に、まずは客観的な事実だけでも取りまとめて整理しようと、
年表という手段を選択し、作成に着手しました。その成果として、さまざま
な情報を整理し、事実を時系列順に並べ、カテゴリ別に眺めることができる
ようにしたのが、2013年に公開した「インターネットの歴史年表」です。こ
の年表作成は、結果としてメンバーの知識レベルを上げることにも大きく役
立ちました。

この年表は公開時に大きな反響も呼び、多くの方から「大変役に立った」と
いうありがたいコメントを本当にたくさんもらいましたが、実は、あの年表
が出来上がったことで一番ありがたかったのは私たち自身だったように感じ
ています。

当時の様子は、以下をご覧ください。

  vol.1106 「資源管理を中心とするインターネット歴史の編纂作業について
             ~インターネット歴史年表ベータ版公開に寄せて~」
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2013/vol1106.html#feature

年表作成を通じて過去の歴史についてもある程度整理がつき、また具体的な
見通しも立ったため、いよいよ、JPRSと共に読み物を作る活動に着手しまし
た。手軽に読んでもらえることを目指し、読み物の作成にあたってはブック
レットの形式としました。通常このような文書には、年代順で説明した編年
体のスタイルもありますが、すべてを年代順にするとわかりにくくなるため、
トピックスに分けてそれを年代順に解説する形式にしました。順番に読んで
も、興味のあるところだけ読んでもよい形式となっています。

この読み物は当初、「JPNIC20年の歩み 日本のインターネットとともに」と
いう題で紙媒体(ブックレット)として作成し、JPNIC20周年のパーティなどで
お配りしました。しかしより多くの方に読んでもらいたいこと、また紙面の
都合で書き切れなかったこともあったために、エピソードやリファレンスを
追記し、さらに時間を掛けて増補版として作ったのが、10章立ての「日本に
おけるインターネット資源管理の歴史 ~ドメイン名とIPアドレスを中心とし
た日本のインターネットの歩み~」です。

これについて、以下に各章の概要をご紹介します。もしご興味のあるパート
があればぜひご覧ください。


■「日本におけるインターネット資源管理の歴史」の各章立て

  - 第1章: 資源管理とレジストリ
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter1.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter1.html

    第1章では、IPアドレスとドメイン名に関して、そもそもIPアドレスとド
    メイン名には性質的にどういう違いがあるのかを踏まえた上で、その管
    理やレジストリの役割や業務の違いについて説明しています。なお、ド
    メイン名とIPアドレスそのものの説明は「付録」に記してあります。

  - 第2章: JNIC発足前の資源管理とJPNICの設立
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter2.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter2.html

    第2章では、JNIC/JPNICができる前、そもそもどのようにインターネット
    が日本に入り、TCP/IP導入当時の状況や、ドメイン名やIP アドレスがど
    う管理されていたのかに触れています。その後、JNICやJPNICの設立にも
    言及されています。

  - 第3章: JPNICによる資源管理への本格的な体制整備
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter3.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter3.html

    第2章のように始まった資源管理ですが、その仕組みが安定的に運営され
    るために、JPNICがどのように組織的な体裁を整えていったのか、どのよ
    うに財政基盤を持とうとしたのか、そしてどうインターネットコミュニ
    ティの中心になることを目指したか、また名前の由来でもあるNetwork
    Information Centerとしての情報発信などが中心に記述されています。

  - 第4章: ドメイン名における資源管理方針の変遷
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter4.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter4.html

    第4章では、「ドメイン名」に焦点を当て、インターネットの広がりに応
    じたドメイン名空間の構築や、ポリシーや規則類をどう整備していった
    かを振り返ります。

  - 第5章: 本格的インターネット時代のIPアドレスポリシー
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter5.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter5.html

    第5章では、「IPアドレス」に焦点を当てます。ドメイン名は、状況に応
    じて空間を広げることが比較的容易ですが、IPアドレスは、規格で上限
    数が限られた中での運用を余儀なくされます。インターネットの拡大に
    より、経路が増え、またそれまでの分配方法ではアドレスが枯渇するこ
    とも視野に入ってきました。

  - 第6章: グローバルなIPアドレス管理体制の確立へ
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter6.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter6.html

    第6章では、IPアドレス配布の一意性を守りながらも、IANAを頂点として、
    地域インターネットレジストリ(RIR)、国別インターネットレジストリ、
    LIRという階層構造がグローバルに確立していく様子を中心に記載されて
    います。

  - 第7章: ICANNによるグローバルなドメイン名管理体制
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter7.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter7.html

    インターネットの各種資源を民間主導で調整することをめざし、1998年
    に米国でICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and
    Numbers)が作られました。その設立までの背景と、ICANNが持つ特徴的な
    仕組み、日本からのICANNへの関与について述べています。このICANNを
    巡っては、今現在、「インターネットガバナンス」の観点でも大きく話
    題になっているところです。

  - 第8章: 汎用JPドメイン名とJPRSの設立
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter8.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter8.html

    第8章では、JPドメイン名の登録管理業務が、それまで業務を実施してき
    たJPNICから、株式会社であるJPRSが設立されて移管されることになった
    経緯が書かれています。またこの移管と時を同じくして、「JPドメイン
    名紛争処理方針」「汎用JPドメイン名」なども次々導入されたことも紹
    介されています。

  - 第9章: 登録情報の「公開」と「開示」
           日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter9.html
           英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter9.html

    ドメイン名とIPアドレスを管理するレジストリの役割は、「DNSの運用」
    と「登録情報の管理」に大別されます。この登録情報は、インターネッ
    トの初期は、運用の調整や有事の対応などを考えてすべてインターネッ
    ト上で公開されていました。しかし、インターネットの普及に伴い、こ
    うした登録情報の取り扱いに関する議論が起こり、また個人情報保護法
    への対応も迫られることになりました。この章では、これらの経緯が記
    されています。

  - 第10章: IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6
            日本語:https://www.nic.ad.jp/timeline/20th/chapter10.html
            英語:https://www.nic.ad.jp/timeline/en/20th/chapter10.html

    インターネットの商用化とともにインターネットが広がり、そのための
    アドレス確保に向けた設計として、CIDR (Classless Inter-Domain
    Routing)やIPv6の規格策定などがされたことは、第5章に述べられていま
    す。この章では、それ以降、現実感を増してきたIPv4アドレス在庫枯渇
    に向けた動きや、日本のIPv6推進に向けた努力等について述べられてい
    ます。


■英語版の作成

Webにこの「日本におけるインターネット資源管理の歴史」を公開したあとは、
ラストスパートとしてこれを英訳する作業に着手し始めました。

「日本の歴史なのに英語版が必要??」と意外に思われるかもしれませんが、
歴史編纂の活動を行っていて特に気になっていたことは、こうした日本のイ
ンターネットの歴史を記した英語で読めるコンテンツがほとんど残されてい
ないことでした。日本語では、断片的にでもいろいろな記録がまだまだネッ
ト上に残っています。しかし、それの英語となるとその数がグッと減ります。
それによって、1990年代から2000年代にかけてインターネット発展のパイオ
ニアとして尽力した日本の功績が、グローバルに知られないのはもったいな
いという気持ちもありました。昨今、グローバルにも、インターネットの歴
史を記した文書やWebサイトを作る組織も増えています。APNICでも以下を公
開しています。

  - History of APNIC
    https://www.apnic.net/about-APNIC/organization/history-of-apnic

これらの中で、日本から見た観点の文書の必要性は明らかでした。英語版作
成にあたっては、上記のAPNICの文書も作り上げた、元APNICのGerard Ross氏
に、英語での言い回しなど、多大なるご協力をいただきました。

この英語版は、「直訳しても意味が不明であろう」と思われるところを除き、
原則的に日本語版が忠実に英語化されています。


■おわりに

最後にこの「日本におけるインターネット資源管理の歴史」を作った、歴史
編纂チームのメンバーをご紹介します。

  リーダー:佐野晋
  JPNIC: 秋山智朗、是枝祐、佐藤香奈枝、佐藤晋、根津智子、前村昌紀
  JPRS: 宇井隆晴、森下泰宏、渡辺俊雄

冒頭でも書いたように、我々が行ってきたこの歴史編纂の活動については、
今回の英語版の公開をもって、大きな活動としては一段落したと考えていま
す。しかし、これからも資料の整理やアップデートなどは継続的に行ってい
かなくてはなりません。もしご要望や、お気づきの点がありましたら、ぜひ
history-comment@nic.ad.jp までお知らせください。お待ちしています。


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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